約 199,341 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6395.html
【6年前】 テレビ「決まったぁぁああ!今年のインターハイを制したのはァ!三箇牧高校だあああ!」ワァァァ 京太郎「すげえ……」 モモ「わぁ、面白い試合だったっすね!」ピョンピョン 咲「すごい、すごい!ね、お姉ちゃん!」 照「そうだね、いつか私も行ってみたいけどきっと駄目だろうな」 京太郎「なぁに、照なら楽勝だって!」 モモ「そうっす!照姉さんにかかれば全国なんて余裕のヨっちゃんっす!」 照「そうか……」フフッ 照「よし!咲、モモ、皆で、いつかあの大きな舞台で打とう!」 咲「うん!三人で頑張ろう!」 モモ「燃えてくるっすよー」 京太郎「あれ?俺は?」 照「京は男の子じゃないか、何を言っている」ハテッ? モモ「女じゃないなら、女装をすればいいっす」 咲「そっかぁ、京ちゃんは女装男子だったんだね……ごめんね、気づいてあげられなくて」 京太郎「ちょ、ちょっと待て、何でそんなことになってるんだ!?」 モモ「京太郎の女装は似合う……と、思うっすよ」クスッ 照「京は何を着ても似合うからな」フフッ 京太郎「もういいや……」 テレビ「ニュースの時間です」 テレビ「来年の秋から、国民麻雀大会が開催されることが決定しました。この大会のテーマは『国民で麻雀を楽しむこと』」 テレビ「老若男女問わず競技に参加することが可能のようです」 モモ「あれ、これってつまり……」 京太郎「皆と打てるぜ!」ガバッ 咲「やったね京ちゃん!」 京太郎「みなぎってきたああああ!」 照「うん、それじゃあ……」 照「この4人で!あの大きな舞台で!麻雀を楽しもう!」 京咲桃「「「うん!」」」 【照、咲、モモと約束を交わしました】 【現在・3月 第4週】 京太郎「ついに俺も高校生か…」 京太郎「咲とモモは地元の公立に行って…」 咲は去年のインターミドルの個人戦で優勝した モモは決勝戦で同卓していた子に苦戦して、3位という結果だった 京太郎「照は……確か去年のインターハイの個人戦1位だったっけか」 照はお母さんの仕事に付いて行って、白糸台高校という麻雀の強豪校に入学した その照が大阪に引っ越してくるという噂が最近広まっているのだが……真偽やいかに 京太郎「それにしても、この地図適当すぎるだろ……目印も何も無いじゃねえか」 駅から目的地までを矢印で繋いだだけの地図を手にしながら、俺は歩いていた そしてようやく目的地に着く 京太郎「ここが、清々荘か……」 目の前にあるのは少し古びたアパート、ここの大家さんが俺が通うことになる学校の教員であるため、このアパートを学生に貸しているらしい そう、この清々荘がこれから俺が住む場所となるのだ 京太郎「まずは大家さんに挨拶にいくか」 大家さんは清々荘の隣にある、少し小さめな和風の家に住んでいる。とりあえず呼び鈴を鳴らしてみた ?「はい、しばらくお待ちください」 案外若い女の人の声が聞こえた、先生で大家というからもっと老けていると思ったのだが、おっと失礼失礼 少しして、ガララ、と戸が開いた ?「お待たせしました、えーとあなたは?」 さて、ここからが一番大事なポイントだ、挨拶は人の第一印象を左右するからな 京太郎「どうも、須賀京太郎です!」つ菓子折り ?「ご丁寧にどうも、君が今度ウチに入る京太郎君ね、私は石戸霞、よろしく」 「石戸」って「いわと」って読むのか 京太郎「は、はい!よろしくお願いします、石戸さん」 霞「ふふっ、霞でいいわよ、歳だって近いんだし」 京太郎「はい、あれ?歳が近いって何歳くらいなんですか?」 なんだ、この目の前にある大きなおもちは…… 霞「あらあら、そんなこと言ってると握りつぶすわよ?あと変なこと考えてても、ね?」 京太郎「な、何をですか!?」 霞「冗談よ、冗談。ところで、京太郎君はもうクラス発表に行ったのかしら?」 え、今日クラス発表なんてあったのか、ううむどうするべきか 京太郎「霞さんと行こうと思ってたんです!」 霞「そうね、丁度学校に用事もあったことだし。一緒に行きましょうか」 京太郎「はい!よろしくお願いします!」 霞「ふふっ、じゃあ着替えてくるからちょっと待っててね」 そして待つこと十分 京太郎「どうしてこう、女の人の着替えは時間がかかるのか」 京太郎「霞さんの着替えか……うっ、股間が!」スタンダップ 霞「お待たせーっと、あれ?どうかした?」 京太郎「い、いやぁ何でもないっすよ、さあ行きましょうか」マエカガミ 霞「あらあらまあまあ、そう、そんなことを考えていたのね?これは……お仕置きね」ニッコリ 京太郎「うっ、股間が!」シッダウン 霞「京太郎君は何か聞きたいこととかあるかしら?」 京太郎「うーん、そうですね、この学校って、どんな設備があるんですか?」 霞「色々あるわよ、授業で使うのは室内温水プールとかB棟の屋上の展望台とか、あ、あと全教室クーラー完備だったりするわよ」 京太郎「凄いですね……どこにそんな金があるんでしょうか」 霞「なんでも、近くにある大病院の院長がここの理事長と一緒に学校をつくったらしいわよ」 霞「ああ、あれよあれ。荒川病院」ユビサシ 京太郎「めちゃくちゃ綺麗な病院ですね」 霞「他は、軽く百貨店並みの購買ね。基本何でも買えるわ、昼休みは大抵混むから要注意よ」 霞「教室のあるA棟の屋上は昼休みの間だけ開放してるし」 霞「あ、中庭はカップルの巣窟だからあまり行かない方がいいわよ、精神が持たないし」 京太郎「っと、着きましたね」 霞「あら、じゃあ私は職員室に行くから、30分後にここに待ち合わせでいいかしら?」 京太郎「はい、わかりました、またあとで!」 京太郎「さて行きますか」 35分後 京太郎「お待たせしました」ハァハァ 京太郎「すいません、道に迷ってしまって」ハァ...ハァ 走りすぎた、少し頭がクラクラする。なんなんだこの学校は…咲だったら一生出られないぞ 霞「そう、京太郎君も迷い込んでしまったのね……この魔宮『初見殺し』に」 京太郎「そ、そんな名前が……」バタッ 霞「ちょ、京太郎君!?京太郎君!!」 ---------------- 京太郎「こ、ここは?」 目を開こうとしたが、開けられなかった。なんだこの重いものは……とりあえずどけてみよう 霞「起きた、京太rあっ……///」 京太郎「な、なんだこの感触は……!やわらかいッ!そして大きいッ!」モミモミ 霞「あっ、ちょ、やめっ、れっ////」 俺の股間を何かが捕えたしかし、そう思った時にはもう遅かった ニギッ 京太郎「はっ!ここは!」 霞「目が覚めたのね!京太郎君!よかったあ、よかったよぉ」ダキッ こ、これはッ…!霞さんの巨大なおもちが俺の目の前にぃぃぃ! 霞「ごめん、ごめんね、京太郎君」 京太郎「」チーン 【3月 第4週 終】 【4月第1週 平日1】 京太郎「今日は入学式だ!」 あれ、ポストに何か入っているぞ 京太郎「なになに『今日は新入りさん歓迎会をするので、18時には帰ってくること 霞』……か」 京太郎「新入りさん歓迎会か、楽しみだな」 京太郎「快調快調!信号なんかに俺は止められねぇぜ!」ダダダダダダ ?「あっ」 京太郎「えっ」ドーン 京太郎「いつつつ、どうもすいません」カオアゲ 照「いや、こっちも前、見てなかったから」カオアゲ 京照「「え?」」 京太郎「てててて、て照!?」 照「きょきょきょっ、京!?」 ---------------- 京太郎「えっ!?照本当に転校してきたの!?」 照「うん、モモ達は一緒の高校行ったらしいから、その二人に立ち向かう二人……ってかっこいいなって思って」 京太郎「そんな理由で転校してくるか?普通、だいたいおばさんはどうしたんだよ」 照「その、実はね……」 照「このたび、私、不肖宮永照は自立することにいたしました!」ババーン 京太郎「自立?米一合も炊けない照が?」 照「うぐっ、京は痛いとこつくねぇ」 京太郎「それで、どこに住んでるんだ?」 照「えーと確か、何とか荘ってところなんだけど、石戸さんていう大きい人がいる」 京太郎「あの、それってまさか清々荘じゃあ……」 照「そう!清々荘!あれ?なんで京がその名前知ってるの?」 京太郎「マジか」ズーン 入学式が終わり、ホームルームも終わった そして、俺は今、道に迷っていた 京太郎「クラス委員長になるなんてそんなん考慮しとらんよ……」 なぜか俺はクラス委員長に推薦され、就任していた 早速、担任の教師からB棟の化学実験室へのお遣いを頼まれ、 用事こそ済ませたものの、この学校の複雑な構造にとらわれてしまっているのである 京太郎「ようやく1階まで来れたぞ」 どうして建物の3階から1階に降りるのに30分もかかるのか、不思議でたまらない 京太郎「ここは、麻雀部?」 『麻雀部』と書かれた看板こそあるものの、ドアには鍵がかかっていた ?「あれ、麻雀部に何か用でもあるん?ちょっと待ってーな、今空けたる」 ?「お、空いた空いたぁ、ようこそ!麻雀部へ!」 ?「ウチの名前は荒川憩や!よろしくな!新入部員くん!」 京太郎「なんで俺が部員になってるんですかねえ?」 憩「いや、なんか目ぇ輝いとったから。入りたいんかなあ思うて」アハハ 輝いてた?目が?どんなふうに? 憩「で、どうなん?入ってく?」 ううむ 京太郎「よし!入りましょう!憩さん!」 憩「い、いきなり名前呼びかいな//」カァァ 京太郎「あのー、憩さん?」 憩「ふう、落ち着いたわ」 京太郎「そういえば、他の部員の方はいないんですか?」 憩「いない」 憩「麻雀部にウチ以外の部員は、いないんよ」 彼女は言った、笑いながら、淡々と 憩「すまんな、新入部員くん、さっきのは冗談なんや」 ----------------------- 憩「ウチ、今二年なんやけどな、入部したときにいた先輩、みんなやめさせちゃったんよ」 憩「『荒川さんと打っても楽しくない!』って言われてな……」アハハ 憩「自分だけが麻雀を楽しんで他の人はつまらない、そんな麻雀をウチは打ってしまうんや」 憩「だから、今のうちやで、傷付かんうちに辞めた方がええ、麻雀がつまらなくなる前に辞めた方がええ」 そう言う憩さんの目はさっきのように笑ってはいなかった 俺は彼女にどんな声をかければいいのだろうか 京太郎「女の人の泣き顔は、見たくないです」 憩「え?」 京太郎「憩さんが何と言おうと、俺は入ります」 京太郎「楽しくない麻雀なんて、ありえませんから」 憩「そんなこと言うたって!ダメなんよ!」 憩さんは叫ぶように言う なぜ俺が初対面の人にこんなに真剣になれるのか、自分で理解ができなかった 京太郎「大丈夫です、俺が大丈夫だから、大丈夫です。憩さんは気にしなくていいです」 京太郎「憩さんを避けていった人達は、きっと自分の弱さを認めたくなかっただけなんです」 京太郎「だから、憩さんは悪くないです」 京太郎「作り直しましょう、麻雀部を」 京太郎「俺たちが頑張ればきっと誰かが付いてくるはずです」 京太郎「現に1人アテがありますし」 京太郎「わかりましたか?俺は絶対に諦めません」 少しの沈黙、それを破ったのは憩さんだった 憩「ふう、わかったわ」 憩「それじゃあ、これからよろしくな」 憩「新入部員くん」ニコッ その笑顔はまるで、校舎の中に射す日の光のようで、明るく、そして暖かかった 【4月第1週 平日1 昼 終】 京太郎「そういえば、他の部員がいないのにどうやって練習していたんですか?」 憩「ああ、いつもは街の雀荘で打っとるんよ。最近はノーレートのとこも増えてきて色んな人がいて楽しいんよ」 京太郎「じゃあなんでここに?」 憩「その雀荘に行く前にここの掃除しとるんよ、だから少し手伝ってくれるか?えーっと…」 京太郎「名前ですか?一年の須賀、須賀京太郎です」 憩「それじゃあ、京太郎、そのロッカーの中の箒取ってくれるか?」 京太郎「よっと、これでいいですか?」 憩「それやそれ、じゃあパパッと終わらせるでー!」 京太郎「了解です!」 憩「よし、だいぶゴミも集まってきたし塵取りとってやー」 京太郎「これですね、はい」 憩「おお、早いなー、京太郎は看護師とか向いとるんとちゃうん?じゃあウチが塵取り持っとくから京太郎はゴミこん」 京太郎「わかりました……!」 こ、これは!憩さんが三角座りをしている……だと?そんな…そんなことをしたら憩さんの三角の領域が俺の目に…! 憩「ん、どうかしたん?きょうたろぉ……!」 気づかれた! 憩「み、見た……?///」 京太郎「いえ!なにも!青と白の水玉なんて見てません!…あ」 憩「きょ、京太郎のアホ~!///」 京太郎「ちょ、憩さん、箒は痛っ、痛いですって!」 憩「で、京太郎はこれからどうするんや?」ムクー 京太郎「そろそろ許してくださいよ…」 憩「ぱんつ見られといて許すやつがどこにいるんや!」ブンッ 京太郎「はいストーップ!そうですね、その雀荘に行ってみますよ。案内してくれますか?」シラハドリ 憩「わかったわ、後でたこ焼きよろしくな。ほな行こか」 京太郎「はいはい」 【道中】 憩「あ、ここのたこ焼きがこの街で一番おいしいんや。ここやで京太郎!」 京太郎「ちょっと待ってくださいよ」ゼェハァ 憩「京太郎は男の子やのに体力ないんやなー、もっと鍛えんとアカンで。ほら早く奢ってーな」 京太郎「はいはい。あ、たこ焼き1人前お願いします」 京太郎「はい、買ってきましたよ。どこで食べます?」 憩「あそこのベンチでええんやない?」ユビサシ 京太郎「はい、いいと思います」 憩「あれ?一人分だけなん?京太郎にもこの味教えたい思うたんやけどな」ブー 京太郎「いえいえ、いいですよ。ほんのお詫びですし」 憩「なんっかイヤや…よし京太郎!」 憩「一緒に食べるで!」 憩「ほれ一つ食べてみい」 京太郎「ありがとうございます」パクッ 京太郎「あふっ、あっ、あっつ……ふう。確かにおいしいですね、このたこ焼き」 憩「せやろー!さすがやろー!」 京太郎「なんで憩さんが自慢気になっているんですか……もう1個貰えます?」 憩「うん、ええで。ほれ」 京太郎「……うん、おいしい。こんなところ教えてくれてありがとうございました、憩さん」 憩(あれ、これよう考えたら間接キスいうやつちゃう?///) 京太郎「憩さん、おーい、憩さーん」 憩「ひゃ、ひゃい!」ビクッ 京太郎「ぷっ、あはははは、何ですかそれ、ふふっ」 憩「わ、笑っとらんで早く行くで!今日はウチ用事あるんやから!」 【雀荘】 店員「お、来たね荒川の嬢ちゃん……とそちらは?彼氏かい?」 憩「かかかか、彼氏ちゃうわ!こんなやつ!」 京太郎「ちょっ、憩さんそんな言い方あんまりじゃあ……」 憩「う……」 店員「あっはっは、こんな嬢ちゃん久しぶりだな。で、どうする?2人で打って行くんやろ?」 憩「うん、いつも通りノーレートで!」 店員「あいよ、じゃああの卓が空いてるから入ってや」 おっさん「よお、荒川んとこのぉ、またカモられに来たんかぁ?げっげっ、げっげっ」 おっさま「なぁに言うとるん、いっつもカモられてるのあんたやろが」ビシッ おっさん「ぐえっ、せ、せやったな。よし!そこの兄ちゃんカモったるわ!かかってきい!」クイックイッ おっさま「そういうのやめーや」 憩「はぁ、こんなん気にせんでええよ、京太郎」 京太郎「ははは、よろしくお願いします」 おっさん「うっしゃあ!ほな、始めるでー!」 -------------------- 憩「ツモ」 一同「おうっ」 憩「ロン」 おっさん「うげっ」 憩「ロン」 おっさん「ひえっ」 憩「ツモ」 憩「ロン」 おっさん「うえっ」 憩「これで終わりや!ロン!」 おっさん「ひげぇーーー」 ----------------------- 憩「ふう、終わったな。楽しかったで、ありがとさん」 京太郎「あ、ありがとうございました」 おっさん「」ブクブク おっさま「おつかれさん、いやあ、相変わらず強いね~荒川ちゃんは、流石全国2位なだけはあるわ~」 憩「いやいやまだまだですよー、宮永さんに比べたらウチなんて」 おっさま「そか~、充分やれると思うんやけどな~」 おっさん「ハッ、ワイは一体?」 おっさま「ハコ割れトビや」 憩「アホも起きたことやし、今日はこんくらいで打ち止めや!」 京太郎「じゃあ行きましょうか」 店員「嬢ちゃんもう帰るん?いつもは7時くらいまで打ってくんに」 憩「ああ、今日は用事があんねん」 店員「用事?彼氏?夜?」 店員「ふぅーむ、なるほどなるほどなるほどー」 店員「兄ちゃん、頑張ってな」ボソッ 京太郎「な、何をですか!?」 憩「だからちゃう言うとるやろ!///」 店員「まーたまたー、顔赤くしちゃってー」 憩「う、うるさいわ!ほな行くで京太郎!じゃあなー!」 京太郎「ありがとうございました」ペコリ 【帰り道】 憩「んーと、京太郎はこっちの方なん?」 京太郎「はい、下宿してまして」 憩「へー奇遇やなーウチも下宿しとんねん」 京太郎「え?あの、もしかしてその下宿先って清々荘って名前じゃあ……ないです…よね?」 憩「お、よおわかったなあ、京太郎エスパーなんちゃうん?」 京太郎「実はですね、俺の下宿先も清々荘なんですよ。あとさっき話題に出てた照も」 憩「え、ホンマ!?特に後の方!」 京太郎「嘘吐いてどうするんですか」 憩「だって京太郎が―― ---------------------------------------------------- 憩「こ、ここに宮永照がおるん?」 京太郎「はい、だから入ってください」 憩「わかったわ。ほな、おじゃましまーっす、と」 憩「あれ、宮永さんおらへんやないの。どういうことなん?きょうたろ…むぐっ……!」ズギュウウウン 憩「ぷは……って、何すんねん!い、いきなりキ、キスなんて…///」 京太郎「あれ、憩さんひょっとしてこの部屋、照の部屋だと思った?」 京太郎「残念、俺の部屋でした!」マッパ 憩「ちょ、なんで脱いでるん?」 京太郎「そりゃあ、憩さんとするためですよ」 憩「だ、だから何を…?」 京太郎「何って、ナニに決まってるじゃないですか!営みですよ!夜の営み!」ガバッ 憩「あ~れ~」 ---------------------------------------------------- ――って感じで襲ってくるかもしれへんやん」 京太郎「しませんよそんなこと!一体俺は憩さんの中でどんなイメージなんですか!?」 霞「あらあら、随分と仲良しさんなのね」 憩京「「うおっ!」」ビクッ 憩京「「い、いつの間に!?」」 霞「それはこっちの台詞よ、いつの間にそんな仲良くなったの?」 霞「まあ訊かないでおくわ。あと、一応言っておきますけど、清々荘内での不純異性交遊は『禁止』ですからね。破ったら…ね?」ニコッ 京太郎「」ゾクッ 憩「で!霞姉!今日のご飯は何なん?」 霞「それは歓迎会でのお楽しみよ、うふふ」 憩「なんや霞姉はケチやなー、京太郎はたこ焼き奢ってくれたんにー」 霞「あら京太郎君、憩ちゃんにそんなもの奢ったの?ひょっとして仲良くなった理由って憩ちゃんを餌付けしたから?」 京太郎「そんな訳ないでしょう!」 俺と憩さん、霞さんの3人で歩くこと10分、ようやく清々荘が見えてきた。 そして、その前でこちらに手を振っている女性の姿が目に入った。夕陽とも相まってその姿はとても輝いて見える 京太郎「な、なんだ!あの金色の輝きは!」 どうして自分と同じ金髪なのにこうも輝きが違うのだろうか、俺、気になります。 霞「輝き?ああ、エイスリンちゃんのことね」 京太郎「エイスリンさん?」 霞「京太郎君の右隣の部屋に住んでるエイスリン・ウィッシュアートちゃん。ニュージーランドからの留学生ですって」 憩「あと何人住人増えるんこのアパート……」 エイスリン「カスミ、オソイ!ヤクソク、ハマモル!」プンスカ 霞「ごめんね、エイスリンちゃん。ちょっとスーパーで手間取っちゃってて」 エイスリン「ソノヒトタチハ?」 霞「この金髪の男の子がエイスリンちゃんのお隣さんの須賀京太郎君」 京太郎「よろしくお願いします」 霞「それでこっちの女の子は荒川憩ちゃんよ」 憩「よろしくお願いするでー」 エイスリン「コッチモ…」カキカキ エイスリン「ヨロシク!」バッ|憩、エイスリン、京太郎の順に並んでる絵| 憩「ほえー、上手いもんやね」 霞「エイスリンちゃんはまだ上手く日本語が話せないからこうしてホワイトボードを使ってコミニュケーション取ってるのよ」 京太郎「なるほど、そういうことですか」 霞「それじゃあ、私とエイスリンちゃんはご飯作るから2人は部屋に帰って着替えておいてね」 憩「いよいよパーティーや!」 霞「新入りさん歓迎会ー!」 憩・?「わー!」ドンドンパフパフー 霞「さて、まずは新たな住人さんの紹介よ!まずは……ニュージーランドから来たパツキン美少女!エイスリンちゃんー」 エイスリン「Aislinn Wishartデス、ニュージーランドカラ来マシタ、コレカラヨロシクオ願イシマス!」バッ |夜露死苦| 霞「え、えーっとその字は?」 エイスリン「カンジ、ハツチョウセンシテミマシタ。カンジ is art!」キラキラ ?「金髪には惹かれるものがあるし!」 霞「さて次はー!またもや金髪!長野出身!見た目は不良、頭脳は良好!その名は須賀京太郎ー!」 京太郎「あ、新入りの須賀京太郎です、よろしくお願いします」 憩「ふつーやな」ジトー ?「普通だし」ジトー 霞「普通ね」ジトー 照「普通すぎるな」ジトー ?2「普通すぎてつまらん」ジトー 京太郎「すいませんでした…」チーン エイスリン「スガクン!ヨカッタヨ!ゲンキダシテ!Simple is the best!」キラキラ 京太郎「ありがとうございますぅ…」シクシク 霞「気を取り直していきましょー!次は!どこから来たのかわからない!謎の女子高生、三尋木ィー咏ァー!」 咏「三尋木咏だぜぃ、これからよろしくねぃ~」フリフリ 京太郎「和服か、いいな」グッ 憩「む!なんや京太郎はコスブレが好きなん?」 京太郎「いや、そういう訳じゃないですけど」 霞「はいそこの2人いちゃいちゃしない!それじゃあトリはこの人!西東京から来た!現在日本の女子高生の頂点!宮永ァー照ゥー!」 照「宮永照だ、訳あってこちらに越して来た。よろしく頼む」ゴッ 池田「こ、こいつはやばいんだし」ビクビク エイスリン「ワオ!」ゾクッ 憩「ホンマにホンマやったんやな!」キラキラ 京太郎「でしょう?俺の言った通りでしょう?」 霞「はい、そこの2人次いちゃいちゃしたらご飯抜きよ」ニコッ ?「年増の嫉妬は恐ろしいし!」 霞「はい華菜ちゃんはご飯抜きね」 華菜「ちょっと待つんだし!」 霞「今年の新入りさんは4人、みんな仲良くね。次は先住人の自己紹介よ」 華菜「カナちゃんは池田華菜っていうんだし!これからよろしくだし!」 憩「ウチは2年の荒川憩や、麻雀部の部長やっとるから是非来てな」 霞「私は石戸霞、ここには父上様に連れられて来て以来8年程いるわね。今年から三箇牧の教員になったからここには私1人で暮らすことになったの。だからなるべく問題は起こさないようにね、特に……京太郎君?」 京太郎「は、はい…」 霞「わかってればいいのよ、わかってれば」 照「」グー 憩「ねえ、そろそろご飯食べへん?お腹空きすぎてん」 霞「ええそうね、それじゃあこれからは晩餐タイムよ」 照「京、そこの野菜取って」モグモグ 京太郎「ドレッシングはどうする?」 照「フレンチで」ゴクゴク 京太郎「あいよっと」つ皿 照「ん、ありがと」パクパク 京太郎「どんだけ食べてるんだよお前…」 照「おいしいんだからしょうがない、やめられない止まらない」ガツガツ 照「ふう、お腹いっぱい」 京太郎「なあ照、ちょっといいか?」 照「なに?」 【石戸宅・縁側】 京太郎「突然で悪いんだが、麻雀部に入らないか?」 照「んー、部員ってどうなってるの?荒川さんがこの時期で部長ってことからすると、あまりいないんでしょ?」 京太郎「なんでそんなに鋭いんだ」ズボシ 照「これでも一応文学少女ですからね」ドヤァ 京太郎「はいはい、察しの通り部員は俺と憩さんだけだよ」 照「そう…京はインターハイに出るつもりなの?」 京太郎「まあ出来ればの話だけどな」 照「じゃあ荒川さんは?」 京太郎「照と打つんやー、って張り切ってたからきっと出ると思うよ」 照「ふーん、そっか、それなら 照「私は入らない」 京太郎「え?どうして?」 照「個人戦に出るのに部活に入っていなければならないということはない。荒川さんが団体戦に出るつもりなら私は入るけど、この現状じゃあそれは無理。だから私は入らない」 京太郎「なんでそんなに団体戦に拘るんだ?」 照「京はモモ達を見てきたのか?あいつらがそう簡単に負けるとは思えない。おそらく全国まで来る、とすると私も全国へ行けばあいつらと打つ機会が増える」 京太郎「咲達と打つため……か、そしてその目的が果たせないのなら部活には入る必要はない、そういうことか」 照「その通り、だから私は白糸台で団体戦に出ていた。女子部員が4人揃ったら教えてくれ、そうしたら考えてみるよ」 京太郎「照…お前変わったな」 照「どういう意味?」 京太郎「昔は俺達4人で楽しく打ってただろ?だけど、俺からすると、今のお前は麻雀を楽しんでいないように見えるんだ」 照「つまり、京が私に友達と打つ楽しみを教えてくれるってこと?」 京太郎「そうだ。俺と憩さんでお前の目を覚ます」 照「これはまた…大きく出たね、まあ楽しみにしてるよ。それじゃあ私先に帰るね」 京太郎「このサンドイッチおいしいな。霞さんが作ったのかな」チョンチョン 京太郎「…ん?ああ、エイスリンさんですか」 エイスリン「スガクン、ソノsandwichオイシイ?」 京太郎「はい、おいしいですよ。毎朝食べたいくらいです」 エイスリン「ソッカ、ヨカッタ」ホッ 京太郎「これはエイスリンさんが作ったんですか?」 エイスリン「ンー」カキカキ エイスリン「カスミ!」バッ |眼鏡を掛けた霞の絵| 京太郎「なるほど、霞さんに教えてもらったんですね」 エイスリン「ウン!カスミ、スゴイ!」キラキラ 京太郎「確かに…あれは、凄いですよね…」ゴクリ エイスリン「スガクンハ、スゴイホウガ、イイ?」 京太郎「いや、別に大きさなんて関係ないですよ。人の個性ですしね」 エイスリン「…オオキサ?」 はっ!そういえばエイスリンさんは一度もおもちに関する言葉を使っていない……!ということは! エイスリン「スガクンノ、スケベ!エッチ!///」 京太郎「エイスリンさんは怒り疲れて寝てしまった。しかし、寝顔も可愛いなあ」ツンツン エイスリン「スガクンノエッチ…」Zzz 華菜「なぁにやってんだ、新入り」 京太郎「えっとあなたは確か、小池さんでしたっけ?」 華菜「カナちゃんは池田だし!」 京太郎「おい、小池ェ!」 華菜「不謹慎だし!」 華菜「エイスリンさんは可愛いなあ」ツンツン 京太郎「あ、俺と同じことやってる」 華菜「な、わ、悪いか!?」 京太郎「そういえば池田さんは妹さんとかいるんですか?」 華菜「華菜でいいぞ、でもなんでわかったんだ?」 京太郎「華菜さんさっき食器の片付けとか手伝ってじゃないですか、だから妹か弟がいるんじゃないかなって」 華菜「ふむふむなるほど、カナちゃんには三つ子がいるんだ。緋菜と菜沙と城菜っていってな、とっても可愛いんだぞ!」 京太郎「そ、それじゃあおやすみなさ」 華菜「おっと、どこにいく気だ?須賀」 京太郎「え、ちょっと、え?」 京太郎「あの後20分くらい池田さんの妹さんの話を聞かされた……」ゲッソリ 憩「大丈夫?京太郎?」 京太郎「はい、まあなんとか」 憩「やっぱり高校初日は疲れるよねー」 京太郎「俺の疲労の主な原因は憩さんなんですけどねぇ」 憩「え、そうやったん?それはすまんなー」ハハハ 京太郎「そういえば憩さんはどうしてここに住んでるんですか?」 憩「ただ単純に親元を離れたかったから、かな」 京太郎「憩さんの御実家って……」 憩「病院やで、通学路から見えるあの大きいやつな」 京太郎「あ、やっぱりそうなんですか」 憩「お父さんやお母さんはウチを医者にさせたいらしいんよ。だから勉強で忙しくなる前に、高校だけでも自由でいたいなー思うてね」 京太郎「なるほど、なんだか変な話ですね」 憩「せやろ、どうせなるなら医者よりナースになりたいわー」ハハハ 京太郎「憩さんにナース服ですか……かなり似合いそうですね!」 憩「うん、なんだか体に馴染む感じがするんよねー。最近はよく実家から拝借したんを寝間着に使うとるんよ」 京太郎「へー、じゃあ今度俺にナース服姿見せてくださいよ」 憩「お、ええでー。但し、ウチに麻雀で勝てたらなー」 京太郎「よおし、それじゃあ頑張りますよー!」メラメラ 【4月第1週 平日1終了】 【4月第1週 平日】 京太郎「まさか高校生活第1週目で寝坊するとは思わなんだ……」ゼェゼェ 京太郎「まあいい、学校まで後少しだ!後少しで間に合うんだ!頑張れ俺!」ウォー キーンコーンカーンコーン ガラガラ 京太郎「ふっ、ギリギリセーフだったぜ!」ヤレヤレ 担任「須賀ァ!てめェ今の遅刻は何だァ!ギリギリアウトだァ!」 京太郎「おいおい嘘だろ?冗談はよしておくれよ」HAHAHA 担任「うるせェ!外で立ってろ!」 京太郎「」 京太郎「はあ…疲れた。昼飯はどこで食べようか」 京太郎「食堂に行くか」 【食堂】 京太郎「お、この日替わりランチのサンドイッチ美味しそうだな。頼んでみるか……と、お?」 エイスリン「……」キョロキョロ 京太郎「エイスリンさんじゃないか、何をしているんだろう?」 エイスリン「ア、スガクン!」パアッ 京太郎「エイスリンさん、どうかしたんですか?」 エイスリン「エーットネ」カキカキ エイスリン「コレ!」バッ |サンドイッチの絵| 京太郎「日替わりランチを食べたい、ということですか?」 エイスリン「ウン!」 京太郎「食堂で頼むときはまず食券をここで買って、あそこのカウンターに食券を持って行くんですよ」 エイスリン「ワカッタ、スガクンアリガトウ!」ニコッ 京太郎「よし、じゃあ俺も……あれ?」 エイスリン「」スタスタ 京太郎「今度はどうしたんですか?」 エイスリン「ヨカッタラ、lunch、イッショニタベヨ!」 京太郎「はい、わかりました」 京太郎「あの日替わりランチは美味しかったな、何よりエイスリンさんと一緒に食べられて良かった」ウンウン 先生「須賀君~ちゃんと聞いとる~?」 京太郎「はい、もちろんです!」 さて、放課後はどうするか 京太郎「さて、こうして街に来たわけだが、何をしよう……」 咏「お、京太郎じゃーん」フリフリ 京太郎「おお、三尋木じゃないか何してるんだ?」 咏「咏でいいぜぃ。まあ、あれだ生活用品をちょっと見て回ってるんだ」 京太郎「生活用品か、確か俺もあまり無かったからな。よし、一緒に買い物しようぜ!」 咏「お、いいね~それ、しらんけど」 京太郎「何だよそれ、じゃあ行くか」 ―――――――――――――――― 京太郎「まあこのくらい買えば充分か」 咏「なあ京太郎、休憩がてら喫茶店にでも行かね~?」 京太郎「そうだな、行こう」 イラッシャイマセー 咏「それじゃあ私は抹茶にでもするかね~、しらんけど」 京太郎「それじゃあ俺はレッドブルで」 咏「なんで喫茶店にんなもん置いてあんだよ…」 京太郎「だよな…」 オマタセシマシター 京太郎「お、来た来た」 京太郎「なあ、咏ってさ」ゴクゴク 咏「ん?」 京太郎「ウッ、麻雀したけ、と、あるか?コホッ」 咏「あ?なんだって?」 京太郎「ちょっ、ごめっ」ケホッケホッ 京太郎「はあ、落ち着いた」 咏「えーと、麻雀?」 京太郎「ああ、今俺と憩さんで麻雀部作ろうとしてるんだけどさ、咏も麻雀できるなら入部してくれたら嬉しいなって」 咏「ふーん、わかった。いいよ」 京太郎「え!はやっ!?そんな簡単に決めていいのか!?」 咏「別に入りたい部活なんて無いからねぃ~、元々部活なんて知らんし」 咏「それに私は地元で『cat chamber』って呼ばれるほどだったからね~」 京太郎「キャット…?」 咏「『cat chamber』な」 京太郎「なんだかよくわからんが、とにかくよろしく頼むな」 咏「おうよ、そういえば顧問て誰なん?」 京太郎「あ」 咏「確か創部に必要なのは顧問となる教員1名と生徒5名だったはずだけど、それはいいのかぃ?知らんけど」 京太郎「し、知らなかった……」 咏「しっかりしてくれよ~、そんじゃ私は別んとこ行くからじゃねぃ~」 京太郎「おう、じゃあな」 京太郎「次はどこに行くかな」 アリガトウゴザイマシター 京太郎「さてと、公園に行くか」 【公園】 京太郎「公園なう」 ??「あのーすんません、ここいら辺で、いかにも病弱って感じの女の子いませんでした?」 京太郎「いや、見かけませんでしたけど」 ??「そうですか、お手を掛けました」 京太郎「あの、もし良ければ手伝いましょうか?その人を探すの」 ??「え、ホンマ?じゃあ頼むわ!ウチは千里山の清水谷竜華や、よろしく」 京太郎「俺は三箇牧の須賀京太郎といいます」 竜華「須賀君はあっちの方探してくれへん?ウチはこっちの方探すから」 京太郎「わかりました」 ―――――――――――― 竜華「結局見つからんかったわ…どこに行ったんや怜ぃ……」ポロポロ 京太郎「すいません、お力になれなくて……」 竜華「ええってええって。ところで須賀君、三箇牧の憩ちゃんって知っとる?」ゴシゴシ 京太郎「荒川憩さんですか?」 竜華「せやせや、やっぱ知っとった?」 京太郎「知ってるも何も部活の先輩ですからね」 竜華「じゃあ須賀君も麻雀部なん?」 京太郎「ええ、まあ」 竜華「奇遇やなあ!ウチも麻雀部なんよ!なあ須賀君、今ケータイ持っとる?」 京太郎「はい」 竜華「じゃあちょっと借りて……ちょちょいのちょいっと」ピローン 京太郎「何をしたんですか?」 竜華「ウチの連絡先入れといたわ。同じ地区の麻雀部員同士仲良くしてこやー」 京太郎「そうですか、それじゃあこれからもよろしくお願いします」 竜華「うんうん、ええ子やなー須賀君は。じゃあ今日はありがとな、それじゃ!」タッタッ 京太郎「さよならー」 京太郎「……清水谷さんか、可愛い人だったな。そして、何よりあのおもちは……」デレー 京太郎「よし、帰ろう」 ガサガサッ ?「ふぅ、ようやくいなくなったわ」 【4月第1週 平日】終 【4月第1週 休日】 チュンチュン 京太郎「休日なのに早く起きてしまった…」 京太郎「咏の言っていた通り、創部には生徒5名と教員1名が必要らしい。あと、麻雀部は廃部状態だから5月末までに創部申請を出さなくてはいけないようだ」 京太郎「さて、朝はどうしよう」 京太郎「麻雀の勉強をしよう!」 京太郎「って言ってもどうするかな……」 京太郎「ネトマもいいけど基礎を固めたいところだからな」 京太郎「よし、基礎を固めるぞ!」 京太郎「そうと決まれば、『麻雀 基礎』っと」カタカタ 京太郎「お、手ごろなサイトが見つかったぞ」 京太郎「ふう……」 京太郎「まあ、こんなものか」 京太郎「他の人の部屋に遊びに行くか」 京太郎「池田さんの部屋に遊びに行こう」 京太郎「あの人の部屋ってどうなってるんだろうか」 京太郎「いーけーださん!あっそびーましょ!」 シーン 京太郎「ふむ、どこかに出かけているようだな」 京太郎「うーむ、どうしたものか」 京太郎「勉強をしよう」 京太郎「一応宿題もあったことだしな」 宿題「どっさりあるよ!どっさり!」 京太郎「んー、これは…誰かと一緒にやった方がいいかもしれない」 京太郎「この国語は照とやった方がいいかな」 京太郎「…いや、俺一人の力で片付けてやるぜ!」 京太郎「いつまでもあいつの力借りてちゃいけないからな」 ―――――――― 京太郎「お、案外早く終わったな」 京太郎「『セメント樽の中の手紙』か悲しい話だったな」 京太郎「買い物に行くか」 京太郎「さて、どこへ行こうかな」 京太郎「めぼしいものは」 牌のお姉さんの麻雀教本 初級編…1400円 牌のお姉さんの麻雀教本 中級編…2000円 牌のお姉さんの麻雀教本 上級編…2800円 小鍛治健夜の目指せ!グランドマスター!…2800円 迫り来る怒涛の修羅場…2000円 驚愕!雀士改造術!…1900円 女性を落とす40の方法…1000円 参考書…600円 小説…600円 WEEKLY 麻雀 TODAY…600円 京太郎「さて、何を買おう」 京太郎「これください」 店員「計4500円となります」 京太郎「はい」チャリン アリガトウゴザイマシター 買った物 牌のお姉さんの麻雀教本 初級編 コンマ判定で雀力up 読む度に成功率が上がっていきます 驚愕!雀士改造術! 読書後に一緒に麻雀の特訓をした人の雀力up 参考書 勉強時に使用可能。 勉強の成功率、獲得学力が上がります WEEKLY 麻雀 TODAY 1回しか読めません。 無条件で雀力up 夜 京太郎「少し出歩いてみるか」 京太郎「夜の大阪ってこんな感じなのか」 京太郎「長野とは違ってあんまり星が見えないんだな」 京太郎「あれ、こんなとこに張り紙があるぞ」 張り紙「不審者に注意でー」 京太郎「不審者か、気を付けなければな」 京太郎「しかし、今日会話をしたのが本屋の店員さんだけだったとは……」 【4月第1週 休日】終了 【4月第2週 平日】 京太郎「遅刻に用心して早起きしてきたぞ!」 京太郎「お、あの人は……エイスリンさんじゃないか!」 京太郎「おーい!エイスリンさーん!」 エイスリン「ア、スガクン!」 京太郎「どうも、おはようございます」 エイスリン「オハヨウ!」 京太郎「エイスリンさんって麻雀に興味あります?」 エイスリン「…マージャン?」 京太郎「ああ、やっぱり知りませんでしたか」 エイスリン「ソレッテgame?」 京太郎「はい、とっても楽しいですよ」 京太郎「今、憩さんと麻雀部作ってるんですよ。だからエイスリンさんも入ってくれたら嬉しいなって」 エイスリン「ヘー、ソレジャアミニイコウカナ!」 京太郎「じゃあ今日の放課後に麻雀部に行きましょう。迎えに行きますよ」 エイスリン「ウン、ワカッタ!」 京太郎「おおよそ眠気というものがしなかったぜ!」 京太郎「昼はどこに行こうか」 京太郎「今日は弁当を作って、中庭に来たわけだが……」 女子1「はい、あーん」 男子1「お返しだよ、マイハニー」 女子2「もう!遅いよ!男子2君!」 男子2「いやあ、ごめんごめん」 女子3「ほら鳴きなさい!このブタァ!」 男子3「ブヒィィィィィ!」 京太郎「なんだこの桃色空間は」 部員A「そっちに行きましたよ!池田部長!」 華菜「お任せあれ!うにゃああああ!」 京太郎「あれ、池田さ」 ドーン! 華菜「痛ててって、須賀じゃないか」 京太郎「やっぱり池田さんでしたか」 華菜「うにゃああああ!逃げられた…」ガックシ 部員B「諦めません!諦めませんよ!」ザッザッ 部員C「左に同じ!」タッタッ 部員A「よーし、いっちょやったろー!」ウォー! 華菜「あ、お前ら、カナちゃんを置いてくなし!」ダダダダ 京太郎「何だったんだ一体……」 教師「今日はこれで終わりやで~」 京太郎「さて、エイスリンさんを迎えに行くか」 咏「どこ行くんだよ~京太郎~」ウリウリ 京太郎「咏か、これから部活に行くんだが、一緒に来るか?」 咏「おう、行く行く!」 京太郎「その前に、エイスリンさんを迎えに行くから少し付き合ってくれ」 咏「わかったぜぃ~」 【三年フロア】 京太郎「あ、エイスリンさーん」 エイスリン「スガクン!ソレ二ウタモ!マッテタヨ!」 京太郎「それじゃあ行きましょうか」 【部室】 京太郎「こんにちはー」 憩「お、京太郎君。来たかーっと、あれなんで咏ちゃんとエイスリンちゃんがおるん?」 京太郎「咏は麻雀部に入るらしいですよ」 憩「え!そうなん!?おーきにやで!咏ちゃん!」 咏「まあ、よろしく頼むぜぃ」 京太郎「それでエイスリンさんは」 エイスリン「ケンガクニ、キタ!」 憩「京太郎君、流石やで!」 京太郎「いやーそれほどでも…ありますけどね!」ドヤァ 咏「そのドヤ顔さえなければいいんだけどな」 京太郎「今日は何をしようか」 京太郎「エイスリンさん、俺と特訓しましょう!」 エイスリン「ウン!」 憩「じゃあウチと咏ちゃんはいつもの雀荘行ってるねー」 京太郎「はい、わかりました」 咏「じゃあまた明日ねぃ~」フリフリ 京太郎「おう、じゃあな!」 ―――――――― エイスリン「コレガ1翻デ、コレガ…2翻?」 京太郎「おお!飲み込み早いですね!」 エイスリン「ソ、ソウカナ…?」テレテレ 京太郎「やっぱり、エイスリンさんには入ってほしいです!一緒に楽しみましょうよ!」 エイスリン「ケイ、トウタト、スガクン…」カキカキ エイスリン「スガクン!」バッ |4人で卓を囲んでいる絵| エイスリン「ワタシ、ハイル!ガンバロウ、スガクン!」 京太郎「はい!お願いします!」 京太郎「いい感じの時間なので、そろそろ帰りましょうか」 エイスリン「ウン!」 【帰り道】 京太郎「へー、ニュージーランドってそんなところなんですか」 エイスリン「キレイナトコロダヨ!」 京太郎「いつか行ってみたいですね」 エイスリン「ナラ、イツカイコウネ、イッショニ」 京太郎「はい、…お」 エイスリン「ドウシタノ?」 京太郎「いや、綺麗だなって」 エイスリン「エ?」 京太郎「夕焼けが…ってどうしたんですか?顔が赤いですよ?」 エイスリン「ナ、ナンデモナイヨ!ユ、ユウヤケノセイジャナイカナー//」 京太郎「そうなんですか?ならいいですけど。それじゃあ約束ですね」 エイスリン「ヤクソク?」 京太郎「エイスリンさんとニュージーランドに行くって約束です」 京太郎「あ、小指出してくれますか?」コユビ エイスリン「コユビ?コウ?」コユビ 京太郎「はい、そうです。指切りげんまんです」 エイスリン「ユビキリ…?」 京太郎「日本では約束をするときこうするんですよ」 京太郎「ゆーびきりげんまん、うーそついたらはりせんぼんのーます」 京太郎「ゆーびきった!」 【4月第2週 平日】終了 【4月第2週 休日】 京太郎「ふむ、清々しい朝だな!」 京太郎「そういえば照と麻雀するって話どうするかな」 京太郎「さて、今朝はなにをしようかな」 京太郎「麻雀の勉強をば」 京太郎「今日は如何様にしようか」 京太郎「憩さんに早く追いつきたいから、基礎からいこう」 京太郎「この前みつけたこのサイトで…」 京太郎「ふむふむ」 京太郎「ふぅ~む、なるほどなるほどなるほど~」 京太郎「中々参考になるな~このサイト」 京太郎「もう昼か…何をしよう」 京太郎「他の人の部屋に遊びに行くか」 京太郎「今日こそはいますように」 京太郎「さて、誰の部屋に行こうか」 京太郎「照ならいるはずだろ」 京太郎「照ー、いるか?」 霞「あら、京太郎君。照ちゃんなら朝早くからどこかに行っちゃったわよ」 京太郎「」 京太郎「気を取り直して麻雀の勉強をしよう…そうしよう…」 京太郎「どんなふうにやるかな」 京太郎「ネトマをしよう!」 京太郎「ここで予約をして…」 京太郎「おお、来たぞ!」 すく水『よろしくですよー』 大好き三つ子!『よろしく頼むしっ!』 ヒロリン『よろしくさんさんさんころり~』 京太郎「よかった…俺はぼっちじゃなかったんだな」グッ 京『よろしくお願いします』 ヒロリン『よし、はじめよかー』 京太郎「俺が起家か」 京 ノーテン すく水 テンパイ 三つ子 テンパイ ヒロリン ノーテン 京『ぐぬぬ』 ヒロリン『アカン、アカンなぁ』 三つ子『好調だし!』 三つ子『ツモ!1600・3200だし!』 京『やられた!』 京 21800 すく水 23400 三つ子 31400 ヒロリン 23400 ヒロリン『やったるでー!』 すく水『そろそろうるさいですよー』 東2局 流局 京 22800 すく水 20400 三つ子 32400 ヒロリン 24400 ヒロリン『まだまだやるでー!』 京『またノーテン…』 三つ子『ツモ!3200オールだし!』 東3局 三つ子のツモ→1本場へ 京 19600 すく水 17200 三つ子 42000 ヒロリン 21200 三つ子『連荘だし!』 すく水『やってやるのですよー!』 東3局1本場 流局→2本場へ 京 20600 すく水 18200 三つ子 43000 ヒロリン 18200 京『逃げ切ろう』 ヒロリン『おっかしーなー』 京『ツモです!1600・3200の2本場は1800・3400!』 東3局2本場 京のツモ和了→東4局へ 京 27600 すく水 16400 三つ子 39600 ヒロリン 16400 京『この調子でいくぜ!』 三つ子『そうはいかないし!』 すく水『勝負は最後までですよー』 ヒロリン『もうええんや…』 すく水『まずは避けますよー』 三つ子『オリとくし…』 ヒロリン『ダメやな…なにもかも…』 京『ロン!12000!』 ヒロリン『嘘…やろ?』 終局 1位 京 39600 2位 三つ子 39600 3位 すく水 16400 4位 ヒロリン 4400 すく水『お疲れさまですよー』 三つ子『惜しいところだったのに…』 京『なんとか…なりましたね』 ヒロリン『あははははははは』 京太郎「よし、勝てたぞ!」 京太郎「ヒロリンさん…か、なんだか怖かったな」 京太郎「この後は何をしよう」 京太郎「一休みしたら買い物に行こう」 京太郎「さて、どこへ行こうか」 京太郎「文房具屋に行くか」 ノート…200円 シャーペン…300円 赤のマーカーペン…300円 いわくつきのペン…500円 いわくつきのシャーペン…600円 高めのシャーペン…900円 関数電卓…1000円 京太郎「あのー、このシャーペンって一体?」 店員「それで勉強すると夢中になってるものが上手なるっていういわくつきのシャーペンやで」 京太郎「それじゃあ、このボールペンは一体?」 店員「それを持ってる人と仲良くなれるいう代物や、神様の力借りとるとかでここでも2本しか置いとらんのや」 京太郎「これが最後の1本なんですか」 店員「せやせや、全国で6店くらいにしか置いとらんらしいで」ドヤァ 京太郎「へー、ならこの2本ください」 店員「おーきにやで、兄ちゃんまあ頑張りなはれや」 京太郎「麻雀の勉強をしよう!」 京太郎「さっきは調子がよかったからな」 京太郎「調子に乗ってちゃいけないな、うん」 京太郎「…今日麻雀以外になにやったっけ」 【4月第2週 休日】終了
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6349.html
京太郎「もう麻雀部にいても俺の存在意義は無いよな……」 京太郎「なんだかんだで和目当てで入っただけだし、ここらが辞め時かな」 京太郎「ちわーっす」ガチャ 咲「あっ、京ちゃん」 優希「おおー犬!ちゃんと今日は来たな、えらいじょ!」 京太郎「ちゃんと毎日来てるだろ……」 久「こんにちは須賀君」 京太郎「あ…どうも……部長」 久「来てもらって早速で悪いけど、あなたに買い出し頼んでもらっていいかしら?」 久「えっとねぇ……今日はクリーナーと何か甘い物を」 京太郎「無理ですよ部長。今日は無理なんです」 久「無理?えー、どうして?ひょっとして今日は体調が悪かったりする?」 京太郎「俺、今日限りで麻雀部辞めるんで」 久「ほうほう、麻雀部を辞めると……それはそれは」 咲 久 優希「!?」 京太郎「これ、退部届です」スッ 京太郎「ハンドボールで全国を目指すからです」 久「ハンド……ボール?」 まこ「はて?なんで急にハンドボールなんぞに目覚めたんじゃ」 咲「……京ちゃんはこう見えて、中学の時ハンドボールで県大会決勝まで行ってるんです」 まこ「ほぉ!それはすごいの」 優希「初耳だじぇ」 和「わ、私もです」 京太郎「はは……一応、清澄に入る前に色んな所からスカウトは来てたんだ。全部断ったけど」 久「どうして?清澄に来たってハンドボールなんて有名じゃないのに」 京太郎「それは、やっぱり咲をほっとけなくて…」チラッ 咲「えぇっ?!わ、私?」 京太郎「でも、もう俺が居なくても大丈夫そうだし、俺もあいつみたいに自分に合った人生を歩もうかなって思って」 京太郎「だから麻雀は今日で終わりにします」 咲「京ちゃん……」 京太郎「部長。退部届受け取ってくれますよね?」 久「………」 久「あなたの人生よ、好きにしなさい」 京太郎「ありがとうございます……お世話になりました」 咲「ぶ、部長!」 優希「どうして引き止めないじょ!?」 久「私には須賀くんを引き止める権利なんてない」 久「それに、本人もそれは望んでないみたいだし」 和「……あの、須賀くん」 京太郎「和にも色々世話になったな。麻雀教えてくれてありがとな」 和「いえそれはいいんですが…本当に辞めてしまうんですか?麻雀部」 京太郎「ああ」 和「私が入って、優希も入って、それからあなたが入って……ずっと盛り立ててきた麻雀部を」 京太郎「そうだよ」 和「……分かりました。なら、もう私は何も言いません」 優希「わ、私は絶対認めないじょ犬!飼い主を捨てて遠くへ行くなんて許さないからな!」 久「遠くって大袈裟ね優希は。清澄にいるんだからいつでも会えるでしょ?ねぇ、須賀くん」 京太郎「………」 久「……まさかあなた」 京太郎「実は」 京太郎「体育推薦転入で白糸台へ行くことになってます」 優希「ぎゃぽ!?」 咲「そんな……嘘でしょ?だって、そんなこと昨日まで一言も!」 京太郎「ウソじゃない。もう手続きも全て済ませて、東京に行く準備も済ませてある」 まこ「ちゅーことはずいぶん前から麻雀部だけじゃなく清澄も辞める気やったってことじゃな」 久「……私が麻雀部を辞めるのダメって言ってたらどうしたのかしらね?」 優希「ふざけるな!!そんな話聞いてないぞ!」ガシッ 京太郎「うわっ!」 優希「京太郎は清澄だじぇ!白糸台なんかに行かせたりしないじょ!」 京太郎「お、おい!足に引っ付くなって!靴とかの汚れがついちまうぞ」 優希「首を縦に振るまで離れないからなー!」ギュウウ まこ「まるで駄々っ子じゃの」 和「ゆーき……」 京太郎「……困ったな」 咲「……」 京太郎「ああ、咲。ちょうど良かった、お前からも何か言ってやってくれ」 咲「一つさ、ルール追加してもいいかな?」 京太郎「何だよ」 咲「京ちゃん達三人は十万点持ちのスタートで私は0点からのスタートってことで」 優希「じぇ!?」 咲「それ以外はいつもと同じルールだよ」 和「さ……咲さん、いくらあならでもそれは無茶ですよ」 久「随分イカれたルールね。で、何の為にそんなルールを作ったの?」 咲「特に理由は何もありませんよ」 京太郎「清澄に留まってもらう、とか言うんじゃないだろうな?」 京太郎「そんな賭けに乗るつもりは無いぞ馬鹿馬鹿しい」 咲「もう、本当に何もないってば!」 京太郎(持ち点が0点なんて何企んでんだ咲は) 京太郎(俺だけじゃともかく優希も和もいるってのに、一回でも和了されたら終わりじゃねーか) ――――― ―――― 和「………」 和(誰も振り込まない……) 優希「………」 優希(誰も和了しないじぇ……) 咲「あ、またみんな聴牌で流局だよー」 咲「これじゃ中々終われないね」ニコッ 久(驚いた…これ支配なんてそんなレベルじゃないわ……) まこ(全員が全員聴牌するものの誰も和了できないとは。天江衣の一向聴地獄みたいじゃのう) 京太郎「咲……そろそろ」 咲「え?」 京太郎「もう俺の負けでいいからさ、やめにしないか?」 咲「何言ってるの京ちゃん」 咲「この一局が終わるまでは清澄に居てくれる約束だよね?」 京太郎「そ、そうだけどさ……」 咲「ならこの一局が永遠に続けばずっと清澄に居られるよね」 京太郎(い……いや流石に冗談だろ……冗談だよな?) 京太郎(しかし、俺はいいとしても……) 和「………」フー 優希「うう…頭がクラクラしてきたじぇ」 京太郎「咲、二人とももう限界だ。やめよう」 咲「ダメだよ。そしたら京ちゃんがいなくなっちゃう」 京太郎「そんなこと言ってる場合かよ!」 京太郎「和も優希もお前の大事な友達だろ!」 咲「早く終わらせたいんだったら和了すればいいじゃん」 京太郎「お前……」 京太郎「本当に咲か?」 咲「あはは、何言ってるの」 咲「私は京ちゃんがよく知ってる、読書が趣味の地味でドジな宮永咲だよ」 京太郎「っ」ゾクッ 京太郎(咲は……こんな奴じゃ無かった) 京太郎(ドジで地味だけど、一緒に居るとすげー安心できる女子だったけど……いまはただただ怖い) 咲「あ、また聴牌で流局だよー!」 京太郎(……いや、咲を麻雀部に連れてきたのは俺だ) 京太郎(くだらない理由で連れてきて咲を変えてしまったのは俺のせいじゃないか) 咲「本当に………麻雀って楽しいよね!」 カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4462.html
(初めての入部試験の時) ガラガラ 美幸「みんな、おっはよー」 京太郎「失礼します」 京太郎(変わった和風の部室だなぁ) 京太郎(部員はみんな裸だな) 京太郎(……てか、お茶を点ててる人もいるし) 京太郎(ここ、ほんとに麻雀部なのか?) 京太郎(………ん?) 京太郎(裸……?) 京太郎(裸?) 京太郎(……) 京太郎「えええええええええええ!!!」ウワアアア 京太郎「ちょっと、椿野先輩!何でみんな裸なんですか!」オロオロ 京太郎「って、なんで先輩も服脱ぎ始めてるんですか!!」アセ 美幸「?、なんでって普通だよね~、梢ちゃん」 梢「そうですね」 梢「私たち麻雀部では、伝統的に裸で部活を行っているのです」 京太郎「」 梢「裸はいいものですよ」 梢「人間は生まれた時の姿に立ち返ることにより」 梢「極限まで集中力を高めることが出来ます」 梢「私たちが最大限の力で麻雀を打つためには」 梢「裸になることが不可欠なのです」 梢「本来なら公式試合でもそうしたいのですが……」 梢「残念ながらそれは叶いませんでした」 京太郎(当たり前だろ) 梢「そもそもなぜこの麻雀部が裸で部活動を行うことになったかというと……」ブツブツ 美幸「あ~、この状態になった梢ちゃんの話はかなり長いんだよね~」 美幸「ほっといてさっそく麻雀しよっ!」 京太郎「」 ~対局前~ 澄子「よろしくお願いします」 澄子「……その」 澄子「遠慮せずにもっと見てもいいんですよ?」 京太郎「」 友香「よ、よろしくで~」 友香「お、おい……」 友香「恥ずかしいから……あんまり見ないで……」カアッ 京太郎「」 莉子「あ、ああ……ああ…」カタカタ 莉子「わ、わわたし……お、男の人にからだ……」カタカタ 莉子(で、でも……決まりだし……し、仕方ないよね……) 京太郎「ああああああああああああああ!!!!!」 京太郎「集中できねえええええ!!」 京太郎「もうだめだああああああああ!!」 京太郎「うわあああああああああ!!!」 翌日、部室で冷たくなっている京太郎が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6231.html
特別編 ふたりの日記、由暉子ver ※本編とは完全に別のものです。別の世界線とかそういうのです side京太郎 4月×日 麻雀部に入部した 男子が少ないこの学校でどうしようかと悩んでいたが、 『そこゆく1年男子。そう、そのスケベそうな君。どーよ?ちょっと麻雀打ってみない?今ならアイドル目指すいい子いるよ?』 という謎の勧誘を受けた。何この人、と思ったが、隣に同じクラスのロリ巨乳がいたので試しに、ということでやってみた 麻雀自体も中々面白かったし、他によさげな部もない 何よりロリ巨乳とお近づきのチャンス、ということで入部した あのおもちのために、やってやるぜ!! side由暉子 4月×日 正式に麻雀部に入部しました まぁ、今まで通っていたので何が変わるという訳ではないでしょうけど 早速新しい衣装を着て『よし!部員勧誘だ!形だけでもやっとかなきゃな!!』という爽さんに連れられ廊下へ たまたま男子が通りがかり、声を掛けてみると本当に入部したのはビックリでしたね よく胸を見てますが、話やすい人ですし、先輩達も男子がいると色々助かるということで結構みんな抵抗なく受け入れてました いきなり雑用とかなの確定ですかとも思いましたが、男子本人も特に気にしてないみたいです なんにせよ、これから楽しみです side京太郎 5月○日 麻雀のルールや役は大体覚えたが……勝てねぇ 成香さん、誓子部長、揺杏さんはともかく、由暉子とか勝てる気がしないし、爽さんなんか意味わからん。 なんだアレ別の生き物か やるなら勝ちたいんだけどなー しかし最近、大会に向けて、とか言って由暉子の新しい衣装が増えてる あのちっこさであの立派すぎるおもち……そりゃ大胆で可愛い衣装なら人気出るわ 畜生、打ってる最中にどーよ?とか聞いてきやがってありがとうございます side由暉子 5月○日 最近は京太郎くんもルールや役を覚えたようでよく打ってます でも私や爽さんには全く勝ててません。特に私と打つ時、胸ばっかり見てるから負けるんです 見るのはいいんですが、ちゃんと麻雀に集中しないと それでも大半の雑用や力仕事を引き受けてくれるのはありがたいです これから忙しくなってきますし、何かお礼をするべきですよね そう先輩達に言ったら、新しい衣装を着て見せればいいと言われました その通りにやったら確かに喜んでましたけど、こんなのでいいんでしょうか? side京太郎 6月△日 麻雀部がまさかの団体戦優勝、そして全国へ 軽い感じかと思ってたけど、全国でってのはマジだったのか…… 俺なんて全然だったのにな これからはもっと頑張ろう それと、最近由暉子が呼び出されることが多くなった 大会で活躍して目立つようになってからか、つまらん男が寄ってくる、と爽さんと揺杏さんが言っていた 由暉子もさすがに変な男についてったりしないだろうけど、大丈夫か? side由暉子 6月△日 かなりきつかったけど、団体戦は勝てました これから全国、先輩達は全国デビューだ!って言ってました 全国……私達がどこまで行けるかはわかりません でも、やれるだけのことはやりたいです それと、最近男子に呼び出されることが多くなりました 告白されたり、連絡先聞かれたりとちょっと困るので先輩達に相談すると、京太郎くんが彼氏ということにすればいいと言ってくれました 実際そう言うとすぐに終わりますし、これはいい解決法です side京太郎 7月□日 最近クラスでよく男子に無意味に叩かれたり、女子に由暉子と二人きりにされたりする なんだ?何かやったのか? 男子はリア充爆発しろ!とか言ってくるし 麻雀部にいるからか?確かに女子ばっかりだが、2人くらい小学生男子みたいなのがいるけど 成香さんは小動物みたいだし、由暉子は抵抗しない、誓子部長は保護者? よく分からん、何もやってないはずなのに ま、由暉子や部に迷惑かかってないならいいか side由暉子 7月□日 学校ではすっかり私と京太郎くんが付き合ってる、ということになってました 2,3回くらいしか言ってませんけど、噂ってすごいですね おかげで呼び出されたりもなくなりました ただ、他の女子から色々聞かれるのがちょっと大変です 付き合ってないのにどこまでいった、どうやって落とした?とか聞かれても困ります 適当に返せばいい、と爽さん達が言うので、『ご想像にお任せします』と返すようにしました 何か余計に騒がれてる気もしますが、大丈夫でしょう。悪い気もしませんし side京太郎 8月●日 ま、まさかの全国制覇だああああああ!! マジで?マジなのか!? 本当に全国制覇するなんてすげーよ!! みんな泣いてたわ、感動で 俺も、もっと頑張ってみるかな…… side由暉子 8月●日 ほ、本当に全国制覇しちゃいました!! 流石の爽さんも最後は茫然としてましたし、揺杏さんも、成香さんも誓子さんも泣いてました 去年は麻雀なんてほとんどやってなかったのに、いいんでしょうか まさかのことにあんまり現実味がありません でも、それでもすっごく嬉しいです!! side京太郎 9月◇日 最近やたらと由暉子に取材やらなんやらが増えた アイドル路線、とか言ってたけどマジでアイドルになりそうな勢いだ 1回、マジで瑞原プロが来てて、次期牌のお姉さんにとかって話があったとか 由暉子には他校からまで野郎から告白とかが増えたとかだし 大変そうだなー しかし、クラスの女子がいいのか?とか聞いてくるのはなんだ? 俺がなんだというんだろうか? side由暉子 9月◇日 最近は色んな人がくるようになりました 雑誌等の取材からグラビアまで本当にやるとは思いませんでした 特に瑞原プロが本当に来たのは驚きました 次期牌のお姉さん……面白そうではありますが、まだ高校1年生ですから決められません それと、そういうのを抜きに卒業後プロに興味ないかとも聞かれました 他校の男子からも色々増えましたし、アイドルって実際は大変なんですね 少し部に顔を出す時間が減ったのが、少し寂しいです side京太郎 10月▽日 今日は由暉子の誕生日だったので、みんなでお祝いをした 俺は手編みのマフラーと手袋をプレゼントした 衣装とかじゃなく、普段使えるようなデザインにしたものだったが、由暉子は喜んでくれた 秋の大会も近く、最近忙しいのに俺の指導だってしてくれてるし、これくらい当然だ 最近は由暉子や爽さんと打っても前みたいにすぐ飛ばされたり焼き鳥だったりも減ってきたし 次の大会は俺だってやってやるぜ! side由暉子 10月▽日 今日は私の誕生日で、みんながお祝いしてくれました すっかり忘れていて、サプライズのような形で驚きましたが、とても嬉しかったです みんなからプレゼントを貰いました。でも爽さんがくれたプレゼント、派手な下着はなんでしょうね? 京太郎くんからは手編みのマフラーと手袋を貰いました 普段使えるものを、ということでしたのでさっそく明日から使います 最近は練習も頑張ってるのに。ありがとうございます、京太郎くん side京太郎 11月■日 今日はとんでもない話を聞いた 俺が由暉子と付き合っている、という話だった 6月に由暉子自身がそう言った、と告白して玉砕した男子から聞いた すぐに部室で聞くと、『……やっべ、忘れてた』と爽さんが言った アンタが元凶か! 一応由暉子の負担を減らすため、という理由があったからいいが、せめて一言言えよ 由暉子にも確認を取り、今後はそういうことは無い、ということで話が付いた side由暉子 11月■日 今日、部室で京太郎くんがいきなりとんでもないことを言ってきました 『俺と由暉子が付き合ってるって、どういうことですか!?』 成香さんは驚くし、揺杏さんはお茶を吹くし、それが誓子さんが勉強しているノートにかかるしで大変でした 『……やっべ、忘れてた』と爽さんが言い、京太郎くんに噂の件を伝えることを忘れていた、ということでした 京太郎くんもちゃんと分かってくれたみたいで良かったです でも、なんでしょうね 『そういうことは無い、ってことでな』と京太郎くんに言われた時、少し胸が痛かったです side京太郎 12月◎日 今日はクリスマス、なので麻雀部でクリスマスパーティーをした 正直、有珠山でこういうことやっていいのか疑問でもあるが 『楽しければいいじゃん?』という爽さんの一言で解決した プレゼント交換では、由暉子のブロマイドが当たった 部屋に飾るか、と冗談半分で言うと、じゃあ撮り直そう!ということで由暉子とのツーショット写真を撮ることになった 由暉子も言われるがままに、俺の腕に抱き着くような形になり、俺は腕の柔らかい感触のせいで何も言えなかった 後日、ツーショット写真は焼き増しするとか。俺としてはみんなで撮るのもいいんだが、ま、いいか side由暉子 12月◎日 今日はクリスマス、なのでみんなでクリスマスパーティーをしました 多少やっていいものかの疑問はありますが、爽さんが言うように、楽しいからいい、です プレゼント交換では、京太郎くんの用意した可愛らしいマグカップとテディベアでした 結構良いものですし、大事にします それと、京太郎くんに私の写真が当たってしまい、それから流れで京太郎くんと2人で写真を撮ることになりました もっと寄って、等と言われたので、思い切って腕に抱き着いちゃいました 京太郎くんの腕、思ったより逞しかったです。写真を早めに送ってもらえるよう頼みましょう side京太郎 1月☆日 新年あけましておめっとさん 今日はみんなで初詣に出掛けた 由暉子は着物を着ていて、なんと今回は揺杏さんが用意したものじゃないらしい 自分で着てみたかったからレンタルしてみたとか。似合ってていいと思う。綺麗だ それからお参りを済ませ、おみくじを引いた。結果は吉。ま、いっか 爽さんや揺杏さんが大凶引くまでやるとか小学生みたいなこと言ったりしてた。気持ちは分かるけど女子高生のやることじゃなねーよ 何故か由暉子は見せてくれなかった。あんまりいいこと書いてなかったか? side由暉子 1月☆日 新年あけましておめでとうございます 今日はみんなで初詣に出掛けました せっかくだからと着物をレンタルしてみました。みんな、京太郎くんからも綺麗だ、似合うと言われて嬉しかったです お参りを済ませた後、おみくじを引きました 爽さん達は何か騒いでいましたが……正直、仏教とか神道?のことなのにいいんでしょうかね 結果は小吉……恋愛、自分でも気付かない想い、はやく自覚するべし……なんでしょうか 恋愛なんて、相手はおろか男子だって京太郎くんしかいないのに…… side京太郎 2月▲日 今日はバレンタイン、という訳でチョコを貰って、そしてあげた。逆チョコって奴だ 普段のお礼も兼ねて、いいだろう でも爽さんと揺杏さんのジョークグッズみたいなチョコは許さん。無駄に高い技術でチョコとわさびを組み合わせるな 他のみんなもくれたが、由暉子がやけに凝ったチョコをくれた アイドルがそういうことしていいのか?と聞くと少し機嫌を損ねたようにそっぽ向かれた 後で何か埋め合わせでもするべきか? ホワイトデーに何かやるかな side由暉子 2月▲日 今日はバレンタイン、なので普段のお礼も兼ねてチョコを作りましたが、京太郎くんからももらってしまいました しかも誰よりも美味しかった……料理、勉強し直すべきでしょうか 京太郎くんに渡す時、頑張って手作りしたのに、『アイドルがそういうことしていいのか?』って言われました 別にいいじゃないですか。ちょっとムッっときたのでしばらく話してあげません でも、アイドルだからって。私だって1人の女の子で……アレ? 女の子として……なんでしょう。私、何を考えて? 分かりません、京太郎くんのことを考えると、変な考えばかり浮かぶのも、分からないことだらけです side京太郎 3月◆日 今日はホワイトデー、バレンタインの時のお返しも兼ねて、由暉子と2人で出かけることに 正直、爽さんや誓子さんが卒業して少し落ち込んでいるかとも思ったが、そんなことはなかった むしろ、今まで以上に頑張ろうという感じだった お互いにお返しのものを選ぼうと色々な店を回ったが、中々これというものがなかった 昼を適当なところで済ませた後、無理に今選ばずいいものがあれば、ということになり、そのまま午後は遊ぼうという話になった 映画やゲーセンなど、色々なところを回っていると、すぐに日も暮れてしまった 最後にいい景色が見れる場所があると由暉子に案内され、向かった場所は人気のない公園だった しかしそこは、夕日が綺麗に見えるいい場所でもあった しばらく2人で静かに夕日を見ていると、不意に由暉子から袖を引っ張られた なんだと思いながら由暉子の方を向くと、不意打ちでキスされた 唇はすぐに離れ、正直状況が全く理解できなかった が、それは何故か由暉子も同じようで、キスしてきた由暉子の方もかなり困惑した様子だった そのまま由暉子は走ってどこかへ行ってしまった そうしてしばらく経ち、今に至る まさかとは思うけど、由暉子の奴…… side由暉子 3月◆日 今日はホワイトデー、なのにとんでもないことをしてしまいました…… お互いにバレンタインのお返しをするため、京太郎くんと出かけました 初めは色々な店を回っていたのですが、あまり良いものがなく、午後は遊ぶことに そのまま色々遊んだ後、前に先輩から聞いた綺麗な夕日が見える公園に行きました 話に聞いてはいましたが、そこで見る夕日はそれ以上に綺麗でした しばらく見ていてふと隣を見ると、京太郎くんの横顔が見え、そこからは正直無意識でした 京太郎くんの服の袖を掴み、こっちを向かせて……私からキス、しました 京太郎くんも驚いていたと思いますが、私の方がもっと驚きました どうして、なんで……そんなことばかり考え、気付けばそこから走っていました そのまま家に帰っても、顔が熱いのもやけに鼓動が早いのも、いくら経っても収まりません だって、私から……でも……嫌じゃ、なかった? じゃあ……私は……京太郎くんのことが…… 京太郎「あー、この日のことは忘れられねーわ」 由暉子「私もです。ずっと前からだったとはいえ、自覚する前から無意識にキスなんて……」 京太郎「お前部室で翌日会うなり即行キスしてきただろ」 由暉子「確認したかったんです。本当に好きなのか、勢いじゃなかったのか」 京太郎「で、確認できたから?」 由暉子「押し倒しちゃいました」テヘ 京太郎「テヘ、じゃねーよ。真顔でやんな」 京太郎「ったく、後から来た成香さんは真っ赤になるし、揺杏さんはノリノリで根掘り葉掘り聞いてくるし」 由暉子「ガッツリ見せつけるかのごとく語ったからいいじゃないですか」 京太郎「揺杏さんが『私が悪かった、だからもういい。マジで砂糖吐く。げっろ』って言っても止めなかっただろ」 由暉子「愛が抑えられなくて……そういう京太郎も今、抑えてないですよ?」 京太郎「……ま、同意できるしな」 由暉子「結局こうなりますね。私からでも、最後はされるがままになりますし」 京太郎「嫌か?」 由暉子「むしろ、もっとお願いします」 カンッ!!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3407.html
黒髪の女と金髪の男が歩いている。 夜空の下だ。月下に晒され、互いの姿が照らされている。 「じゃあ、東横さん、俺はここで」 「はい、さよならっす」 立ち止まったのは、バスの停留所の前だ。別れを告げ、ゆっくりと名残惜しげに女のほうが去っていく。 数度、振り返るたびに、寂しそうな笑みを男に向けて。 〇 炎天下だ。既に七月ともなれば太陽はその勢力を増し、勢いを強める。 汗が滴る。額の水滴を白のワイシャツの袖で拭い、男は一息をついた。金髪の男だ。 端整な顔立ちは軽い歪みを見せ、息は喘いでいる。 「ああ、くそ、何で俺はこんなところに来ているんだか」 男はぼやくかのごとく呟く。 理由はあった。男はとある部活動に所属していた。麻雀部という。 清澄高校麻雀部。今年県予選を突破し、インターハイに出場することになった。弱小――、否"元"弱小部だった。 男はそこに所属していたが、男性部員は男一人しかいないが故に、ある種雑用ともいえる立場に存在している。 男はそれをどうと思ったことはない。男自身、自身が弱いと理解しているし、女性に頼りにされるのは嫌いではない。 何より、女性に頼られるというのは男としてひとつのナルシチズムとでもいう何かをくすぐられるのは快感だ。 ――まあ、それが雑用という立場というわけだが。 努力をしていないわけではない、入部してすぐに役は覚えた。符計算もできる。戦術とその理論も理解した。 されど、結局のところ――、圧倒的に経験が足りない。 「まあ、俺は俺のペースでゆっくり行けばいいさ」 男は息を整え、歩みを続ける。 と、 「わ」 「きゃ」 衝撃がくる。鈍く感じたそれは人と接触したものだ。当たったそれは軽く此方に損傷はないが、 「あたた……」 男の目の前に、一人女が尻餅をついていた。 ああ、と男は呻いた。 ――少しボーっとしすぎたかな。 失敗したな、と思いつつ、男は手を差し伸べ、 「えっと、ごめん。立てる?」 声をかけた。 沈黙。 ――あれ、俺何か間違えたことしたか? 思考の波が来る。対応を間違えたとは思わない。少なくとも紳士的な行為に分類されるはず――、はずだ。 「あ、あの」 声。控えめに女の声が来る。 「貴方は、私が見えるっすか?」 女の問いを不可思議に思いつつ、 「ああ」 肯定の意を示した。 「そ、それ本当っすよね? 実はからかったりしてるとかそういうオチじゃないっすよね!!!??」 「??? あ、ああ」 弾丸を髣髴とさせる勢いで女がまくし立てる。男は意図がわからない。 まあ、とりあえず――、 「と、とりあえずどこか座れるところでゆっくりしよう」 男は提案した。 都会というにはこじんまりしている。精々、市とでも呼ぶ規模の一意の片隅に小さくまとまった喫茶があった。 モダン調で明治を髣髴とさせる。外装は赤いレンガと目立つのに、意識せねば目立たないような喫茶だった。 店内は薄暗く、天井にはゆっくりと回転する三本の羽で構築されたオブジェが釣り下がっていた。 「いいところだね」 「そう思ってくれるっすか? それなら案内した甲斐があったっす」 既に汗は引いていた。 店内は薄く冷房が効いていて、快適だ。 男は、手を上げ、従業員を呼んだ。 「アイスコーヒー、二つ」 従業員は慣れた手つきで注文を書き込み、再度確認をとり厨房に戻った。 「え、と」 軽業、早業ともいえるそれにあっさりとおいていかれた女性の顔を見て、 「ああ、ここは奢り。気にしなくていいよ」 男は言った。 「でも」 女が声を続けようとするが、男は制止を促し、 「男はさ、格好つけたい生き物なのさ。ここは俺に格好つけさせておいてくれよ」 笑う。 「案外気障っすね」 女は釣られて笑った。 「褒め言葉さ」 そういえば、と、 「名前、聞いてなかったな。俺は須賀。須賀・京太郎。清澄高校の一年」 へえ、と女――桃子は声をもらす。 「結構、大人びてるのに一年っすか。ああ、私は桃子。東横・桃子。鶴賀学園の一年っす」 その言葉に、男――、京太郎は少し目を見開き、 「君、和と戦った子か」 「? しってるんっすか?」 知っているも何も、 「まあ、控えのほうで見てたからね」 「もしかして、やるんすか? 麻雀」 ま、ね、と、 「俺は弱いから、ただ見てただけだけどね」 情けないな、と思う。先ほど男は格好をつけたがる生き物と吐いた割にはまったく格好がつかない。 しかし、それを気にしてないかのように桃子は笑って、 「けど、続けてるんっすよね? 麻雀」 「ああ」 即答してみせた。 「なら、いいと思うっすよ。継続は力なりって言うっすしね」 そうだな、と男は思う反面、不安がよぎる。端的に言えば、怖い。 麻雀は今、はやっているというよりは世界的に認められた娯楽の一つだった。 多くの男女が職業のひとつとしてプロ麻雀師を目指すこともある意味普通だ。 規模は男性のほうが大きいはずだった。 ――焦り、だよな。 自分は自分のペースで、そんな思いの反面が京太郎の心を蝕む。 怖い。女性においていかれるということが怖い。 中学の三年を友人として過ごした女性においていかれている現在の状況が、 麻雀部の一人だというのにおいていかれているという状況が、否――、 ――怖い、か。 恐れている。自分が必要とされなくなる状況が。怖い。 県予選を突破し、インターハイに出場するとなれば知名度が上がる。 そうなれば来年の入部者が増えるのは明確で、しかし、だからこそ、 ――雑用としての立場すら失われていく、か。 もしも来年、入部者が現れれば雑用等の仕事も結果としてその入部者、来年の一年生に繰り越されることとなる。 だが、それは今の京太郎の立ち居地すら危うく――、 ――って、何考えてんだ、俺は!! 頭を振った。あまりにも嫌な未来予想図を振り払うかのように。 そもそも、来年まで雑用をやっているなんて考えている自分がみみっちい。 雑用しすぎて、犬根性が染み付いたのかもしれない。嫌なものだ。 「どうかしたっすか?」 桃子が不安そうに問うてきた。 なんでもない、と京太郎は言いつつ、 「そう言えば、東横さんは何であんなところに?」 京太郎は問う。 ありていに言えば京太郎は雑用で遠出をしていた。 清澄と鶴賀はほぼ反対の方向に位置し、用事がないならばあまり向かうこともない。 用事はひとつ、タコスだった。 部員の一人にタコスをこよなく愛する少女がおり、鶴賀のほうに新しくできたタコスの買出しを命じられたわけである。 本来ならば断るところだが、京太郎に断る意思はなかった。心理的な要因が閉めるのは確実で、 ――こういうのがだめなのだろうけど。 部活内部での立ち居地をどこか必死に守ろうと、断ることができない。 桃子は笑って、 「あ――、なんて言えば良いんっすかね。まあ、単純に言えば散歩なんっすけど」 何かを含んだような、笑み。 「ちょっと自分が分からなくなって」 顔に翳りが表れてくる。 「県予選でうちが負けて、三年の先輩たちが引退して」 あ、と桃子が笑って、 「そう言えば、前提が分からないっすよね」 私は、と桃子は、 「私は影が薄いんっすよ。須賀さん、カメラ越しだからわからなかったでしょうけど。普通の人に私は見えないんっすよ」 手を差し出され、 「握ってみてください」 京太郎は息を呑み、軽く桃子の手を握った。 熱がある。肉の感触が自身の手を包んだ。柔らかく、肉感的なそれは確かに生の鼓動を京太郎に穿つ。 「どうっすか」 「どうって、その、柔らかい、かな」 なんつーか、セクハラみたいなせりふだな、反省。と、思考し、 しかし、彼女は笑い、 「ありがとう」 手が離れていく。若干の名残惜しさを感じた。 「私は、私は確かにここにいる。だけど誰からも見えないほどに影が薄い」 「小さいころからね、私はこうだったんっすよ。ほら、出会ったとき、何度も確認しったっすよね? これが原因なんっす」 少しだけ楽しそうに、 「いつもいつもつまらない。一言で言えば灰色みたいな毎日は、先輩のおかげで終わった。終わったように見えたんっすよね」 しかし、寂しそうに、 「けど、やっぱり長くは続かないみたいで、ね」 「私をよく見てくれていた先輩も、大学に進学するとかで、特別補修だとかで顔を現すことが少なくなって」 「麻雀部での私の居場所が分からなくなったんっすよ」 それは、と、 「私はある意味、その先輩のために麻雀部に在籍していたから」 「そこに居続ける意味の支柱が抜け落ちたみたいで、なんというか空っぽみたいな――」 似ているな、と京太郎は思った。 彼女は自分に似ている。立ち居地に悩む。自分と。 まるで、空気みたいな――、 と、 「あはは、いや、すいません。急にこんな話振られても困るっすよねー」 彼女は笑う。無理をしたような、笑み、 京太郎は堪らず、 「良いなぁ」 そんな言葉を漏らしていた。 桃子は少し語りすぎたかな、と多少失敗したような感覚を思うが、唐突に来た声がそれをさえぎった。 「俺は、さ」 京太郎は、 「そんな風になれなかったから」 何かを搾り出すように、 「誰かのためになるほどの力がないから、雑用で甘んじて、それを仕方ないと思って」 告げてくる。 「分かってるんだ。努力が足りないってさ。身にしみてる。努力はしてても足りないってさ」 それは告解のようで、 「天性の才も、環境もなかったのに、努力しなきゃ追いつけないなんてとーぜんの理屈。なのに、俺はどこかで言い訳している」 懺悔のよう。 「"弱いから"そうやって逃げている」 あぁ、と京太郎は呻き、 「だから、羨ましい。嫉妬すら覚える。誰かのために、それだけの思いをもてる東横さんが羨ましい」 自嘲がくる。 「――悪い。今のも結局逃げだったよ。何よりも自分を思ってくれる何かを思う、なんて逃げだよな」 「東横さんとは状況が違うみたいだし、さ」 桃子は息を呑む。 その姿はどこか疲弊している。 そして似ていた。 ――本当に似ているっす。自分と彼は。 言葉にできないようなどこかが、自分と似ていた。 「悪い、今のオフレコ。気にしないでくれ」 京太郎が目元を手のひらで覆う。 それはまるで、見られたくないかのような仕草。しかし、桃子は見つめ続ける。 放っておけない。このままだと、どこかに消えてしまいそうな雰囲気があり、それは儚いような、きっとそんな感じ。 「失礼します。アイスコーヒー二つです」 割って入るように従業員の声がする。 テーブルに置かれたアイスコーヒーは既に水滴にまみれていた。 〇 帰りがけ、既に買い物を終えて、京太郎はバスに乗り込んだ。 そこそこ時間がたってしまった。 右手を見る。携帯を握る手はアドレス帳を開いており、 そこには新たに名前が加わっている。 『東横・桃子』 喫茶店で連絡先を交換して別れた。 帰り際に見せた笑顔は、どこか儚げだったことを覚えている。 『必ず、連絡くださいいっす』 そう言って、彼女は笑った。 消えてしまいそうだと思った。だが、 「暖かかったな」 握った手を思い返す。それは生の実感を感じさせるには十分だった。 ――さて、どうしようかね。 京太郎はメール画面を開き、文脈を思った。 そもそも、いつから京太郎は自らが、他者のために動くことを是としているのだろうか、と思考する。 ――ああ、そうだ。 あれは確かまだ、中学生のころか。 今だ、咲との仲が深くなっていない時期。接点が図書委員というだけの中だった時期。 放課後、一人、山積みとなった本に埋もれて読書をしている咲の隣に座った時だ。 京太郎もつられるように、何となく一冊の本を手に取った。 とったのは単純な自己啓発の本。タイトルはありきたり、内容は凡庸、ハードカバーで内容以上の値段。そんな本。 たまたまとったそれを、斜め読み、最初は捲る手もゆっくりだった。 しかし、捲るにつれてだんだんと速度は飛躍的に加速していく。 それを見つけたのは、いまだ自己形成段階の中学という時期だったからか、京太郎はあまりにもそれに影響を受けた。 否、受けてしまった。 『あなたは本当に必要な人間なのか』 『必要とされる人間になりなさい』 端的に言えば、そんな内容。 しかし、その言葉が嫌に響く。 金槌でたたかれたような、そんな気分。 それからだろうか、京太郎が他者のために自らをすり減らすようになったのは。 ○ まあ、それは、今となっては記憶の片隅にしまわれたモノ。 未だに夏の暑さは引くことを知らない。汗で張り付いたシャツが不快感をあおる。 涼しい場所で一服したいと、思うが、 ――"彼女"が来る前に移動もできるはずがないか。 吐息。 頬をかけば、水滴が指先につく。鬱陶しげに振り払う。 と、 「あ、須賀さーん、待ったっすか?」 声が来る。数日前に出会い、知り合った女の声だ。 「いや、待っていないさ」 京太郎は笑みを見せる。 しかし、女は目ざとく、 「須賀さん。汗でシャツ張り付いてますし、色も滲んでるっすよ? それ、十分二十分じゃならないっすから」 ばれてたか、と思うが、 「時間指定のミスのせいで待つことになったのは待つって言わないさ」 どちらかといえば地方に属する長野の地は、やはりバスの本数が少ない。 そのせいで適当に時間を指定した罰が当たったらしい。京太郎は炎天下の下で待つことになったわけである。 「むー、まあ、いいっすけどね」 どこか拗ねたような彼女が面白い。 「それじゃあ、行こうか」 京太郎は告げて、歩き出し、 「そうっすね」 その隣に沿うよう、彼女――、桃子も動き出した。 〇 出会いは三日ほど前。京太郎がいつものように雑用をしていたときだ。 どのような采配か桃子と出会った。 その後軽い連絡を取り続け、休日に会うことになったのだ。 「さて、どこに行こうか?」 京太郎は問う。 「さあ? っていうか、どこに行くか決めてなかったんすか?」 攻めるような視線を逸らしつつも、しかし、 「悪い」 素直に謝る。確かに、甲斐性としてはここは男性が動くプランを立てておくべきだった。 困った様子を見られたらしく、ほんの少しだけ笑顔を見せた東横は悪戯っぽく、 「うそっすよ」 笑って見せた。 不覚にもその笑顔は可愛い。 〇 「いやいや、面白いことになってますなー」 女の姿が見える。二人の影だ。 一人はどこか猫を髣髴とさせるトリックスター然とした女。一人は理知的に見える清廉とした女。 二つの影が追うのは一つの目標だった。 情報は理知的に見える女――加治木・ゆみからもたらされた。 東横・桃子の所属する部活の副部長、加治木が二日ほど前に携帯の前で挙動不審な後輩を見たことが原因だ。 最初は容貌が見えなかったが、だんだんと崩されていく断片的な情報が拾い集められ、 ・東横・桃子が男とであった。 ・その男は清澄高校の男である。 ・休日にデートする。 こういったことである。 「――情報を渡したのは正解だったのだろうか?」 加治木は頭を抱える。 興味があったのは事実だ。入れ込んでいる後輩が幸福を感受している姿は悪くない。 特にその後輩の桃子は自分に依存している節があった。 哲学的に言うのならば、永遠は存在しない。時に季節があるように、人も時を刻んで換わっていく。 だから、 ――これで、モモも変わることができればいいんだが。 分かれはある。必ずだ。望むも望まぬもかかわらず。 だから、後輩が良く変わっていくのを見届けたいと思う気持ちはある。 しかし、罪悪感はあった。 「なあ、今からでも遅くはない。尾行などやめたほうが――」 ふう、とトリックスター然とした女――、竹井・久は分かっていないな、そんな笑みを浮かべて、 「あのねえ、ここまできたら引くことなんてできるのかしら?」 う、と加治木は唸る。興味がなければここには居ない。 「だが」 「あ、ほら、行っちゃうわよ? 行きましょう」 進むことを前提としているかのように動く竹井に加治木は頭を抱え、 ――妙なことにならなければ良いが……。 自身が原因であることを忘れ、そう思ってしまう。 桃子は踊ることが好きだ。踊っているときだけは誰もが自分を感知する。 今ではかつてほどではあるが、だからといって嫌いになったわけではない。 「ほ、よ」 鮮やかな足並み、ステップを、小刻みに、粋に、軽い足取りで、 「と」 回転を一つ、そして静止。 ダンスゲームの筐体から降り、点数を見る。高得点。 「凄いな」 桃子はそんな京太郎の呟きに心を良くし、自慢げに胸を張る。 「当然っす」 「いや、本当に凄いよ」 少なくとも俺には無理だ、と京太郎は言う。 ――無理、か。 桃子は、京太郎がその言葉を口に挟むとき、どこか暗いものを吐き出しているように感じる。 自分には無理だ。そういうことを言って、自己を正当化する感覚。 それは、味わったことのある感覚で、 ――そう、無理、っす。 かつてがいつかを侵食し、いまになる。 自分は今、かつてほど無理を思うことはなくなっていた。 ――助けたいっすよね。 傲慢かもしれないが、それはかつて敬愛する加治木から与えられたそれであり、 かつて背負い込んでいた無力感を感じている目の前の人を、 ――少しでも和らげたい、そう思うのは傲慢じゃないっすよね? 思う。 「須賀さん、無理、なんてそう簡単に言うもんじゃないっすよ」 だから、"私"は笑ってみせる。 〇 ――無理なんていうもんじゃない、か。 そうだよな、と分かっちゃいるんだけどね、と心に渦巻いた。 無理、そういった瞬間から、可能性は本当に無理に変化する。 ――分かっていても、実行できるかは別問題、か。 言うは易し行うは難し、詰まるところ単純にそう帰結する。努力"しよう"と"する"はまったくの別問題だ。 「ああ、そうだな」 だから、返したのは生返事だった。 ――こりゃ、相当やられてるみたいっすね……。 桃子は思う。 "かつて"の自分と同じだ。 否、症状としては京太郎のほうが酷いかもしれない。 自分は焦る必要がなかった。友人を望んだこともあったが、いつかそれすら止めた。 相手に合わせる必要を持たずとも良い状況だった。重責を必要とせず、ただ流されるままでも良かった。 しかし、京太郎の今は、違う。実力がないことへの苛み、危うい立場への焦燥感、 気持ちと肉体がすりあわない矛盾への怒り、それらが急激に合わさり濁流のように京太郎の今を飲み込んでいる。 桃子はそう理解する。息を吐き、 「じゃ、須賀さん、ほかのところもまわって見ましょ」 桃子は京太郎の手を取った。 〇 「ほうほう、なかなかに大胆な子ですな」 竹井はチェシャ猫を髣髴とさせる笑みを持って二人を見つめる。 「意外だな」 問う呟いたのは加治木だ。 「ふうん? 何が」 「モモがあそこまで彼に入れ込むことが」 そう? と、竹井の声に生返事で返す。 しかし竹井は、 「いやいや、ある意味当然なのかもね」 軽くそういってみせる。 「それは――」 「ま、ある意味私のせいでもあるんだけどね」 ばつが悪そうに竹井は後頭部を軽く掻いてみせる。 ああ、と、 ――きっと、こいつにはもう何もかもが――、 幾度か会う機会が設けられ、それなりの会話もしたが、話せば話すたびに、 ――あらゆるものを見定められているような……、 深い洞察力からくる、何もかもを見通すような魔眼に睨まれているような、そんな気分を思わせる。 「ま、良いわ、行きましょう」 だが、すぐに表情を切り替えて、 「あ、ちょっと待て……!!」 加治木は竹井を追いかける。 〇 楽しかった、と京太郎は素直に感じた。 振り回されるようだったが、幾分か気分は楽になった。 目の前でアイスコーヒーを飲む桃子を見て、そう思う。 手の中に納まるアイスコーヒーは冷たく、舌に落ちる液体は苦く、しかしそれが身を引き締めるようで逆に良い。 ねえ、と、声が突然来る。とっさに身構え、 「あはは、そんなに身構えなくても良いっすよ」 桃子の言葉にゆっくりと肉体を落ち着かせる。 ――ったく、俺はいったい何をやってるんだか。 「ねえ、須賀さん。今日は――楽しかったっすか?」 桃子の問いが来る。 「? ああ」 答えるが、 「本当に?」 再度の問いかけがくる。 「ああ」 告げる。 「……なら、よかったす」 意図が分からない。 「えっと、どうか、したのか?」 京太郎は問う。 「それは、っすね」 一瞬のいいよどみを経て、 「須賀さん。似てるんっすよ」 言った。 「かつての、私と」 これは切開だ。心をこじ開ける余計なお世話。かかわってほしくないところにかかわろうとするような――、 「今、須賀さんは思ってるはずっす。自分は無力、居場所はない、価値を見出せない」 うまい言葉が見つからない。ゆえに陳腐。しかし痛烈。オブラートはそこに存在せず、 「かつての私もそう。望んでほしい。望まれたい。だけど、それを思われない」 「必要とされず、気づけば孤独。ようやく見つけた陽だまりは、時が過ぎれば朧に消える」 「たとえまた会うことができるとしても、いつかは今と同じではない」 吐息、 「孤独だけではなく、不安まで押し寄せて一切合切を飲み込み、そしてなくしていくような感情がただもまれているような」 「不安定な感情を宙の間で吊り下げられているような不安とも言い切れない不定形な感情」 ねえ、と、 「須賀さん。貴方は望んでいるんっすよね? 望まれることを。確固とした立ち居地を。"自ら"にしか望まれない"何か"を」 何もかもを言い終えたように、口をつぐんだ。 京太郎を見る。 目に光はなかった。 それは何もかもを言い当てられたかのような顔。 「御見それしました、とでも言えばいいのかな、俺は」 絞り出された声は細く、 「まったくそのとおり、なんだよ」 頼りがない。 「雑用なんてさ、前にも言ったけど俺じゃなくてもできる。来期の一年生がどうにかする。少なくとも、今の麻雀部で、 咲は咲じゃないといけない。和は和じゃないといけない。優希は優希じゃないといけない。先輩は先輩じゃないといけない。 俺は――」 ああ、 「俺じゃなくても、良い」 涙がくる。押しとどめていた堤防を決裂させたように――、 「俺の価値は、俺がそこに立つ位置はどこにあるんだろう。部活に顔を出すたび思うんですよ」 流れていく。 「雑用を引き受けることで、部活動に専念してもらうことができる、そう思うことでやってきた。やってこれた」 「けど本当は思っていた。見ない振りをしていた。そもそも、俺は必要であるのだろうかって」 桃子にはそれが理解できた。同じだった。 自分の価値がどこにあるのかを理解できない。理解することを望めない。 ――ある意味、悲しいっすよね。 目の前に居る少年は本当に"普通"の少年なのだろう。 自身のように影が薄いわけでもない。しかし、 ――だからこそ、埋もれてしまう。 これは加治木との交流を経て気づいたことだ。 本当は、自分も、いわゆる"かつて"望んでいた"普通"となんら変わりないということに。 人は結局のところ普遍的に普通であり、テレビに出るような芸能人ですら拾われなければただの"人"と変わりがない。 自分はある種特殊な立場に存在しつつも、結局のところ何にも"普通"と変わりがなかったのだ。 ただそれが"他者"と違う視点から気づいただけの話で。 そしてそれゆえに、 ――やっぱり、同じなんすよね、私と彼は。 人はあやふやな存在故に、あやふやな状況であることに気付かない。 自らの立場がいかに砂上の楼閣のような物であろうとも、それが自分の立ち位置だと思い込む。 そこには他者が割り込むことができるというのに。 しかし、気づかない。気づけない。気づこうとしない。気づいてしまえば、 ――怖いっすもんね。 そこが立ち位置だと思っていた何もかもがただの夢幻のようであることを、理解することが。 しかし京太郎は気づいてしまったのだ。 もしも、周囲の人間が京太郎と同じような人間なのならば、きっと彼はそれに気づくことがなかった。 だが、周囲にいるのは全員がスペシャルというやつで、 ――そこに必要とされている人間っす。 その違いを対比し、自らの危うい立ち位置を認識し、 だからこそ飢えている。"望まれたい"その願望。 京太郎は今、その思いにとらわれている。 かつて加治木に出会う前、ひっそりと持っていたそれを目の前に居る彼も感じている。 「俺が俺である必要性を望んでほしい。俺じゃなければならない何かがほしい――なのに――」 言葉が終わる前に桃子は京太郎の手を取っていて、 「私が望んであげるっすよ」 そう告げていた。 「私が、貴方が貴方であることを――、"須賀・京太郎"が"須賀・京太郎"であることを望んであげるっすよ」 声が来る。 「私もかつてそうだったっす。私を望む誰かが居てくれることを望んで、そしてその望みはかなった」 「だから、かつての私の位置に居る須賀君を私はほっておけない」 ねえ、と、 「私は、私は望むっす。須賀君が須賀君であることを」 だから、と、 「だから須賀君にも一つお願いがあるっす」 それは、 「私が私であることを望んでください」 桃子は笑って、 「"東横・桃子"と言う存在を見つけることのできる貴方に"東横・桃子"と言う存在を望み、認めてほしい。そう望むっす」 〇 桃子は既に理解していた。 加治木との別れはいつか来る。必ず。必然を必然的に行うように。 このままではいけないということも、理解している。 ――だから、まずは一歩として、 「いかがっすか」 桃子は控えめに問う。 京太郎は告げた。 「喜んで」 まずはまた新しいいつかを構築する今を求めていこう。 それは依存ではなく、 それはただ傷をなめあうような関係ではなく、 それは平等という、 それは対等という、 そんな形で求めていこう。 桃子/京太郎はそう思えた。 〇 黒髪の女と金髪の男が歩いている。 夜空の下だ。月下に晒され、互いの姿が照らされている。 「じゃあ、東横さん、俺はここで」 「はい、さよならっす」 立ち止まったのは、バスの停留所の前だ。別れを告げ、ゆっくりと名残惜しげに女のほうが去っていく。 数度、振り返るたびに、寂しそうな笑みを男に向けて。 しかし、その寂しさにはどこか希望がある。 「二度と、会えないわけじゃないっすしね」 新たな関係を気づくことができた人と別れるのは名残惜しくも、 だが、それがまた楽しくもあった。 「さて、じゃ、来週はどんな内容で遊びに誘ってみるっすかね」 ―終― 既に幾度も逢瀬を重ねて、気づけば恋人という関係になるのに時間は必要としなかった。 ゆっくり、ゆっくりと時間をかけて互いの距離は縮められていき、 「桃子」 「京太郎さん」 既に互いの距離はゼロに等しい。 水音がする。淫靡さが溶け出したような水音だ。 それは口付けの音であった。 互いに求め貪り、そして必要であるということを確認しあうようにだ。 既に肌は上気している。目の前に居る桃子の肌はまさしく桃のようで、 ――綺麗、だな。 そう思った。 肉体を反転させる。ベッドの上に肉体を下ろす。自身が桃子を見下ろす形に持っていき、 「剥がす、ぞ?」 声の変わりに一度、頭部を立てに振るという挙動でその行為への許可がくる。 胸元のボタンからゆっくりとはがし、しかし、どこか獣のような挙動で手を動かす。 情けないことに男とは目の前に餌があればがっつかずにはいられない性分らしい。挙動はだんだんと早くなり、 「~~~~~!!」 上半身が裸体として晒される。 しかし手は止めず、自らのシャツをはずしていく。 京太郎が行ったのはまず互いの上半身を重ね合わせることからだった。 「――」 「――」 そしてそれ以上は動くことをせずただその行為だけを京太郎は求めた。 それは互いに"はじめて"であったこともあるだろうし、 かつて互いに"望む"互いであろうというその意思の表れでもあり、そして、体温を感じたいという京太郎の思いもあった。 東横・桃子は相変わらず影が薄かった。京太郎にはその姿を確認できるが、未だにその姿を見失う人間も多い。 否、そちらが大半で、京太郎がその唯一だった。 恐れているのだ。いつか自身の目の前からすら消えてしまうのではないかという心理が、 ただ抱くという行為に踏みとどまらせている。 それに気づいたのか、桃子も京太郎の肉体を握り返す。 互いの肉の隙間が埋まっていき、密着していく。服と服の境界はない。 「求めないんっすか?」 小さく声が来る。 ああ、と京太郎は答えた。 「もう、求めているからさ」 体温を感じるというのも、また一つの求めに他ならないと京太郎は感じる。 闇雲に繋がることは、 ――違うよ、な。 繋がることと互いを求め合うことは等号の関係とは当てはまらない。 繋がるのは原初、男女の概念が生まれたときにできたものだが、 ――求めあうのは、違うはずだ。 求め合う概念は、きっともっと後、互いにかけたことを理解することができるようになってからの話だ。 強く思い。その思いはさらに比例して力になる。 「京太郎さん。痛いっすよ」 その言葉に、あ、と、 「悪い」 「気にしなくて良いっすよ」 だって、と、 「それだけ強く私を望んでくれているのは嬉しいっすから」 頬を染めている彼女は愛しく、 「なあ」 だから、 「求めていいか?」 京太郎はそう問うていた。 ――プラトニックは、ここで終了ってことっすか。 それは覚悟していたことであり、 ――望んでいたことでもあるっす。 それは一線だ。 互いが互いである一線。 この行為は意思を融け合わせる行為であり、互いの意思の交わりであり、だからこそ。 ――意思と意思の一線ってことでもあるっす。 身をもみ合うように動かしつつ、 「はがして良いっすか?」 これ、本当は男の側の言葉っすよね? などと思いつつも、腰にある金属片に手を伸ばし、 ――あ、あれ? ぎこちない動きで手を動かすが京太郎が状態にあるゆえに影となって視界が狭まっているということもあり、 なかなか先に進むことができない。 「ああ、俺、自分ではずそうか?」 いやいや、それはいけない。一度やり始めたことを途中で投げ出すのは許容してよいことではない。 故に、 「わ、私がはずしてみせるっすよ」 必死に手を動かす。 ――な、何でとれないんすか? 単純に下手? 否、そんなことはないはず。 と、 「あ」 一息でベルトが外れた。 得意げに、 「ふ、ふふん、どうっすか? 私にかかればこれくらい簡単っす」 桃子の言葉に京太郎から笑みがこぼれ。 「ああ」 ただその一言がくる。充足感だ。何か満たされたような気持ちが現れ、だから、 「京太郎さん。今度はこっちをお願いするっす」 言葉に、無言で手を伸ばすことで京太郎が肯定を示してくる。金属と金属が小さくすりあわされ、スカートがはずされた。 小さくと息が漏れた。呼吸が激しくなる。心臓が激しく高鳴り、 「いくぞ?」 「――っ!!??」 自身の湿りに、京太郎の下の湿りが這わされ、悲鳴にも似た、しかし悲鳴のような悲惨さはまるでなく、 どちらかといえば快感を思わせるような声が湧き出てくる。 ――ほ、本当に私がこんな声を? 桃子の未だに冷静な部分が無意識にそんなことを思うが、すぐにそれは胡散する。 さらに熱がきた。時間差や、うねりの大小を加え、動くからだ。 「~~~~~~~っ!!」 声にならないような声を上げ、力が急激に腰の部分に来る。そりあがりさらに京太郎に肉を押し付けるようにして、 ――!! 力が抜けた。鉄の棒で支えられていたような状況から急激にその支えを抜きはずされたように思える。 荒い吐息を整えるようにして、しかしどこか名残惜しげに、 「ぷ、は」 京太郎の湿りはそこから失われた。 酒など飲んでいないのに、すでに酔いが回ったかのような気分が桃子の中を駆け抜けていく。 しかし、 「いいか……?」 酔いなどすぐに引きはがされた。 "熱い"ものが桃子の下腹部にあたっている。 ――俺も、まだまだ"男の子"なんだな。 自身が男である象徴を隆起させ、思う。 飢えがある。求めていることを理解させられる。 熱が脳内をかすみがからせ、しかし小さく残った理性がいまだ踏みとどまらせている。 ここがレッドゾーンだ、と。 今、この先を行けば、確実に変化が来る。"求め"と"望み"に。 しかし、 ――"望んで"るんだよな、それを。 それだけは確実だ、と己の意志の所在を己に問いかけ、 そして、答えは来る。 それは両者互いの意志の交わりを意味する。 小さく、小刻みの動作で、ゆっくりと、頭が、――縦に振られた。 それが確認だった。 まずは一度離れた体からすり合わせる。互いの胸の隙間を埋めていくよう、力強く。 そこから腹を合わせ、そして、両者の境界を失わせていき、 ――!! まずは粘性の液体に自身の"男性"が包まれた。液体は熱く、しかしそれは不快ではない温度。 滑り落ちそうなのを必死にこらえ、ゆっくりと落とす。 静止が来た。侵入を阻む壁だ。ゆくぞ、と自分と相手に問いかけるように告げてから、さらに力を籠める。 力を感じた。肉を引き裂くような感触がまず伝えられ、そこからさらに、 ――痛っ……!! 背に痛みを感じた。固いものが突き刺さるような感触に神経が強張り、筋肉が震える。爪だ。 桃子が手に力を入れたと同時に、桃子の爪が背に深々と食い込んでいる。 ――これくらい。 いい。これは男の名誉だ、そう京太郎は意識することで痛みをさらに思う。痛みから目をそむけない。 これは"望み""望まれた"一つの証であると。 だから、京太郎はさらに"求め"た。 比喩的に言うのなら、貫かれたというのが正しい。 異物が無理に自分の中へ入ってくるような感覚を思い、しかしそれを望んだのは自分であるということを捉え、 それゆえにその異物の侵入を許した。 それは一線を越えた証でもあり、 ――互いの"望み"が変化する境界線、っすよね。 いまだに熱が肉体から取れない。そもそも自分の動きがどこにあるかする今だ理解できておらず、 ――けど、 それを心地よいと感じる自分が確かにあることを理解した。 「痛いか」 声がかかる。 「痛いっすね」 だからそれに対し、素直に答えを返し、 「そうか」 「そうっす」 「少し、休むか?」 いえ、と、 「休めば、覚めるっすよ」 そうか、と、言葉を聞き、 「なら、いく」 動きが来た。 痛みがある。それを感じ、しかし多幸感があり、 ――意志の、所在っすよね。 科学が進歩し、そしてさらに発展していけば、男が女を、女が男を必要としない時代が来るかもしれない。 しかし、きっとそれは訪れることはないと思う。 科学と技術の入りいれぬ隙間に、人間の"意志"があり、そしてその所在を男女互いに思い続ける限りは、 その時代が来ることはないだろう。 故に、桃子は求めた。京太郎も求めてくる。 喘ぎ、 貪り、 組み合い、 混じり、 喘ぎ、 語り、 それを繰り返す。 ――そして、 「あ、あああああああああああああ!?」 果てが来る。際限がないなどあり得ないから、その思いの落としどころ、終着点に両者がたつ。 それは、 「っ――、く」 一つの終わりであり、始まりでもあった。 交わったまま、布団の中に両者は存在した。 肉にこもる熱はいま冷めず、互いの熱を自身の熱と勘違いしそうになりながら、自身の意思を思い出す。 「京太郎さん」 声がくる。 「ん? どうした?」 「明日、休みっすね」 「ああ。休みだな」 力が込められた。背筋に腕が回され、 「どこか、行きましょうか」 それに呼応するように、自身も腕を背に回す。 「そうだな。天気予報じゃ晴れだったし、少しくらい遠出しても、良いか」 そうっすね、とゆっくりとした声が来て、 「とりあえず、寝よう。明日が来るなら、また朝にでも」 「ん、そうっすね」 闇が来る。 心地の良い闇が。 来る。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/554.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1341918213/ 京太郎「毎日毎日、雑用ばっかで疲れたなぁ」 京太郎「冷静に考えたらここまで働いてる以上、何らかのご褒美があってしかるべきだろ」 京太郎「よし! そうと決まれば、セクハラでもしに行くか!」 京太郎「きっとみんなも、笑って済ませてくれるだろ」 京太郎「まずはオーソドックスにスカートめくりでもするか」 京太郎「最後にやったのは小学校低学年だっけ? まさか高校生にもなって再びやるとは想定していなかったぜ」 京太郎「問題は咲、和、優希、部長、染谷先輩の中の誰にするかだが……」 京太郎「とりあえず、最初は染谷先輩にしておくか」 京太郎「あの五人の中では一番俺への扱い良いし、ちょっとしたスキンシップってことで誤魔化せるだろ」 京太郎「そうと決まれば、さっそく二年の階へGOだ」 京太郎「染谷先輩!」 まこ「ん、京太郎か。珍しいのう、ここは二年の階じゃよ」 京太郎「ええ、知ってます。実は染谷先輩に用がありまして」 まこ「用……?」 京太郎「その……実はですね……」 まこ「何じゃ、気軽に言ってみ」 京太郎「では、失礼して……そりゃっ!」 バサァッ まこ「なっ……!」 京太郎「うん、白ですか。健康的でいいですね」 まこ「きょ、京太郎……お前、どういうつもり……」 京太郎「では、また部室でお会いしましょう! 失礼します!」ダッ まこ「な、何だったんじゃ一体……」 京太郎「とりあえず、スカートめくりは無事達成した」 京太郎「だが、まだまだ俺の労働に対する報酬としては割に合わないな。染谷先輩だし」 京太郎「次のセクハラは……ん、そういえば部室にベッドがあったな」 京太郎「スヤスヤと眠る俺、起こそうとする女の子……しかし、俺はなかなか起きない」 京太郎「痺れを切らせてバッとシーツを剥ぐと、そこには丸裸の俺が!」 京太郎「これは完璧じゃないか! スカートめくりは完全に俺が悪いが、こっちはフィフティーフィフティーっぽいしな!」 京太郎「さっそく放課後やってみるか」 京太郎「そんなわけで、やって来ました麻雀部」 京太郎「よし、まだ誰もいないな……じゃあ服を脱いでと。パンツも脱いじまうか」 京太郎「この服は適当に、見えない所に隠しておけばいいかな」 京太郎「後は寝たフリをしながら、誰かが来るのを待つだけだ」 数分後 ドア「ガチャッ」 京太郎(お、来た来た……誰だろう) 咲「こんにちはー……って、まだ誰もいないかな」 京太郎(咲か……いいだろう、俺の裸を目に焼き付けるのだ) 京太郎「zzz……」 咲「あれ? 京ちゃん寝てるの?」 京太郎「ん……咲か……」 咲「京ちゃん、そのベッドはお泊り用だよ。起きなよ」 京太郎「あと1分……」 咲「もう、わかったよ。1分ね」 咲「……ほら、1分経ったよ」 京太郎「うーん……もう1分だけ……ムニャムニャ」 咲「はぁ……今度こそ最後だからね」 咲「はい、京ちゃんおはよう」 京太郎「……あと5分……」 咲「伸ばさないの! ほら起きて起きて!」 京太郎(ここでシーツをぎゅっと引き寄せることにより、咲にシーツを意識させる) 京太郎(そうすればきっと、咲もバッとシーツを剥ぐに違いない!) 京太郎「zzz……」ギュッ 咲「…………」 バッ 咲「ほら、京ちゃん起き……って、きゃああああああああああっ!」 咲「な、何で裸なの京ちゃん!?」 京太郎「あー……いやぁ、俺の生まれたままの姿を咲に見てほしくて……」 咲「そんなの私は見たくないよっ!」 京太郎「まぁそう言うな。見よ、この肉体美」 咲「あっち向いてるから早く服着てよ!」 京太郎「おーい咲、もういいぞー」 咲「もう、信じらんない……」 京太郎「まぁまぁ、そうぷりぷりするな。俺たちの仲じゃないか」 咲「はぁ……こういうイタズラはもうやめてね……」 京太郎「善処する」 京太郎(そんなこんなで部活が始まったわけだが、まだまだセクハラし足りないな) 京太郎(次はどうしたもんか……そうだな、エロ本でも見せるとするか) 京太郎(麻雀の勉強がしたいって言って本を借り、返す時にエロ本をセットでつける) 京太郎(うん、こんなところか。それにしても染谷先輩と咲の視線が痛いぜ) 京太郎(さて、誰から借りるか……もう一回染谷先輩や咲にするか、それとも他の3人の誰かにするか……) 京太郎(よし決めた、優希から借りよう) 京太郎「優希、悪いが麻雀の勉強に良い本とか持ってたら貸してくれないか」 優希「いいけど……どういう風の吹き回しなんだじぇ?」 京太郎「いや、俺って弱いじゃん……だからみんなの特訓相手にはあんまりならないし」 京太郎「だからさ、せめて本でも読んで一人の時間でも強くなれるようにと思って」 優希「おー、犬のくせにやるじゃないか!」 和「素晴らしい心がけだと思います」 久「でも須賀君も部員の一人だからね。気軽に打ってくださいって言ってきていいのよ」 京太郎「うぅ……みんな、ありがとう……」 優希「ちょうど今いい本持ってるから貸してやるじぇ!」 翌日 京太郎「こんにちは、みんなお揃いですか」 久「こんにちは、須賀君」 咲「……京ちゃんより後に来ると嫌な予感がしたからね」 まこ「……咲、お前さんも何かあったんか?」 咲「あ、え、えーと……って、染谷先輩も?」 まこ「あぁ、いや……」 京太郎「あ、優希。ありがとな、これ返す」 優希「おー、もう読み終わったのか……って、何で袋に?」 京太郎「いや、ちょっとばかしお礼の品を詰めておいたんで」 優希「本当か! お前は使える犬だじぇ!」バリバリ 京太郎(って、今開けるのかよ!) 優希「おぉ、これ……は……」 久「……へ?」 和「あ……」 優希「なっ……なっ……なっ……」 京太郎「俺の一番大事なものだ! 大切にしてくれよな、優希!」キラーン 優希「こ……こんなの、いらないじぇーーーーーっ!」 ブンッ 京太郎「ぐはぁっ!」 優希「……京太郎、どういうつもりなんだじぇ?」 京太郎「いや、優希にはいつもよくしてもらってるから……お礼に大切なものをと」 久「須賀君、女の子にプレゼントするならもっと選びようがあるでしょう?」 和「最低です……」 京太郎「はい、ごめんなさい……」 まこ(京太郎、昨日から何かおかしいのう……) 咲(京ちゃん、何か嫌なことでもあったのかな……) 優希「罰として今すぐタコスを買ってくるのだ!」 京太郎「ガーン!」 京太郎「体よくパシリにされてしまった……」 京太郎「さすがにそろそろ、みんなも何かおかしいと気付き始めている……」 京太郎「だが、もう少しならいけるかな」 京太郎「よし次は優希にディープキスするか!」 京太郎「か、買ってきたぞ……ぜぇぜぇ……」 優希「ご苦労だった犬! さっさとよこすんだじぇ!」 京太郎「ほらよ」 優希「ガツガツガツ……んー、タコスうまー」 京太郎「……俺にも一口、くれないか」 優希「許してやろう。ほれ、よく味わって食うんだじぇ」スッ 京太郎「いや、そっちじゃなく……」 優希「ん、どうした犬。そんな近づいて……」 ブチュウウウウウウ 優希「~~~~~~~~~~!」 一同「」 京太郎「ふぅ……ファーストキスはレモン味って言うけど、タコス味だったな」 優希「…………」 京太郎「確かに一口貰ったぜ、優希」 優希「……う……」 京太郎「ん?」 優希「うわああああああーーーーーーーん!」 京太郎「うわ、泣くなよ!」 優希「ぐすっ……ぐすっ……」 和「よしよし、怖かったね優希……」 咲「京ちゃん……」 まこ「……京太郎、説明してくれんかのう?」 久「まこと咲からも話は聞いたわ」 京太郎「はい……」 久「昨日から少しおかしいと思ってたけど……一体どういうつもりなの?」 久「あなたは、そんなことをする人じゃなかったはずなんだけど」 京太郎「……実は、これには事情があるんです」 久「事情? 何かしら」 久「もちろん……ちゃんと納得のいくものなんでしょうね」 京太郎「これは……」 京太郎「みんなが可愛すぎるからいけないんです!」 久「……へ?」 京太郎「だってそうでしょう! 俺は頭の中が真っピンクの思春期の男子高校生!」 京太郎「それがこんなに可愛い子に囲まれて、毎日毎日一緒に過ごして……」 京太郎「俺は……あふれ出る性欲を、抑えきれなかったんですよぉー!」 京太郎「うぅ……ごめん、みんな……」 咲「…………」 和「…………」 優希「…………」 まこ「…………」 京太郎「俺、麻雀部やめます……」 久「……須賀君……」 京太郎「これ以上ここにいたら、またみんなに何をするかわからない……」 京太郎「半年にも満たない短い期間だったけど、今まで楽しかったです」 京太郎「ありがとう……それじゃ、全国頑張ってください」 久「ちょっと待ちなさい」 京太郎「何ですか……」 久「はぁ……実はね、みんなそんなところだろうと思っていたのよ」 久「そして、いずれ麻雀部をやめるなんて言い出すことも予測済みだったわ」 京太郎「え?」 久「あなたは、やめる必要なんてないわ。なぜなら……」 久「そういうセクハラは全部私にすれば、他のみんなにイタズラすることもないでしょう?」 京太郎「ぶ、部長……いいんですか!?」 久「よくないわよ……でも仕方ないじゃない、雑用がいなくなっても困るし、私は部長なんだから」 久「ただし! 節度は守ってね、あくまでも問題にならない程度よ!」 京太郎「あ……ありがとうございます、部長!」 まこ「やれやれ……自己犠牲精神は立派じゃのう」 咲「部長、ごめんなさい……京ちゃんが迷惑かけて」 和「ほら、優希ももう泣き止んで……」 優希「……うん……」 京太郎「じゃあ部長、早速ですが……」 京太郎「罵ってください」 久「……は?」 京太郎「俺に汚い言葉で! 滅茶苦茶に罵ってください!」 京太郎「俺は部長に、叱られたいんです!」 久「……そ、それで須賀君が満足するのなら……」 京太郎「お願いします」 久「ふぅん……本当にそんなのがお望みなのね。とんだド変態ね」 京太郎「はぅっ」 久「何興奮してるのよ。生きてて恥ずかしくないの?」 京太郎「はぁ……はぁ……」 久「どうしてほしいの? ちゃんと言わなきゃわからないわよ」 京太郎「あぁ、もっと……もっと、罵ってください……」 久「あらあら、何て顔してるのよ。だらしないわね」 久「心の底まで犬に成り下がっちゃったのかしら?」 久(こんなのでいいのかしら……?) 久「ずっと私の体見てたんでしょう? 本当にいやらしい子……」 久「あら、ズボンが膨らんできたわよ……何考えてるの?」 京太郎「ぶ、部長のことを……」 久「私のこと? 何想像してるのよ、エッチね……」 久「あなたなんか、一人で慰めているのがお似合いよ」 久(私、何してるんだろう……) 優希「リーチだじぇ」 和「集中できません……」 まこ「あの二人に目を向けたらいかん」 咲「京ちゃんが遠いところに行っちゃった……」 そんなこんなで全国会場 優希「ついに来たじぇ、東京!」 和「さすがに人が沢山いますね」 京太郎「うおおおお……あっちにもおっぱい、こっちにもおっぱい……」 咲「京ちゃん、問題だけは起こさないでね」 京太郎「部長、おっぱい揉ませてください」 久「またなの……? 全国大会くらい我慢しなさい」 京太郎「いや、揉みたいんです。あぁ、もう他の選手でも……」 まこ「久、こいつから絶対目を離さないようにの」 久(須賀君) 京太郎(何ですか、部長) 久(清澄の部員が他校の選手の胸を揉んだら、大変なことになるわ) 京太郎(でも、我慢できません) 久(ほら、その……ホテル戻ったら、私のを揉ませてあげるから……) 京太郎(いいんですか!?) 久(よくないわよ! でも仕方ないでしょ、そうしないと咲たちに矛先が向くんだから!) 京太郎(うう……ここは……でも……) 京太郎「やっぱり我慢できません!」 久「ちょっと、須賀君!?」 京太郎「だってさっき、永水女子の岩戸さんや阿知賀の松実姉妹も見ちゃったんですよ」 京太郎「これで我慢できたら、今のような状況になってません!」 優希「うむむ、確かに……」 和「優希、納得するところじゃないですよ」 京太郎「部長がおっぱいを揉ませてくれないなら、俺は彼女たちを……」 ザワザワ ナニ?オッパイ? 咲「ちょ、ちょっと京ちゃん、声が……」 久「わ、わかったわ! わかったから静かに!」 京太郎「ありがとうございます。じゃあここにしますか、場所変えますか」 久「ここでしたら叩き出されるでしょ……」 京太郎「じゃああっちの人の少ないところにロッカーがありましたから、その中でしましょう」 久「我慢するのよ久……、今は雑用の人手が必要、今は雑用の人手が必要……」 咲「行っちゃった……」 和「こんなのバレたら、どうなるんでしょうか」 まこ「二人は恋人だからこれくらい当たり前……とでも言って誤魔化すしかないのう」 優希「絶対当たり前じゃないじょ……」 久「ちょ、ちょっと狭くない……?」 京太郎「狭いところが落ち着くのって何なんでしょうかねアレ」 久「知らないわよ……それより、さっさと済ませてよ」 京太郎「では、失礼して……」 モミュモミュ 久「んっ……」 京太郎「相変わらず揉み心地いいですね。大きすぎず小さすぎず、良い形のおっぱいです」 久「何か複雑な気分ね……」 久「んっ……はぁ……」 京太郎「感度よくなってませんか、部長?」 久「そんな……こと……んんっ……」 京太郎「やっぱり感じてますよ。開発されちゃったってやつですか?」 久「違っ……須賀君が、うまいから……」 京太郎「ほら、やっぱり……あぁ、ちょっとこれヤバいかも」 久「須賀君、何を……」 京太郎「ごめんなさい。スカート、失礼します」バッ 久「!?」 久「す、須賀君! 約束が違うわよ、節度は守ってって……」 京太郎「でも、もう限界です」ヌギヌギ 久「だ、ダメよ!」 京太郎「部長も、本当はしてほしいんでしょう?」 久「そ、そんなこと……」 京太郎「ほら、だってこんなに濡れてるじゃないですか」クチュクチュ 久「あっ……はぁ……」 京太郎「部長……いきます」 京太郎「いいですか……?」 久「…………」 京太郎「……部長……」 久「……はぁ、わかったわ。でも、痛くしないでね」 京太郎「……ありがとうございます。じゃあ……いきます」グッ 久「うっ……!」 京太郎「うぁっ……部長、すげぇ気持ちいいです……」 久「あっ……あぁ……」 京太郎「ぶ、部長……ダメです、もう……」 久「須賀君……! だ、ダメ、中は……」 京太郎「部長、好きです……」 久「え……」 京太郎「大好きです、部長……」 久「はぁ……す、須賀君……」 京太郎「いきます、部長!」 久「あぁっ!」 京太郎「はぁ……はぁ……」 久「……須賀君……」 京太郎「ぶ、部長……」 久「はぁ……もういいわ。でも、中はダメって言ったでしょ」 京太郎「あ……すいません」 久「……それより、さっさと服を整えましょう。出るわよ」 京太郎「出るところを誰かに見られたら、どうしましょうか」 久「言い訳できないわね……匂いもあるし。誰にも出くわさないことを祈りましょう」 ガチャッ ??「……え?」 久「あ、あなたは……」 京太郎「か、風越の福路さん……」 福路「あなたは、う……竹井さんと、確かマネージャーの……」 京太郎「須賀京太郎です。マネージャーじゃないですけど」 久「あっちゃあ……」 福路「お、お二人は……何をなさっていたんですか?」 福路「こんな狭いところで、汗だくになって……」 福路「服も乱れてるし……ま、まさか……」 久「何してたかって言われると……」 京太郎「ナニしてましたとしか言いようがないですね」 久「最低のオヤジギャグね」 福路「……」 久「あの、福路さん……このことはできれば内密に……」 久「その、部長と部員が会場でいかがわしい行為をしていたなんてバレたらまずいから……」 福路「……は、はい……わかりました……」 福路「ぐすっ……お邪魔しました、お幸せに……」タッタッタッ 京太郎「……なんで、泣いてたんでしょうか?」 久「さぁ……ちょっと刺激が強すぎたのかしら、彼女ウブそうだし」 久「それより、須賀君。さっき言ったこと……本当なの?」 京太郎「さっきって……」 久「私のことが、好きだって……私は溜まった性欲をぶつけるだけじゃなかったの?」 京太郎「……最初は確かにそうでした。でも、今は違います」 京太郎「以前の俺でしたら、今も福路さんに何らかのセクハラを働かずにはいられなかったでしょう」 久「もはや呆れて言葉もないわ……」 京太郎「今は……もう、俺の心は揺らいでません」 京太郎「俺がいやらしいことをしたいのは、部長だけです!」 久「…………」 京太郎「お願いです……俺と、付き合ってください」 久「…………」 京太郎「…………」 久「はぁ……間違いなく、私の人生において最低の告白ね……これは」 久「まずロッカーの中で、その……しながら告白して、その後はいやらしいことをしたいのは私だけって……」 久「もう少し、ムードってものを考えるべきじゃないの?」 京太郎「……すいません……」 久「……私、人使い荒いから付き合うのは大変よ」 京太郎「それは身に染みて承知してます」 久「そういえば、そうだったわね……でも、よく文句の一つも言わずについてきてくれたわ」 久「……本当に咲や優希じゃなくて、私でいいの?」 京太郎「……咲や優希のことも、もちろん好きです。でも、恋人になってほしいのは、部長以外考えられません」 京太郎「俺が愛してるのは……あなただけです、部長」 久「……そういう言葉をまともなムードで言ってほしかったんだけどなぁ。ダメな後輩で苦労するわ」 京太郎「ごめんなさい……」 久「でも……一緒に苦労するのも、悪くないかもね」 京太郎「そ、それって……」 久「ほら、そろそろ戻らないとみんな怪しむわよ。あと、昼食の買い出しもよろしくね」 京太郎「は、はい! 行ってきます!」 久「あ、ちょっと待って」 京太郎「な、何ですか?」 チュッ 久「これからよろしくね……京太郎君♪」 END 福路「うわぁぁぁぁぁぁん!」 池田「よしよし……ほらキャプテン、いい加減泣き止むし」 吉留「そ、そうですよ。世の中にはまだまだ素敵な人が沢山いますし……」 文堂「でもキャプテンって、いずれ悪い男に騙されそうですね」 深堀「それ、ちょっと分かる」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6185.html
特別編 文化祭おまけ 照「…………」紅茶まみれ 咲「あ、えっと……その……」 「み、宮永さん!?も、申し訳ありませんお客様!!」 「すぐに何か拭くものを!!」 照「……咲?」 咲「ひっ!?」 照「怒ってないよ?ただ、さすがにこれは無いよね?」 咲「お、お姉ちゃんごめんなさい……」 照「転んで飲み物を狙ったようにかけるなんて……私でも中1までしかやってないよ(ボソッ)」 咲「うぅ……」 京太郎「……咲?それに照さん!?」 照「京ちゃん!?そ、その恰好……」 京太郎「あ、やべ……ゴホン、照お嬢様、一体どうなさいました?大体の予想はつきますが……」 照「て、照お嬢様!?」 咲「きょ、京ちゃん……その……」 京太郎「申し訳ありません、こちらの不手際でこのような不快な思いをさせてしまって……すぐにシャワーとお召し物のご用意をさせていただきます」 京太郎「おい、シャワー室と何か女子のジャージかなんか用意できないか?」 「シャワーはすぐいけると思うけど……ジャージなんて持ってきてる人いる?」 「いても汚れてたり使ってたりでしょ。宮永さんの制服とかは?」 咲「私メイド服で帰るの!?」 京太郎「さすがに原因とはいえ咲が可哀想だな……俺もジャージとかないし、俺の服貸す訳にもな……」 咲「お姉ちゃーん、京ちゃんの制服でいいー?」 照「おっけー」 京太郎「おい咲!?照さんもいいの!?あ、よろしいのですか?」 照「別にいい。それより」 京太郎「はい?」 照「執事が失態を犯して、何も無し?」ニッコリ 京太郎「はい、照お嬢様、アーン」 照「あーん……ん、おいしい」 京太郎「それは何よりです」 照「次は紅茶が欲しいかな」 京太郎「……照お嬢様?」 照「何?」 京太郎「差し出がましいことを言うようですが……さすがに男性の膝の上にずっと座っているというのは、少々はしたないのでは?」 照「執事が命令を聞けないというの?」 京太郎「……了解致しました。紅茶の砂糖はいくつになさいます?」 照「2つで」 咲「お姉ちゃんずるい……」 「執事な須賀くんの膝の上に座ってアーンまで……羨ましすぎる……」 「おまけにそのまま30分も……これがチャンピオン……」 「宮永さん、私にこの紅茶かけて」 咲「それ熱いやつだよね!?やめてって!!」 照「次はスコーンで、もちろん食べさせてね」 京太郎「……そろそろ勘弁してもらえませんか?」 照「……だーめ」 京太郎「かしこまりました……麻雀部の方に行くまでにはお願いします」 照「……京ちゃん次第かな」 この後、嫉妬の化身と化した咲とのインハイ時以上の対局が始まるのだった
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3399.html
京太郎「しかも清澄高校だけじゃなくて長野県の全部の女子麻雀部員を、だ」 京太郎「とりあえず大阪に逃げよう……」 京太郎「もう二度と長野には帰ってこれないな……」 京太郎「一番感度が良かったのは池田さんだったなぁ」 京太郎「少し舐めただけで声をあげるもんだから、妹さんたちにばれないかひやひやしたもんだ」 京太郎「一番きつかったのはやっぱり衣先輩だな、半ば無理矢理なところもあったし仕方ないか……」 京太郎「一番喜んでたのは加治木先輩だったかなぁ、ひとつきするたびに声をあげてたし、なにより喘ぎ声がでかかったしな……」 京太郎「国広先輩はまさかのマグロだったからなぁ……今でもショックだよ……」 京太郎「結局、回数的には部長が一番多かったなぁ、誘ってくる時、服を引っ張って無言で立ち尽くすの、あれは反則だ」 京太郎「声出さないように一生懸命口閉じてるのも可愛いし、普段とのギャップがすごかったからな、征服感もあって最高だった」 京太郎「やべぇ、部長に会いてえ……でも長野には帰れない」 京太郎「咲はなぁ……こっちが持たないくらい何度も何度も連続したがったからなぁ、悪い気はしないんだけど疲れた……」 京太郎「まこ先輩は、敏感なのはいいんだけど後半、よだれたらして壊れたラジオみたいにずーっと喘ぐというか呻くからなぁ……」 京太郎「まあこれはタコス嬢も同じか」 京太郎「桃子ちゃんがラブセックス好きだったのは意外だったな」 京太郎「加治木先輩にお熱だと思ってたけど抱いたらそんなことなくなったし」 京太郎「人肌恋しいってやつなのかな? 毎回対面座位しかやらなかったし」 京太郎「ああでも、あの隠れ巨乳での献身的奉仕はよかったなぁ」 京太郎「巨乳といえばやっぱり和は外せない」 京太郎「前戯でも本番でも胸ばっかいじってたのはいい思い出だ」 京太郎「おかげで最終的には胸だけでイケるようになっちゃったし」 京太郎「……いきなり母乳が出てきたときは驚いたけどなぁ」 京太郎「龍門渕のメガネっ娘も隠れ巨乳だったっけな」 京太郎「メガネ外して見えなくなってる時にバックで突いたらいい感じに鳴くんだよなぁ」 京太郎「おっぱいもブルンブルン揺れるし。 あれは壮観だった」 京太郎「……本人は否定してたけど、あの人は間違いなくMだな」 京太郎「思い返せばMな人はいっぱいいた気がするなぁ」 京太郎「龍門渕のお嬢さん……風越のキャプテンさん……鶴賀のビギナーズラックちゃん……」 京太郎「ソフトなのからハードまで」 京太郎「それぞれ持ち味があってよかったなぁ」 京太郎「さて、次は岩手のあたりにでも行ってみようかな」 京太郎「博多美人を堪能しよう」 カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3372.html
――教室―― 京太郎「ハーレムだぁ?」 モブ男1「だってそうだろ?女子5人に男子一人とか、これをハーレムと呼ばず何と呼ぶんだ?」 モブ男2「しかもあの巨乳美人原村さんに、陰で評判の学生議会会長。ほかの部員もかわいいじゃんか」 モブ男1「うらやましすぎだろお前」 京太郎「ハァ……」 モブ男2「なんだよ」 京太郎「いや、お前たちは何も分かってないんだなぁと思っただけだよ……」 モブ男1「何がだよ。どっから見ても勝ち組だろお前」 京太郎「……そろそろ部活の時間だから行くわ。じゃあな」 モブ男2「尻に敷かれたりしてんのかな、アイツ」 モブ男1「あぁ、そう言えば部の中じゃ一番麻雀弱いらしいな。雑用係でもやらされてるんかな」 モブ男2「それにしたって恵まれてるだろ」 モブ男1「全くだ」 京太郎(あいつらは全く何も分かっちゃいない) 京太郎(確かに俺が麻雀部にいるのは女の子が目的ではある) 京太郎(しかし、しかしだ、麻雀部は俺にとってのハーレムなどでは断じてない) 京太郎(そもそも俺があの中の誰かとくっつくということすら万死に値するタブー) 京太郎(俺は唯の観察者でなくてはならない) 京太郎(そう、百合の花を愛でる1人の百合男子として!) 京太郎「すいません、遅れました」ガチャ 優希「遅い! 犬としての自覚が足りてないじぇ!」 京太郎「自覚も何も、俺は犬じゃないからな」 優希「何を寝ぼけたことを。お前は私専属のタコス犬だじぇ!」 京太郎「タコス犬って、お前……」 和(バター犬の仲間のように聞こえます……) まこ「まだ部長も来とらんけぇ、大丈夫じゃ」 咲「今から麻雀やるつもりだったんだけど、京ちゃんもやる?」 京太郎「いや、俺はネット麻雀してるからいいよ。それに全国に出るやつが優先的に打った方が良いだろ」 優希「調教の効果が出てきたみたいだな。自分の立場を良くわきまえてるじぇ」 和「ゆーき、須賀君の気遣いにそんな事を言ってはいけません」 咲「じゃあお言葉に甘えて、さっそく4人で始めようか」 京太郎(そう、俺が麻雀部に入った理由……それは女子たちが育む百合の花を愛でるため) 京太郎(始めは和に目をひかれていた。あんな可憐な少女こそ女の子とくっつけば良いのにと。が、和と絡む優希を見て確信した) 京太郎(俺の青春の全てはあそこにある、と) 京太郎(人数が少ないために出来上がるカプの種類は多く無い) 京太郎(しかしそれでも不純物(男)無しで美少女達が集まっている空間が何ものにも代えがたい楽園であることに変わりは無い) 京太郎(それに何より、麻雀部に入ってからは数々の嬉しい誤算があった) 京太郎(その一つが……) 和「しかし、やるべきことはきちんとやっているはずなのに、全国が近付いてくるにつれてやっぱり不安になってきますね……」 咲「大丈夫だよ!原村さんが頑張ってるのは確かだし、それに原村さんの強さは私たちが一番よく知ってる」 咲「だから自信を持って!一緒に優勝目指そうよ!」 和「宮永さん……」ポッ 京太郎(こ れ だ !) 京太郎(始めはカプの組み合わせが増えれば重畳、くらいに思って咲を無理やり誘ったわけだが) 京太郎(それによって和が覚醒することになろうとは!) 京太郎(まさかの原村和ガチ百合ルート!) 京太郎(俺はこのときほど咲と幼馴染で良かったと思ったことは無い!!) 京太郎(ありがとう咲!俺の人生の中で、お前は今が一番輝いて見える!) 京太郎(ちなみに、のど咲よりも咲のどの方が萌え度は高い) 京太郎(確かに百合における積極性もといガチ百合度は一見すると和の方が高いように見える) 京太郎(しかし和はお嬢様育ち。そして恐らく恋愛自体今まで経験がなかったに違いない) 京太郎(そんな彼女はある少女と衝撃的な出会いをした) 京太郎(始めは強い拒否感を示しながらも、徐々に打ち解け、今では同じ部で共に全国大会優勝を目指す仲間に) 京太郎(しかし彼女の中には友情だけでは説明できない感情が生まれてはじめていた) 京太郎(しかし恋愛経験のない和にはそれが何を意味するのかが分からない) 京太郎(そもそも箱入りに近い環境で育った彼女には同性間に恋愛感情が発生するということが分からない) 京太郎(悶々としながら日々を過ごす和。しかし咲は気づいていた。和が自分に惹かれていることに! 京太郎(自分の気持ちに名前を付けることが出来ないでいる和を煽るように、彼女に対してさりげなく) 京太郎(しかし確かなアプローチを続ける咲) 京太郎(やがて和は原因不明の感情を抑えることが出来ず、先に対して溢れる涙と共に感情を爆発させる) 京太郎(自分で何を言っているのか分からない和を咲はそっと抱き締め、愛の言葉を囁く) 京太郎(その時初めて、自らの感情が本来同性間に存在してはいけないものだと知る和。狼狽する和を咲はやさしくなだめる) 京太郎(自らに強い執着心を抱きながら、それを制御できずにいる和への愛しさが溢れ、咲は和をゆっくりと押し倒した……) 京太郎(和に対して友情以上の感情を持ち合わせていなさそうな咲が) 京太郎(実のところ心の中では舌なめずりをしている状況だというのがこのカプの醍醐味) 京太郎(相手の好意を知りながらその気持ちを持てあそぶ) 京太郎(すばらしい!) 京太郎(普段の行動から素直に和咲というのも確かに良いが、やはりこちらの方が刺激的だ) 京太郎(咲の温厚な性格からは考えられない黒い一面――小悪魔要素というスパイスを加えることで味わいが増す) 京太郎(ここまで実りあるカプはめったにお目にかかれなかった) 京太郎(そう、長野の地区予選までは……) 久「ごめんね、遅れちゃった」 まこ「おう、お疲れ様」 久「さて、みんなに話があるんだけど、ちょっと良いかしら?」 咲「なんですか?」 久「実は今度、県予選決勝に出た四校で合同合宿を開こうと思ってるの」 まこ「ほぉ……」 和「それはまた、大きな催しですね」 久「龍門渕と風越は文句なしの全国クラスだし、それと渡り合った鶴賀もかなりの実力がある」 久「私たちにとって練習になるというのもあるけど、個人戦で全国に出場する風越」 久「それと来年も大会に出る他の1、2年生にとっても悪い話ではないはずよ」 久「今はまだ参加の意思を確認している段階だけど、もしみんなが参加してくれるようなら、全国前のこれ以上ない訓練になるわ」 久「ということで、それに備えていろいろと準備があるから、しばらく私は部活にちょっと顔を出すだけになると思うの」 久「みんなの方でも練習メニューなんかに関して何か思いついたことがあったら、何でもいいから言ってちょうだい」 優希「龍門渕も参加するということは、あのタコス泥棒も参加するってこと……」 優希「ふっふっふ……早くも復讐の機会が訪れたようだじぇ!」 咲「あはは、復讐っていうのはともかく、またあの人たちと打てるって言うのは嬉しいな」 和「ええ、私も楽しみです。皆さん手強い相手になりそうですから」 京太郎(き…………) 京太郎(きたああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!) 京太郎(4校揃って合同合宿!!) 京太郎(県予選決勝戦で熱い戦いが繰り広げられたことは記憶に新しい) 京太郎(しかし、俺にとっては麻雀以外の面でも非常に熱い大会だった) 京太郎(まずは風越!) 京太郎(キャプテンの福路さんが部長に向けていた眼差し……) 京太郎(あれは間違いなく恋する乙女のそれだった!) 京太郎(しかしそのキャプテン自身が、名門風越の中でのアイドル的存在だった!) 京太郎(少し垣間見ただけでもわかる、あの包み込むような慈愛のオーラ) 京太郎(レギュラーメンバーに対する気遣いから普段の彼女の行動は容易に想像できる) 京太郎(そしてその優しさによって、部員たちは皆キャプテンに対して圧倒的な信頼と好意を抱くことになる) 京太郎(しかしそのキャプテンが想いを寄せていたのは、よりにも寄ってライバル校である清澄を率いる竹井久だった) 京太郎(熱い!熱すぎるぜ!) 京太郎(許されざる禁断の恋、まさにロミオとジュリエット!) 京太郎(風越は百合の園としても名門だったな) 京太郎(そして清澄と同様に無名の状態で決勝に進出した鶴賀) 京太郎(ここも見逃すことのできない勢力だった) 京太郎(百合を求めて彷徨っていたら、偶然見かけたあの光景) 京太郎(決勝戦敗退後の鶴賀の大将と副将の会話) 京太郎(「消えてもいい」と言われた時の大将のあの表情……) 京太郎(そこですかさず「先輩を探し回ってみせる」と言ってのける!) 京太郎(まさに落として上げる、のコンボ!) 京太郎(しかし、このあとがさらに問題だった) 京太郎(まさか「なんとしてもその口を閉じさせる」と来るとは!) 京太郎(これは! つまり!!) 京太郎(自らの口で塞ぐということにほかならないっ!!!!!) 京太郎(あれはやばかった……) 京太郎(間違いなくあの二人はガチ) 京太郎(今まで生きてきた中で間違いなくトップクラスの名シーンだった) 京太郎(ウロウロしていたせいで、咲と和の決勝後再会シーンからハブられる結果となってしまったが) 京太郎(それはともかく、あの関係に至るまでのプロセスに強大な萌え要素が含まれているはずだが) 京太郎(いかんせんその情報を仕入れる手段がない) 京太郎(そこに来て今回の合宿!) 京太郎(親交を深め情報網を新設するまたとない機会だ!) 京太郎(龍門渕も見過ごすことのできない勢力だし、是非とも情報を手に入れたい) 京太郎(中堅のタトゥーシールの娘) 京太郎(あの手錠は一体何のためにしているんだ?) 京太郎(もしかしたらあれは、SMプレイの一貫なのかもしれない!) 京太郎(となると、あの中の誰がかご主人様になるわけだが) 京太郎(小学生にしか見えない大将との絡みで、ロリ百合展開も捨てがたいが、やはり和と戦った副将のお嬢様が妥当だろう) 京太郎(名前も龍門渕っていってたし、理事長の家系の人間であることは間違いない) 京太郎(身分違いの恋は、所有という歪んだ形での関係を二人に強いる……) 京太郎(うむ、すばらだ) 京太郎(こういった妄想の燃料に事欠かない環境) 京太郎(これこそ麻雀部に入って良かったと思える最大の理由だ!) 京太郎(なぜか麻雀部の人間は、どこの高校もレベルが非常に高い!) 京太郎(間違いなく俺は今人生の絶頂期にいる!) 久「じゃあ私はまだ準備があるから、あなたたちはとりあえず練習しててちょうだい」 久「段取りが決まったら、また連絡するからね」 まこ「おう、手伝えることがあったらいつでも言ってくれて構わんからな」 優希「いょし!早速妥当ノッポを掲げて特訓するじぇ!」 優希「京太郎!すぐにタコスの補充をして来い!」 京太郎「自分で行けよ、俺は今対戦中だ」 和「ゆーき、わがまま言ってはいけませんよ」 和「もうすぐこっちが終わりますし、そのあとで一旦買い行きましょう」 優希「のどちゃん、ついてきてくれるのか!さすがだじぇ、どっかの駄犬とは違うな!」 京太郎「結構結構、タコスのパシリよか駄犬の方がましだからな」 優希「自分の立場を理解していると思ったらこれだじょ」 優希「まったく、調教が足りなかったのか?」 和「ゆーき、早く終わらせて買いに行くのでしょう?」 優希「そうだったな、じゃあ行ってくるじぇ!」 京太郎(……すっかり忘れていた) 京太郎(最近の咲和に押されて目立たないが、この二人のカプもアリだよな) 京太郎(むしろ咲が来るまでは主力だったし、いまでも垣間見えるその輝きは失われていない) 京太郎(しかも聞くところによると、和が清澄に入ったのは優希と離れたくなかったからだそうだ) 京太郎(これはまごうことなきとびっきりの百合!) 京太郎(百合場面名鑑収録『あなたがいないなんて考えられない』だ!!) 京太郎(そして無事に同じ学校に入学する二人だったが、優希と共にいるために入ってきたはずの和は新しい出会いを果たしす) 京太郎(そしてそちらの方に夢中になってしまう。一方、和が自分のことを追って清澄に入ってきたことに気づいていた優希だが) 京太郎(今までの友情が変化してしまうことを恐れ、それにあえて気づかないふりをしていた) 京太郎(しかし和の目が一旦咲に向き始めると、優希の心には原因のわからない重苦しい気持ちが募ってくる) 京太郎(日に日に仲が良くなっていく和と咲。和の気持ちに答えるつもりはなかったはずなのに) 京太郎(彼女の気持ちが自分から離れたとたん彼女のことを意識してしまう自分に嫌気がさす優希) 京太郎(そしてある日、彼女は目撃してしまう。和が咲にキスをしようとしている瞬間を!) 京太郎(……ふぅ、ここから先は純愛失恋ルートか逆転優和ルート、はたまたタコスヤンデレ化ルートと選り取りみどりだ) 京太郎「ほんと麻雀部は天国だぜ」 まこ「ん?天国?」 京太郎「あっいや、ほんとに麻雀って楽しいなーって思いまして……」 まこ「なんじゃ、京太郎の今の状況を考えると、こっちが申し訳なくなるの……」 咲「京ちゃん……ごめんね雑用ばっかりやらせちゃって……」 京太郎「いや、そんな、悪いよ。それに皆は全国があるだろ?その手伝いが出来るだけで俺は満足だよ」 咲「京ちゃん……」 京太郎「だからさ、先はその分頑張ってくれよ」 京太郎(主に和との絡みをな) 咲「うん!私頑張るよ! 京ちゃんのためにも頑張って優勝するから!」 京太郎「よし、その意気だ! 絶対優勝杯をもって帰れよ!」 久「じゃあ、優勝杯を持って帰るために、卓の空きを須賀くんに埋めてもらおうかしら」 まこ「もうネトマも終わっとるみたいだしのう」 久「もっとも須賀くんが搾取されるだけで終わるだろうから、あまり効果的な練習にはならないでしょうけど」 京太郎「ひどっ! それはあんまりじゃないですか部長!」 咲「部長の言うとおりかも……」 京太郎「咲……お前は俺を見捨てるのか……」 京太郎「わかったよ、俺はもう何も期待しないさ……」 咲「わわっ、じょ、冗談だよ京ちゃん!」 ***************** 京太郎「流石にもうトバされ慣れてきましたよ」 京太郎「メンタルだけは鍛えられましたね!」 まこ「単に向上心が無くなっただけと違うんか……」 久「負け犬根性が染み付いてきたみたいね」 咲「京ちゃん! 諦めちゃダメだよ!」 京太郎「俺から点をがっぽりとっていったのはどこの誰だっけなぁ?」 咲「そ、それは……手加減ずるのは失礼だと思ったからで……」 京太郎「わかってるよ、俺が雑魚すぎるだけだってな」 久「須賀くん、あんまり自虐ネタに走るとみっともないわよ」 久「ところで明日は土曜日だけど、須賀くんはいつもどおり欠席?」 京太郎「あ、はい。 龍門渕に行くので」 まこ「雑用のレベルを超えて、最近は本当の執事に近づきつつあるのう」 久「足繁く通っているわよね。本当に執事になるつもりなの?」 久「それとも龍門渕に気になる子でもいるのかしら」 京太郎「ちょっ、部長!」 京太郎(気になる子……間違ってはいないな) 京太郎(あのお嬢様とタトゥー意外にも、可能性はまだまだ秘めているしな) 咲「え……京ちゃん龍門渕に好きな子がいるの!?」 咲「いったい誰が……や、やっぱり胸の大きさを考えると、あのメガネの……」 咲「はぅ! まさか衣ちゃんとか!?」 咲「それともツンデレ系狙いで龍門渕さんだったり……」 京太郎「おい、俺が割り込んでどうする!」 咲・久・まこ「?」 京太郎「い、いや、そうじゃなくてだな」 京太郎「合宿の時は人数も揃うだろうし、ハギヨシさんに徹底的に立ち回りを仕込んでもらおうと思ってさ」 久「え? 須賀くんはお留守番よ?」 京太郎「…………は?」 京太郎「いやいやまさかそんなおれだけのけものなんてそんなことをやさしいぶちょうがするなんてじょうだんですよねそうですよね」 久「まさか参加できると思ってたの? 身内だけならまだしも、ほかの生徒が居るところに一人だけ狼を放つ訳にはいかないでしょう」 京太郎「」 まこ「完全に魂が抜けおったぞ」 咲「京ちゃん、そんなに他の娘たちに会えないのがショックなの……?」 久「無駄よ咲、完全に意識を失っているわ」 まこ「もう部活も終わりなんじゃが、どうするコレ」 久「とりあえずこの部屋の外に出して置くだけで良いんじゃない? この部屋に鍵さえかかれば問題ないでしょ」 咲「京ちゃん……」 優希「ただいま帰ったじぇ!」 和「すみません、私が途中でタコスを落としてしまって」 優希「まったくだじぇ! そのデカパイでタコスを叩き落とすなんて」 和「で、ですから何度も謝ったじゃないですか!」 優希「そのおっぱいを半分分けてくれるなら、もう何も言わないじぇ」 和「無理です!」 優希「って、おっぱいの話をしたのに京太郎の反応がないじぇ?」 和「そういえばさっきから微動だにしてませんね」 まこ「気にせんほうがええ、夢やぶれた男の残骸じゃ」 久「みんな、コレを外に出すの手伝って頂戴。まったく、余計な手間をかけるさせるなんて雑用失格ね」 まこ「いや、京太郎はそもそも雑用じゃないじゃろ……」 咲「部長、持ち帰っても良いですか?」 和「!?」 久「良いけど、私は手伝わないわよ? 自分だけで持って帰りなさい」 咲「うーん、それじゃあ無理か……また今度の機会に」ブツブツ 和(京咲なんてSOA) 和(宮永さんに野蛮な男なんて論外です!) 久「じゃあとりあえず、コレを外に出して帰りましょうか」 久「下校時刻も過ぎてることだしね。 あとは用務員さんが何とかしてくれるでしょ」 ***************** 用務員「君、大丈夫かい! ほら、起きなさい!」 京太郎「はっ!」 用務員「やっと起きたか。一体どうしたんだい、こんなところで」 京太郎(俺は一体ここで何を……) 京太郎(咲と和がカナダで結婚式を挙げて……) 京太郎(そして咲と和、二人にそっくりな双子の女の子が生まれたんだったよな……) 京太郎(世界初のiPS細胞による同性間の出産だからって、世間から色眼鏡で見られて) 京太郎(それでも二人の絆が解けることはなく) 京太郎(やがて女性同士の婚姻が世界的に一般的になっていった……) 京太郎(…………) 京太郎「って、ちがああああう!!」 用務員「」ビクッ 京太郎(俺が合宿に行けないだと!? そんな馬鹿なことがあってたまるか!!) 京太郎(なにか、なにか現状を打開する方法はないのか!?) 京太郎(どんな方法でもいい! 手段は選んでいられないんだ!!) 京太郎「………………はっ!」 京太郎(そうだ、この手があった!!)ダッ 用務員「あっ、おい君!」 ――龍門渕家―― 京太郎「ハギヨシさん!」 ハギヨシ「来ましたか。いきなりの連絡、驚きましたよ」 ハギヨシ「しかし、そんなに慌てている貴方を見るのは初めてですね。一体なにがあったのですか?」 京太郎「ハギヨシさん……いえ、萩原さん、どうしても聞いていただきたいお願いがあります」 ハギヨシ「お願い…ですか」 京太郎「萩原さんのその技術……誰からも気配を悟られずにいるその術を、俺に伝授してください!!」 ハギヨシ「……!」 京太郎「今日まで何の見返りも差し出せずに、ただただ様々な技術を教えて頂いてきた上で」 京太郎「このようなお願いをするのが失礼にあたることは重々承知しています」 京太郎「だけど、それでも……どうしても成さなければいけないことがあるんです!」 ハギヨシ「京太郎君……」 京太郎「…………」 ハギヨシ「……わかりました。その目、その気迫、よほどの事情があっての事なのでしょう」 ハギヨシ「京太郎君、私は貴方の才能に惚れ込んで、私の持てる全てを授けようと考えていました」 京太郎「……え?」 ハギヨシ「それが少し早まっただけのこと」 ハギヨシ「分かりました、我が萩原家に伝わる奥義の一、『孤塁立』を伝授いたしましょう」 京太郎「あ、ありがとうございます!!」 ハギヨシ「修行は今までのものが児戯に思えるほど厳しいものになります」 ハギヨシ「覚悟はよろしいですか?」 京太郎「たとえこの身が灰になろうと、必ず成し遂げてみせます!」 ハギヨシ「分かりました。では今日から泊まり込みで修行をしていただきます」 ハギヨシ「ご両親の許可は取っておいて下さい」 京太郎「はい! よろしくお願いします!」 ~1週間後~ ――合宿所―― 華菜「4000・8000! 裏はめくらないでおいてやる!」 久「あなたのとこのキャプテンはいいわねえ」 カツ丼「あと一人」 京太郎(…………) 京太郎(完璧だ……!) 京太郎(ここまで気づかれる気配が微塵もないとは) 京太郎(ハギヨシさん……いや、師匠! ありがとうございます!) ~京太郎が龍門渕を訪れた翌日~ ――善光寺―― 京太郎(あれから一晩龍門渕で過ごし、学校をサボって今ここにいる) 京太郎(一体何が始まるんだ?) ハギヨシ「では京太郎君、これから修行を始めます」 京太郎「はい……でもこんなとこで一体何をするんです?」 ハギヨシ「ふふ、山奥の秘境のようなところで修行をすると思っていましたか?」 ハギヨシ「確かに、萩原流の中にはそういった場所での修行の方が適している技も多くあります」 ハギヨシ「しかし、今回あなたに伝授するのは、大雑把に言えば「人の目に留まらないための技」です」 ハギヨシ「よって、人がいなければ修行にならないのですよ」 京太郎「……そうですね! 失念していました!」 ハギヨシ「では改めて」 ハギヨシ「京太郎君、今からあなたには、この善光寺前の通りを往復してもらいます」 京太郎「…………は?」 ハギヨシ「それも、ただ歩いて往復するわけではありません」 ハギヨシ「この時間帯、観光客の数がピークに達しているため、非常に混雑しています」 ハギヨシ「この人ごみの中を、全力疾走で往復してください」 京太郎「は、はぁ……」 ハギヨシ「では行きます」 ハギヨシ「3,2,1、スタート!」 京太郎「え、あ、はい!」ダダッ 京太郎(一体なんなんだこれ……って、やば!) ドンッ! 京太郎「す、すみません!」 おばさん「ちょ、気をつけてよ!」 京太郎(ヤバイヤバイ……って) ドンッ おじさん「おい、君!」 京太郎「ひっ、も、申し訳ありません……」 京太郎(こ、これは……) 京太郎(全力疾走とか無理だろ!!) ハギヨシ「お疲れ様です。どうでしたか?」 京太郎「見ての通りです……怒りの視線を両手では足りないくらい浴びせられました」ハァハァ ハギヨシ「でしょうね。かなりの難易度だったと思います」 ハギヨシ「ですが、このくらいできなくてはあなたの望む力は到底手に入りませんよ」 京太郎「ハギヨシさん、いったいこれは……」 ハギヨシ「では今度は私がやってみせます」 ハギヨシ「よく見ていてください」ダッ 京太郎(いったいこれは何を……) 京太郎(!!??) 京太郎(す、すごい) 京太郎(オリンピックの短距離走レベルの速さで走っているのに) 京太郎(周囲の人が誰も目を向けていない!) 京太郎(いや、そもそも存在に気づかれていないのか!?) 京太郎(しかも、もう戻ってきた) ハギヨシ「ふぅ、良いですか京太郎君、これが我が萩原流奥義の一つ」 ハギヨシ「『孤塁立』です」 京太郎「弧塁……立」 ~冷やしトーカ無双~ ――合宿所―― 一「透華……」 純「すげぇ……」 京太郎(くぅ、あのタトゥーの娘の心配そうな表情がたまらん!) 京太郎(自らのそばにいた最愛の人が、急に離れていってしまった不安) 京太郎(それはより一層の独占欲という、ひどく歪んだものへと変わりかねないものだ) 京太郎(果たして彼女は、変わってしまった愛しい人に対してどのようなアクションをとるのか) 京太郎(このカプは要注目だな) 京太郎(しかし、こんなおいしい思いができるとは) 京太郎(これも全て師匠のおかげだ!) ~善光寺前での全力疾走後~ ――そば処「参タテ」―― ハギヨシ「人の知覚の中にありながら意識下より外れ孤立しているところ」 ハギヨシ「それを弧塁と呼びます」ズズッ 京太郎「弧塁、ですか」ズルズル ハギヨシ「先ほどの善光寺前では、その意識の空白地帯を見抜き、駆け抜けることで、誰の目にも留まることなく往復ができたのです」 ハギヨシ「日頃、衣様の周囲に控えている時も、みなさんの孤塁に立つことで自らの存在を悟られずにいるのです」ズズッ 京太郎「そんな神業、俺に習得することができるんでしょうか……」ズルズル ハギヨシ「私の見立てでは、あなたは萩原流を習得するに十分な才能を持ち合わせています」 ハギヨシ「あとはあなたの覚悟次第です」 ハギヨシ「どうしても成さなくてはならないことがあるのでしょう?」 京太郎「……そうでした、俺には譲れないものがあるんです」 ハギヨシ「それともう一つ、相手の孤塁を見抜く力以外にも、身につけてもらいたいものがあります」 ハギヨシ「広く捉えれば、これも気配を遮断するための方法であると言えます」ズズッ 京太郎「なんですか?」 ハギヨシ「孤塁立は、いうなれば相手に合わせて自らを消す方法」 ハギヨシ「それとは別に、自らが発している気配……気とでも言いましょうか」 ハギヨシ「それを包み隠す術を身につけてもらいます」ズッ 京太郎「気?」ズルズルッ ハギヨシ「人の体をめぐるエネルギーのようなものと言いましょうか」 ハギヨシ「科学的には名状し難いのですが……まあいずれ分かるようになるでしょう」 京太郎「その気ってやつを抑える術を身につけろってことですか」 ハギヨシ「包み隠す、というのには語弊がありましたね」 ハギヨシ「気を制御して、己の存在を空間に溶け込ませる」 ハギヨシ「天地と一つになる、と萩原の奥義書には記されていますが、まさしくその通りです」 京太郎「天地と……」 ハギヨシ「これらの奥義は、極めることによってあらゆる場面で驚異的な効果をうみます」 ハギヨシ「そして、萩原流の中でも会得できた者が最も少ない術でもあります」コチラソバユニナリマス ゴトッ 京太郎「」ゴクリ ハギヨシ「大丈夫ですよ、あなたならできます」トポトポ ハギヨシ「己を信じ、力を尽くせば必ずモノにすることができますよ」ズッ ~そして現在へ~ ――合宿所―― 京太郎(そして俺は手に入れた……) 京太郎(この身を死角に置き、天地と……空間と一つになる力を!) 京太郎(今の俺はかつての『須賀京太郎』ではない) 京太郎(百合のために生き、百合のために死ぬ、森羅万象と一体になった百合男子の戦士) 京太郎(ここからは『アトモスフィア京』の独壇場だぜ!!) 透華「こんなの…こんなの私じゃありませんわッ!! きゃっかですわ!」 一「透華…」 透華「これでは原村和とスタイルが違いすぎますわ」 一「う…」 京太郎(ふむ、冷やしトーカさんは元に戻ってきたみたいだな) 京太郎(しかし、和に対してみせる執着は、タトゥーっ娘の嫉妬を掻き立てているようだ) 京太郎(百合場面名鑑収録『誰にもあなたを渡さない』!!) 京太郎(ずっとそばに仕えていたはずなのに、想い人の心は会ったこともない女に釘付けのまま) 京太郎(彼女の心を手に入れようと努力を重ねる日々が続くが、どんなに手を尽くしてもその心が和から離れることはなかった) 京太郎(そしてついに恐れていたことが起こってしまう) 京太郎(和の所属する清澄が県予選の決勝で、透華が和と当たってしまうことになったのだ) 京太郎(そして実際に和と戦った透華は、和に対する執着をますます強めていってしまう) 京太郎(坂道を転がり落ちるように止められなくなった最悪の状況) 京太郎(そして一の思いは、いつしか純粋な恋慕から憎しみを伴うものになっていった) 京太郎(自分に手枷を課して心を縛っておきながら、そのことを気に止める素振りもなく他の女にうつつを抜かすなんて……) 京太郎(そして彼女の抑圧された欲望は、ある日ついに臨界点を超えてしまう……) 京太郎(もう少し嫉妬が高まれば、もしかすると下克上レ○プルートが実現するかもしれん……) 京太郎(帰ったら和をたきつけてみるのもアリだな) 京太郎(っと、もうこんな時間か) 京太郎(もう少しこのカプに注目したいところだが) 京太郎(そろそろ敦賀や風越の方にも行かないとな)スタスタ 京太郎(やはり風越のキャプテンと部長の関係、敦賀の果樹園カプも気になるしな)スタスタ 京太郎(それに、昨日の様子を見ていると他にも魅力的な組み合わせが存在するようだしな) 京太郎(最も気になったのが、次鋒戦メンバーの絡みだ) 京太郎(名門風越でレギュラーを勝ち取った吉留未春) 京太郎(昨年1年生のみのメンバーでレギュラーを奪い、全国へ進出した龍門渕の沢村智紀) 京太郎(そして幼い頃から雀荘で麻雀に親しみ、麻雀が生活の一部になっていた染谷まこ) 京太郎(立場は違えど、己の技量に揺るぎない自信とプライドを持っているメンバーだ) 京太郎(しかし彼女たちのプライドはある日突然打ち砕かれてしまう。全国へ進むための関門、県予選の決勝で) 京太郎(そしてあろうことか彼女たちの道を阻んだのは、役も満足に覚えていないド素人の妹尾佳織だった) 京太郎(大舞台で辛酸を舐めさせられた彼女たちであったが、その後4校合同合宿にて再び妹尾と合い見える機会に恵まれる) 京太郎(麻雀は確かに運の要素が少なくない。だから初心者でも上級者を打ち負かすことが十分に起こり得る) 京太郎(しかしそれはあくまで「ありえないことはない」という程度の可能性のものであって、やはり実力の差というものは大きい) 京太郎(今回こそはと、自らの中で名誉を挽回するためにリベンジマッチを挑む次鋒戦メンバーであった) 京太郎(しかし、ここでも妹尾が1位になるという、悪夢のような結果が待ち受けていた。完全に意気消沈する彼女たち) 京太郎(そしてその心の傷は、次第に妹尾への執着へと姿を変えてゆく) 京太郎(そして合宿最終日、彼女たちは最後の戦いを挑もうと妹尾を探していた) 京太郎(しかしそこで見つけた妹尾は、他に誰もいない個室でその肢体を無防備にさらけ出しながら眠っていた) 京太郎(それを見た3人の心の中に、ある濁った欲望が沸き起こる。3人は部屋に入ると、そっと鍵を占めた……) 京太郎(ちょっと飛ばしすぎだが、こんな感じの輪○ルートもアリだよな) 京太郎(問題はこれだけのメンバーが一堂に会することがこれから先にあるのかどうかということだ) 京太郎(しかし、次鋒戦メンバーは全員2年生なわけだから、来年もあるんだよな) 京太郎(「卒業するまで結局一度も勝てなかった」っていうくらいの火薬があれば) 京太郎(大爆発するという流れもより自然になりそうだし、これから先の展開にも期待が持てる) 京太郎(なんにせよ、ここにはまだまだたくさんのお宝が眠っているぜ!) ?「やはり、こういうことでしたか……」 京太郎「!?」 ハギヨシ「京太郎君……」 京太郎「し……師匠!? なぜここに!?」 ハギヨシ「あなたがうまくやれているかどうか気になったのですが、まさかこんなことに力を使っているとは」 京太郎「こ、これは、その」 ハギヨシ「京太郎君……今すぐに帰りましょう」 京太郎「……師匠、俺は、俺には譲れないものがあります」 京太郎「それが今の、この生き方です!」 京太郎「どうしても連れ帰るというなら、俺は……」 京太郎「あなたを倒してでも、己の道を貫きます!」ズアァァ! ハギヨシ「……これ以上、今のあなたを見過ごすことはできません」 ハギヨシ「龍門渕家のCB(コンバットバトラー)としても」 ハギヨシ「同じ志を持つ……百合男子としても」 京太郎「!?」 京太郎「し、師匠が……百合男子?」 京太郎(馬鹿な……そんなはずはない) 京太郎(百合男子は多かれ少なかれ、その瞳のうちに冥い“欲望”の光を灯している) 京太郎(今まで出会った奴らはみんなそうだった) 京太郎(そして……鏡越しに覗きみた、俺の瞳の中にも……) ハギヨシ「私もかつてはあなたと同じでした」 ハギヨシ「仲睦まじい女性達を眺めては、己の世界の中で百合の絵画を描く」 ハギヨシ「今のあなたと同じ行動に出たことも、1度や2度ではありません」 ハギヨシ「しかし、執事として龍門渕にお使えするようになってから、私は苦しむことになりました」 ハギヨシ「主君に忠誠を誓っているように見せかけ、裏ではとても好ましいとは言えない妄想を繰り広げている」 ハギヨシ「そして苦しみぬいた末、私はひとつの決断をしました」 ハギヨシ「それは、見方によっては“逃げ”と捉えられるかもしれません」 ハギヨシ「……いえ、実際は逃げたのです」 ハギヨシ「百合“男子”として生きることの、重圧から」 京太郎「!?」 京太郎「師匠……まさか、あなたは……」 ハギヨシ「百合男子の欲望の根源は、通常の男性の欲望と変わりません」 ハギヨシ「だから私は……自らその根源を絶つことを選択したのです」 ハギヨシ「執事として、生きるために」 京太郎(……去…………勢……したのか!?) 京太郎「師匠……あなたは……」 ハギヨシ「私は、自らが下した決断に対して微塵も後悔をしておりません」 ハギヨシ「ただ……何かを残すということができなくなってしまったことだけは、残念でした」 ハギヨシ「そんな私の前に、京太郎君、あなたが現れたのです」 京太郎「俺が……」 ハギヨシ「これは私の勝手な理想の押し付けです」 ハギヨシ「しかし、あなたには一流の執事としての道を、そして一流の百合男子としての道を歩んで欲しいのです」 京太郎「ま、待ってください! 執事はともかくとして、ここで退くことが百合男子としての行動だとは到底思えません!」 京太郎「手の届く範囲の百合の花を観察し尽くすことこそが、百合男子のあるべき姿じゃないんですか!?」 ハギヨシ「……百合男子とは、そもそもが歪な存在です」 ハギヨシ「男の身でありながら、女性同士の恋愛に惹かれてしまう」 ハギヨシ「その性質上、対象となる女性感の関係に影響を及ぼすような行動は避けるべきだと、私は考えます」 ハギヨシ「百合男子の手が加わってしまっては、それは真の百合の花と呼べなくなってしまうと思うゆえに」 京太郎「それは、分かりますが、しかし観察するということはっ」 ハギヨシ「周囲の流れに抗ってまで観察を行うということは」 ハギヨシ「たとえそれがどんなに完璧な隠匿のもとに行われていたとしても、影響を及ぼしてしまう危険性があります」 ハギヨシ「真の百合男子とは、周囲の流れに逆らわず、ただ身を任せてそこに在る者を指すのではないでしょうか」 ハギヨシ「その流れの中にある限りは、百合男子は周囲を構成する空間の一部になっていることができます」 ハギヨシ「そしてそれは自然な百合の花の背景となり得る」 ハギヨシ「しかし、今あなたがしていることは、その流れに逆らって、百合の花に力ずくでにじり寄ろうとする在り方のように見えます」 京太郎「!!」 ハギヨシ「京太郎君、あなたが求める“百合”とは一体なんなのですか?」 京太郎「俺は……俺には……」ガクッ ハギヨシ「ここから先はあなたが決めることですが……」 京太郎「師匠の言うことは、これ以上ないほどの正論です」 京太郎「それはいま、心の底から理解することができました」 京太郎「今日まで定まらなかった、自らの立つべき場所も分かりました」 京太郎「けれどっ……!」グッ 京太郎「この体がっ! 求めてしまうんですっ!」 京太郎「俺には男を捨てる勇気がない……」 京太郎「だから、師匠と同じ道を歩むことが……できない……」 ハギヨシ「京太郎君、今のはあくまで私の道です。私の生き方です」 ハギヨシ「私の言った言葉が理解できたのなら、あとは自分で、自らの生き方を選べる」 ハギヨシ「いや、“創り”だせるはずです」 京太郎「師匠……」 ハギヨシ「百合男子としてあなたに伝えなくてはならないことは、全て伝えたつもりです」 ハギヨシ「あとはあなたの選択に任せます」 ハギヨシ「こんなこと、本当はあってはならないのですが」 ハギヨシ「あなたに伝えたいことを伝えて、私も何か肩の荷が下りてしまったようです」 ハギヨシ「……なんだか、力が抜けてしまった気分です」 ハギヨシ「……今日だけは、執事としての役割を忘れることにします」 ハギヨシ「また会いましょう、須賀京太郎」スゥー… ********** 京太郎(俺は、どうしたら……)フラフラ 京太郎(咲……和……)フラフラ ?「龍門渕の執事さんは帰ったみたいっすね」 京太郎「!?」ガバッ ?「おお、さすがっすね。今の状態の私を認識できるなんて」 京太郎「あ、あんたは!」 桃子「鶴賀の副将、東横桃子っす」 京太郎(ど、どういうことだ!? いくら気が散っていたとは言え、まだ俺はアトモスフィア状態のはず……) 桃子「最近身につけたばかりの技が、完全にモノになっているとでも思ってたんすか?」 桃子「気配に関する分野では、私の方が経験も技術も圧倒的に上っすよ?」 桃子「それはもちろん、察することに関しても」 桃子「にわかは相手になんないっす」 京太郎「だけど……和は大会の時あんたのことが……」 京太郎「俺はその和にも察知されなかったはず……」 桃子「あれは本気で消しにかかっていなかったからっすよ」 桃子「先輩が見ているところで本気を出して、万が一先輩が耐性をつけてしまったら」 桃子「先輩に色々とできなくなってしまうじゃないっすか」ニコッ 京太郎(……っ、コイツ!) 京太郎(『百合っ娘(ホンモノ)』だ!) 京太郎(しかし、目的がわからない以上、素直に喜ぶことができない)ゴクリ 京太郎(今の今までアクションを起こさずにいて、ここで俺に接触する意味はどこにある?) 桃子「最初から、あなたがいることには気づいてたんすよ?」 桃子「どうせならお風呂を覗いているところをみんなの前に引きずり出して」 桃子「薄汚い野郎が二度と麻雀部に立ち入れないようにしてやろうと思ってたっす」 桃子「でも、あなたはお風呂を覗くような真似はしなかった」 桃子「それどころか、普通の野郎なら垂涎もののシチュに反応すらしなかった」 桃子「だけど、誰か二人以上が一緒にいる状態の時は、鷹の目のような鋭い視線を向けてくる」 桃子「そこで私は気づいたんっす」 桃子「コイツは『百合男子』だって、ね」 京太郎(完全に……バレているっ!) 京太郎(どうする……) 京太郎(今のこの状況、完全に向こうの掌の上だ) 京太郎(ヘタをしたら……消される) 桃子「そんなに警戒しないでくださいよ」 桃子「こっちは取引を持ちかけに来ただけっすから」 京太郎「……何?」 桃子「御宅の部長、竹井久とかいったっすね?」 桃子「あの女がうちの加治木先輩に近づかないようにして欲しいっす」 京太郎「……?」 桃子「訳がわからないって顔っすね」 桃子「詳しい説明は省くっすけど、あの女はうちの先輩にちょっかいを出しているっす」 桃子「だから、本格的に手を出される前に、何とかして欲しいんすよ」 京太郎「俺は……」 京太郎(師匠……俺は) 京太郎「そういったことに、加担することは……」 京太郎(やっぱり、師匠の教え……俺は守りたいです!) 桃子「これ、なんだと思いますか?」 京太郎(カメラ……はっ、まさか!!) 桃子「あんたが皆のことを観察してる、決定的証拠っすよ」ニヤッ 京太郎「」グッ 桃子「おっと、変な真似はしないほうが身のためっすよ」 桃子「すぐそこは清澄の部屋っす」 桃子「私が大声を出せばすぐに見つかりますし、たとえコレを奪って逃げたとしても、証拠は他にもあるっすから」 京太郎「くっ!」 桃子「それに、これはあんたにとっても悪くない話だと思うんすけどね」 京太郎「どういうことだ?」 桃子「私は先輩が無事なら他には何もいらないっす」 桃子「例えば、あの女を風越のキャプテンとくっつけようとするなら全力でサポートするっす」 桃子「そうすればあんたは目の前で百合ップルが誕生するところを見られるし、そこから先の観察も自由自在」 桃子「どうっすか?」 桃子「もっとも」 桃子「断れば……待っているのは迫害と追放っすけどね」ニコッ 京太郎「お……れは……」 ゴソゴソ 京太郎「ちょっと…!東横さんなにしてるんですか…!」 モモ「暴れないでくださいっす 変に暴れたらバラすっすよ」トントントン 京太郎「そ、そんな…う、羽毛…」 京太郎「うっ…」ガクン モモ「落ちたっすね…(確信)」 モモ「………京太郎さん…あなたの事が好きだったんすよ…」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6399.html
【5月第3週 休日】開始 京太郎「朝か…」 京太郎「どうしよう」 京太郎「そういえば、霞さんと約束してたな」 京太郎「行ってみよう」 【石戸宅】 京太郎「おはようございまーす」ガララ 郁乃「あれ~京太郎くんどうしたの~?」 京太郎「霞さんに料理を振る舞いにきました」 郁乃「え~じゃあ私も~」 京太郎「いいですよ」 霞「あら、どうしたの?」 京太郎「約束を果たしに来ました」 霞「約束……ああ、あれね」 霞「わかったわ、台所はこっちだからよろしくね」 京太郎「~♪」 郁乃「ええ匂いやな~なにつくっとるん~?」 京太郎「肉じゃがですよ!肉じゃが!」 霞「朝から…肉じゃが…?」 京太郎「おっ、できましたよ」 京太郎「それじゃあ、いただきます」 霞「いただきます」 郁乃「いただきま~す」 霞「ふむ」パクッ 京太郎「どうですか?」 霞「おいしい!」テーレッテレー 京太郎「そうですか、良かったです」 霞「でも、朝から肉じゃがっていうのはもうちょっと考えましょうね」 京太郎「これから何をしよう」 京太郎「郁乃さん、もう一回打ってください!」 郁乃「ええで~」 霞「あら、打つの?それじゃあ誰か呼ぼうかしら」 霞「華菜ちゃんと咏ちゃんを呼んできたわよ」 華菜「麻雀か…」 咏「よし、さっさと始めようぜぃ!」 京太郎「おう!」 開局 京太郎「今度こそは!」 華菜「久しぶりにやってやるし!」 郁乃「ほな、はじめてくで~」 京太郎「ツモ!300・500です!」 郁乃「あらら~流されてもうた~」 東2局 郁乃 24500 親 京太郎 26100 華菜 24700 咏 24700 京太郎「ツモ!1000オールです!」 華菜(まだ、これからだし) 東2局1本場 郁乃 23500 親 京太郎 29100 華菜 23700 咏 23700 京太郎「ロン!5800!」 咏(うーん、うまくいかねぇーなー) 郁乃「直撃か~」 郁乃「まあ、無駄やけどね~」 【身代わりの幻影】発動! 聴牌判定まで戻ります 東2局1本場 郁乃 23500 親 京太郎 29100 華菜 23700 咏 23700 華菜と咏が同コンマのため、流局 東2局2本場 郁乃 24500 親 京太郎 30100 華菜 20700 咏 24700 京太郎「ロン!2100!」 咏「うぇぇ…マジかい」 東2局3本場 郁乃 24500 親 京太郎 32200 華菜 20700 咏 22600 京太郎「ロン!3900!」 郁乃(う~ん、まだかな~) 東2局4本場 郁乃 24500 親 京太郎 36100 華菜 20700 咏 18700 京太郎「ロン!5800の4本場は7000!」 郁乃(ストック切れるけど…ええか~) 【身代わりの幻影】発動! 聴牌判定まで戻ります 東2局4本場 郁乃 24500 親 京太郎 36100 華菜 20700 咏 18700 郁乃「ツモ、8400・16400やで~」 京太郎「は……!?」 華菜「ちゅ、九連宝燈……?」 咏「やっぱり…厄介だねぃ…」 東3局 郁乃 57700 京太郎 19700 親 華菜 12300 咏 10300 京太郎「ロン、1000です…」 咏「はいよ…」 東4局 郁乃 57700 京太郎 20700 華菜 12300 親 咏 9300 京太郎「ロン、2000です」 華菜「にゃっ!?」 郁乃(もう少しやな~) 南1局 親 郁乃 57700 京太郎 22700 華菜 10300 咏 9300 華菜と咏が同コンマのため、流局 南1局1本場 親 郁乃 57700 京太郎 22700 華菜 10300 咏 9300 京太郎「ロン、1300です」 郁乃「は~い」 南2局 郁乃 56400 親 京太郎 24000 華菜 10300 咏 9300 京太郎「ツモ、1000オールです」 咏「いいようにやられてんな…」 華菜(まだ、あきらめないんだし!) 華菜「うにゃあああああ!」 京太郎「え」ビクッ 【雄叫び】発動! 南2局1本場 郁乃 55400 親 京太郎 27000 華菜 9300 咏 8300 京太郎「ロン、6100!」 咏「ほいよ」 華菜(結局ノーテンだったし…) 郁乃(なあ、華菜ちゃん…) 華菜(こいつ…直接脳内に…!) 郁乃(強く…なりたい?) 華菜(な…何を言ってるんだし) 郁乃(まあ、無理やりさせるんやけどね~) 南2局2本場 郁乃 55400 親 京太郎 33100 華菜 9300 咏 2200 京太郎「カン!」 京太郎「嶺上は…なしか」 華菜(あれ、これって…) 京太郎「もういっこ!」 咏「そんなにカンしてていいのかよ」 京太郎「知り合いに嶺上でばっか和了るやつがいるから俺もできるかなーって」 華菜(おかしいんだし!) 華菜「リーチだし!」 京太郎「え」 郁乃(ふふっ)トン 華菜「それだ!それロン!」 華菜「32600!」 咏「数え役満とか…マジですかい…まあ私もよくあるけど…」 南3局 郁乃 22800 京太郎 33100 親 華菜 41900 咏 2200 京太郎「ロン、1000…」 京太郎(咲の真似も、照の真似もするんじゃなかった…) 郁乃(もうなんもせんでええかな~) オーラス 郁乃 22800 京太郎 34100 華菜 41900 親 咏 1200 郁乃と華菜が同コンマのため、流局 オーラス1本場 郁乃 23800 京太郎 35100 華菜 38900 親 咏 2200 京太郎「ロン、1300」 京太郎(また…ダメだったか……) 郁乃「~♪」 京太郎(わけが、わからない…) 終局 1位 華菜 38900 2位 京太郎 36400 3位 郁乃 23800 4位 咏 900 華菜「それじゃあカナちゃんは帰るしー!」 咏「お疲れ~」フリフリ 京太郎「それじゃあ…昼食作ってきますね…」トボトボ 京太郎「できましたよ……」 霞「今度は何を作ったの?」 京太郎「昼食はかけそばです」 郁乃「おいしそうやな~」 京太郎「それじゃあ」 霞京郁「いただきます」 京太郎「もう夕方か…何をしよう」 京太郎「街に行ってきますね」 郁乃「いってらっしゃ~い」フリフリ 京太郎「カラオケに行こう」 イラッシャイマセー、ナンメイサマデショウカー? 京太郎「1人で」 エ? 京太郎「1人で」グスッ ア、ハイ 京太郎「歌いまくってやるよこん畜生ー!」 京太郎「いーつーかー人はひとーりになーってー」シクシク 歌が上手くなりました! 今度誰かとカラオケに来ると、その人の好感度が上がります 京太郎「ただいま帰りました…」 霞「あら、酷い声ね、どうしたの?」 京太郎「いえ、何でもないですよ……」ヘヘッ 京太郎「……夕食を作ろう…」 京太郎「できましたよ」 郁乃「お、今度はおでんか~」 霞「おいしそうね、それじゃあ」 霞京郁「「「いただきます」」」 霞「まずはもち巾着からいくわよ!」 郁乃「じゃあ私ももち巾着や~」 京太郎(もち巾着か…)ジーッ 霞「今日はありがとうね」 京太郎「いえ、約束ですから」 郁乃「そういえば、2人の約束ってなんなん~?」 京太郎「それは……」 霞「べ、別に意味なんて無いわよ!うん、無い無い!」 郁乃「なんや~つまらんな~」 京太郎「それじゃあ、おやすみなさい」 京太郎「夜は、何をしよう」 京太郎「散歩してくるか」 京太郎「もうすぐ梅雨か…この星空もあまり見れなくなるんだな……」 怜「それは、寂しいな…」 京太郎「あれ、怜さんじゃないですか」 怜「ちっ、気付かれたか……」 京太郎「今日はもう乗りませんよ」 京太郎「もう少し、この空を見ていたいですから……」 怜「せやな、それも、ええな……」 【5月第3週 休日】終 【5月第4週平日】 京太郎「朝か……」 ザーッ 京太郎「雨、降ってるのか」 京太郎「傘を持って…」 バタム バタム 照「…あ」 京太郎「よっ」 照「雨」 照「雨、降ってるのか……傘無いんだよなーどうしよっかなー」チラッチラッ 京太郎「うっ…はあ、わかったよ。ほら、入れ」 照「やった!ありがとうね、京」 京太郎「どうってこと……ねえよ」プイッ アラアラ、アメナノニオアツイコトー モウスグナツデスカラネー オホホホ 照「…」カァァ 京太郎「…」カァァ 照「ねぇ、京」 京太郎「なんだ?」 照「この梅雨があけて、夏になったら…さ」 京太郎「ああ」 照「海に行きたいな」 京太郎「海か…いいかもな、じゃあ行ってみるか」 京太郎「みんなで」 照「う…うん」 照(2人で、行ってみたかったんだけどな……) 京太郎「依然、雨降り続く、か」 京太郎「昼はどうしよう」 京太郎「雨だけど屋上に来てみたぞ」 京太郎「これもまた、乙だな」ムシャムシャ 華菜「お、須賀じゃないか」 京太郎「池田さんですか、あなたも物好きですね」 華菜「ここは好きだからな」 京太郎「そういえば、麻雀部の件考えてくれましたか?」 華菜「それか…」 部員AB「嫌です!」バタム! 華菜「お、お前たちどうしてここに」 部員A「部長がいつもここにいることは知ってるんですよ!」 部員B「それとそこのお前!我が部長を引き抜こうとはどういう領分だ!」 部員A「池田部長は!私たちの大事な部長なんだ!お前には渡さない!」 京太郎「なんだよいきなり……そういえば、あんたら何でも支援部なんだよな?」 部員A「それがどうした」 京太郎「じゃあ今から依頼をさせてもらうぜ」 部員B「何?」 京太郎「須賀京太郎が依頼する、池田華菜を俺に渡せ!」 部員A「うっ、そう来るか…」 部員B「へっ、それじゃあこうしようじゃねえか!」 部員B「お前が私たち何でも支援部と勝負して勝てたら部長を渡す!」 部員B「これでいいだろ?」 京太郎(うーん、どうしよう) 京太郎(この人達から池田さんを奪って…) 京太郎(そして、この人達を悲しませるのは…) 京太郎「ダルいんでもういいです、はい」 華菜「ダル……!?」 部員B「ふん、所詮お前の部長に対する愛はその程度だったんだな!」 部員A「それじゃあさらばだ金髪!行きますよ、部長」 華菜「その、ごめんな…」 京太郎「別に、いいですよ」 京太郎「まーだ雨降ってんのか…」 京太郎「放課後はどうしようかな」 京太郎「街に行くか」 京太郎「バッティングセンターに来たぞおおおお!」 京太郎「おや、あれは」 【80km】 泉「えいっ!」スカッ 泉「あれ?」 泉「えいっ!」スカッ 泉「はあ…全然当たらん…」 京太郎「よっ、二条!」 泉「うわぁ!って須賀君ですか」 京太郎「何やってんだ?」 泉「実は…」 ―――――――――――― 千里山A「ね!お願い!」 泉「ソフトボール部の助っ人ですか…」 千里山A「3人事故で入院しちゃってさ…補欠もいないからこうして助っ人を探してるんやけど」 泉「運動なら江口先輩とかの方がいいんじゃ…」 千里山A「部長と江口先輩は了承してくれたんやけど、あと1人がどうしても見つかんないねん」 千里山A「だからこの通り、な!」 泉「はぁ、わかりました今回だけですよ」 泉(ソフトボールはあんまり得意やないんやけどな…) ―――――――――――― 泉「という訳でして…」 京太郎「ふんふむ、じゃあ俺が教えてやろう!」 泉「ほんまですか!」キラキラ 京太郎「おう!」 京太郎「じゃあまずはスタンドに立って構えてくれ」 泉「はい、こうですか?」 京太郎「そうだ…うーん、もう少し腰を下げて、肘も…このくらいかな」カカエ 泉「なななな…!///」 泉(これじゃあ須賀君に抱きかかえられてるみたいやないですか)カァァ 京太郎「ん、どうした?」 泉「い、いえなんでも!」 京太郎「そうか、なら続けるぞ」 泉(うぅぅぅ……)ポシュー 京太郎「まあ、こんなものか」 京太郎「じゃあ二条、打ってみろ」 泉「はい!」 カキーン 泉「やった!やりましたよ!須賀君!」ピョンピョン 京太郎「じゃあ次は少し速い球を打ってみるか!」 泉「はい!」 泉「とりあえず120kmは打てるようになりました」 京太郎「そういえば、その試合っていつやるんだ?」 泉「来週末ですね、三箇牧とやるらしいですよ」 京太郎「そっか、じゃあ見に行けたら行くよ」 泉「今日はありがとうな、須賀君!」ニコッ 京太郎「なに、どうってことねえよ!」 京太郎「次は何をしようかな」 京太郎「よし、まだやるぞ!」 泉「いいんですか?」 京太郎「おう!」 2時間後 京太郎「ふぅ…」ゼェゼェ 泉「はぁ…」ハァハァ 京太郎「出し切った感が、凄い」ハァハァ 泉「私もです…」ゼェゼェ 泉「腰と、腕が、痛いです…」ハァハァ 京太郎「俺も…」ゼェゼェ 【5月第4週 平日】終 【5月第4週 休日】 京太郎「朝だ!」 京太郎「少し腰が痛いな…」 京太郎「今朝はナニをするかな」 京太郎「麻雀をしよう!」 京太郎「もう1度、郁乃さんと打とう!」 京太郎「たのもー!」 霞「あら、どうしたの?」 京太郎「郁乃さんと打ちに来ました!」 郁乃「お~また来たんか~」 霞「じゃあ残りの面子呼んでくるわね」 霞「じゃあまた華菜ちゃんを呼んでくるわね」 京太郎「俺も1人呼んできます」 郁乃「それじゃあ私は留守番しとくわ~」 京太郎「とは言ったものの、誰を誘おうか……」 京太郎「うーん、二条なら頼りになってくれそうだな、よし」ピッピッ prrr prrr prrr 京太郎「中々出ないな」 prrr prr ガチャ 泉『ひゃ、ひゃい!二条泉でひゅが!』 京太郎「お、出た」 泉『須賀君ですよね?』 京太郎「そうだけど「やった!」」 泉『ようやく!ようやく私の携帯に電話が………げふん』 泉『それで、何の用ですか?』 京太郎「ああ、少し二条に頼みがあってさ」 泉『頼み……ですか』 京太郎「それなんだけど……二条、俺と付き合ってくれないか?」 京太郎「…」 泉『……』 泉『はえっ?』 泉『い、今、なんて?』 京太郎「だから、俺と付き合ってくれないか?って」 泉『』ボンッ 泉『つつつ、付き合うってまさか、私が、須賀君と…ですか?///」 京太郎「そうなんだよ、少し俺と麻雀に付き合ってくれないか?」 泉『で、でも私たちまだ出会って間もないですし……って』 泉『ま、麻雀?』 京太郎「OKか、じゃあ今から地図書いて送るから来てくれ」 泉『ちょっ、須賀君!?』 ガチャ ツーツー 開局―東南戦― 郁乃「ほなよろしく~」 華菜「今日も勝つんだし!」 泉「須賀君のアホ須賀君のアホ須賀君のアホ須賀君のアホ須賀君のアホ」 京太郎「ごめん!本当にごめん!」 泉「もう知らないです」プイッ 京太郎「ロン、1500だ」 泉「はい」 泉(やっぱりさっきのが気になる…いや!集中せな!) 東1局1本場 親 京太郎 26500 華菜 25000 泉 23500 郁乃 25000 京太郎「ロン、3300だ」 泉「はいぃ…」 泉(ダメや…全然集中できへん…) 東1局2本場 親 京太郎 29800 華菜 25000 泉 20200 郁乃 25000 京太郎「ロン、6400」 泉「うぅぅ…」 泉(なんでやろ……) 東1局3本場 親 京太郎 36200 華菜 25000 泉 13800 郁乃 25000 泉(集中や、集中集中) 華菜「リーチだし!」 泉(集中)トン 泉(あれ、いまのって…) 郁乃「~♪」 泉(大丈夫でしたか…) 華菜「ツモ!4300・8300だし!」 東2局 京太郎 27900 親 華菜 41900 泉 9500 郁乃 20700 京太郎「ロン!7800の3本場は8600!」 泉「はい」 泉(もうだめや…) 東1局4本場 親 京太郎 44800 華菜 25000 泉 5200 郁乃 25000 泉(集中です…) 京太郎「よし!」 郁乃(これで…)トン 京太郎「それです!ロ…」 郁乃「またまた残念~」 京太郎(また、この感覚…) 【身代わりの幻影】発動! 聴牌判定まで戻ります 東1局4本場 親 京太郎 44800 華菜 25000 泉 5200 郁乃 25000 京太郎「はっ!」 泉「どうかしたんですか?」 京太郎「いや…なんでも、ない」 華菜「なら早く打つんだし!」 京太郎「はい」トン 郁乃「お~そろったわ~」 郁乃「はい、ツモや~地和で8400・16400やな~」 華菜「地…和…」 京太郎「うげっ」 泉「」カタカタ 郁乃「トビ、やな」ニッコリ 終局 1位 郁乃 58200 2位 京太郎 28400 3位 華菜 16600 4位 泉 -3200 京太郎「まーたダメかー」 泉「すみません、私のせいで」 京太郎「いや、二条は悪くないよ…」 京太郎「だから、落ち込まないでくれ」 泉「はい…」 京太郎「昼は…何をしよう」 京太郎「いや!諦めないぞ!」 京太郎「もう1回だ!」 京太郎「郁乃さ~~~ん!」 京太郎「お願いします!もう1回お願いします」ドゲザー 郁乃「もちろんええよ~」 京太郎「じゃあ面子揃えてきます!」シュタ ガララ 霞「そろそろ意地悪はやめてあげたら?」 霞「入りたいんでしょ?麻雀部?」 郁乃「まあそうやねんけど~面白いからやめられんのよな~」 霞「はぁ……あなたは全く」 ガララ 京太郎「揃いましたよ!さあ、始めましょう!」 郁乃「お~」 開局―東南戦― 照「よろしく」 華菜「よろしくだし!郁乃も須賀も!今度は勝つんだし!」 京太郎「よろしくお願いします」 郁乃「今度は照ちゃんか~よろしくな~」 京太郎「よし!ツモ!300・500!」 郁乃(照ちゃん相手やとエグそうやから~) 郁乃(使わせてもらうわ~)カッ 【身代わりの幻影】発動! 京太郎「ぐっ」 照「…」 照(ふむ…) 聴牌判定までもどります 郁乃「はいロン~1500や」 京太郎「はい」 照「……」ズズズッ 郁乃「…へ~」 東1局1本場 親 郁乃 26500 照 25000 京太郎 23500 華菜 25000 京太郎「今度こそ!ロン!1000!」 郁乃(序盤で全部使うとはな~) 郁乃「まだやで~」カッ 照「……」 【身代わりの幻影】発動! 聴牌判定まで戻ります 照「ツモ、400・600」 郁乃「あちゃ~やられた~」 京太郎(さっきまでの殺気が無くなった…) 東2局 郁乃 25900 親 照 26400 京太郎 23100 華菜 24600 京太郎「ロン!1000!」 華菜「ほいよ」 東3局 郁乃 25900 照 26400 親 京太郎 24100 華菜 23600 照「ロン、1000」 郁乃「は~い」 華菜「安手ばっかだし…」 京太郎「でも、なんだか楽しいですよ」 郁乃「うん~私もや~」 華菜「えぇ~そうかー?」 オーラス 郁乃 24900 照 27400 京太郎 24100 親 華菜 23600 照「リーチ」 華菜「まだまだだし!」 照「ツモ、500・1000」 華菜「うにゃあああ」 終局 1位 照 29400 2位 郁乃 24400 3位 京太郎 23600 4位 華菜 22600 京太郎「これで終わり…ですか」 京太郎(結局、勝てなかったな…) 郁乃「なあ、京太郎くん」 京太郎「はい?」 郁乃「私、麻雀部に入るわ」 京太郎「いいんですか?」 郁乃「まあ今までのはほんのお遊びやったしな~」 郁乃「やっぱりね~小さくなったり、大きくなったり、何歳になっても、やっぱり麻雀は楽しいんよね~」 郁乃「だから、私は楽しみたいんや、この年齢の麻雀を」 郁乃「私、赤阪郁乃は麻雀部に入るで~」 郁乃「これからよろしくな~霞ちゃん、照ちゃん、そんで京太郎くん~」 京太郎「はい!よろしくお願いします!」 京太郎「よっし!郁乃さんが入ってくれたぞ!」 京太郎「夕方か…何をしよう」 京太郎「街に来てみたけど、どこに行こうかな」 怜「お、京くんやん」 京太郎「ああ、怜さんですか、何してるんです?」 怜「これからユニクロ行くんや、京くんも一緒に行くか?」 京太郎「はい、それではご一緒いたしましょう」 【ゆにくろ】 京太郎「今日は何を買いに?」 怜「ちょっと下着をな」 京太郎「ブフォッ」 京太郎「ちょっ、怜さん!?」 怜「冗談や、今日は寝間着を買いに来たんや、もうすぐ夏やし」 怜「ってことでいいもの選んでくれな」 京太郎「俺がですか?」 怜「だってうち、病弱やし」 京太郎「はあ…わかりましたよ」 怜「ほな、ありがとなー」 京太郎「はい、さよならー」 京太郎「ふぅ…」 京太郎「やっと終わったか…」 京太郎「夜は何をしよう」 京太郎「メールをするか」 京太郎「高校生になって初のメールだ!」 京太郎「誰に送ろうかな」 京太郎「船久保さんに送るか」 京太郎「『俺の初めては船久保さんに捧げます!』っと」 ブーブー 京太郎「お、早いな」 浩子『メール来たと思えば、いきなり何いっとるんや』 京太郎「『これが俺の高校生活初のメールだったんで』っと」 ブーブー 浩子『なんや、そういうことかびっくりしたわ』 京太郎「『紛らわしくってすみません』っと」 ブーブー 浩子『ほんま、気ぃつけや誤解する人もおるからな』 京太郎「『誤解…ですか、どんな?』っと」 ブーブー 浩子『ウチに言わせるなや、アホ』 京太郎「『えー気になりますよー ぶーぶー』」 浩子『うるさいわ、それじゃあウチ寝るからな、おやすみ』 京太郎「『おやすみなさい』っと」 京太郎「誤解か、どういう誤解なんだ?」 京太郎「まあいいや、次は誰に送ろうかな」 京太郎「二条に送るか」 京太郎『なあ、二条、どうすれば友達ってできるのかな』 ブーブー 泉『そらは』 京太郎「あれ?」 泉『すみません、打ち間違えました』 泉『友達…ですか、よくわかりませんね』 泉『私自身あまり友達がいませんし……』 泉『そもそも、友達ってなんなんでしょうね』 京太郎「うおっ、なんだこの壮大なテーマは」 京太郎『俺と二条みたいな関係でいいんじゃないか?』 泉『私と、須賀君のような関係ですか…』 京太郎『そう、例えばこんな感じにメールしたり』 京太郎『この前みたいに一緒にバッティングセンターで特訓したり』 京太郎『今朝みたいに一緒に麻雀打ったり』 京太郎『そんな関係が友達なんじゃないのかな』 泉『それなら……』 泉『私からのアドバイスは、「自分の殻にこもらずに、相手に直球に接していけ!」、ですかね』 泉『私が、そうしたように』 京太郎『ふんふむ、一応わかったぞ!ありがとうな!』 泉『こちらこそ、ありがとうございます』 泉『こんな私を友達と思ってくれて』 泉『それじゃあ、おやすみなさい』 京太郎『おやすみ』 【5月第4週 休日】終 【6月第1週 平日】 京太郎「とうとう6月かー」 京太郎「そういえば6月ってなんかあったような気が…」 京太郎「やっべ、2週間後に期末試験があんじゃねえか!」 京太郎「全然勉強してないぞ!どうしよう!」 キーンコーンカーンコーン 京太郎「今日もぼっち登校だったか…」 担任「さて!いよいよテスト2週間前に入ったわけで、明日から部活動制限が始まる!」 担任「もちろん赤点を取ればそのさらに1週間後に追試がある!」 担任「追試までの間は部活動に参加できなくなるから、お前ら気ぃ抜くんじゃねェぞ!」 京太郎「試験か…」 京太郎「昼はどこで食べようかな」 京太郎「屋上に来たぞ!」 京太郎「最近はずっとここに来てる気がする」 京太郎「それじゃあいただきまーす」 郁乃「あれ~京太郎くんや~ん、ここで食べとるん~?」 京太郎「郁乃さん、ええ、そうですけど」 郁乃「じゃあ一緒に食べへん~?」 京太郎「はい、いいですよ!」 郁乃「ありがとな~京太郎くん~」 郁乃「それじゃ~いただきま~す」 京太郎(郁乃さんと昼飯を食べることになったが、何を話そう) 郁乃「うん~霞ちゃんの料理おいしいわ~」 京太郎「へーその弁当霞さんが作ったんですか」 郁乃「せやで~一口いる~?」 京太郎「はい、是非」 郁乃「ほな京太郎くん、あ~ん」 京太郎「あー、って、なんでそれをしようとするんですか!?」 郁乃「え~1回くらいやってみたかったんやからやらせてくれ~や」ブーブー 京太郎「はあ、しょうがないですね」アーン 京太郎「うん、確かにおいしいですね」 郁乃「せやろ~さすがやろ~」 京太郎「郁乃さんが誇ることじゃないと思うのですが」 京太郎「そういえば、郁乃さんはどうしてそんなに麻雀が強くなったんですか?」 郁乃「どうしてか~わからんな~」 京太郎「そうですか……」 京太郎「俺も、もっと強くなりたいなぁ、あと強い雀士知りませんか?」 郁乃「強い子か~何十人かいるけど~」 京太郎「何十人!?」 郁乃「京太郎くんを強くできる子は~南浦ちゃんかな~」 京太郎「南浦ってあの、南浦プロですか?」 郁乃「そ~そ~あとは良子ちゃんとかも良さそうやな~」 京太郎「良子さん…ですか」 郁乃「お~気になる~?じゃあ試験が終わったら2人とも呼んであげるわ~」 京太郎「え、本当ですか!?」 郁乃「郁乃お姉さんからのプレゼントやで~」 京太郎「ありがとうございます!」 試験で赤点を取らなければ、南浦プロと戒能ちゃんが麻雀部、雀荘に来るようになります 京太郎「よし!俄然やる気がわいてきたぞ!」 京太郎「放課後は何をしよう」 京太郎「公園に行くか」 京太郎「公園に来たぞーっと」 京太郎「はあ、これから試験期間か……どうしよう」 竜華「やっほー須賀君、なにしとるん?」 京太郎「いやー実はですね」カクカクシカジカ 竜華「ふーん、なるほど試験かー、千里山は2期制やからもう少し先なんよなー」 京太郎「やっぱり勉強を見てもらう、とかは出来ないですよね」 竜華「うーん、ええよ、別に」 京太郎「いいんですか!?」 竜華「須賀君にはお世話になっとるしな、この前も怜の買い物に付き合ってくれたんやろ?」 京太郎「はい、怜さんに無理やり流されただけなんですけどね」 竜華「じゃあこれはお礼ってことで、どや?」 京太郎「そういうことなら!」 京太郎「是非、お願いします!」 竜華「よし、ええ返事や!ほなさっさと行くでー」 京太郎「図書館で勉強しましょうか」 竜華「せやな、あそこが1番集中できるしな」 竜華「そうすると、このモルがこうなってな」 京太郎「ふむふむ」 竜華「これで、こうなって、こうなるんや!」 京太郎「おお!なるほど!」 竜華「どや!頼りになるやろー?」 京太郎「はい!ありがとうございました!」 京太郎「次は何をしようかな」 竜華「ウチはもう帰るけど、須賀君はどうするん?」 京太郎「俺はもう少し勉強していこうと思っています」 竜華「そうかー頑張ってな!応援してるで」 京太郎「ありがとうございました」 京太郎「よし!次は社会を勉強するぞ!」 京太郎「うおおおおおおお!」 郁乃「お~ちゃんと勉強しとるやん~偉い偉い」ヒョコ 京太郎「あれ、郁乃さんじゃないですか」 郁乃「せやで~郁乃お姉さんやで~」 郁乃「社会ならお姉さんが教えてあげよか~?」 京太郎「えー、大丈夫なんですかー?」 郁乃「あ~今私のことバカにしたやろ~!これでも元高校教師だったんやで~!」ブーブー 京太郎「わかってますよ、始めましょうか」 郁乃「まずはこれ観よな~」ドサッ 京太郎「このDVDは?」 郁乃「これはちょうど京太郎くんの範囲にある人種差別問題の教材用DVDなんやで~」 郁乃「結構エグいもんばっかやけど~頑張ってな~」 2時間後 京太郎「差別はダメだ差別はダメだ差別はダメだ差別はダメだ差別はダメだ」 郁乃「やっぱり刺激的すぎたかな~」 【6月第1週平日】終 【6月第1週 休日】 京太郎「朝だー!」 京太郎「何をしようかな」 京太郎「勉強をしよう!」 京太郎「数学をやろう!」 京太郎「そうと決まれば、数学だけが得意な照のところに行こう!」 照「悪かったね、数学だけ得意で」プイー 京太郎「なんで照がここに!?」 照「京が勉強で困ってるかもって思ってきたらこのざまですよ」 京太郎「いや、そんなつもりは…」 照「で、数学だけが得意な私に教えてほしいの?」 京太郎「是非お願いします!」 照「じゃあ勉強中は私を京の膝の上に座らせること、いい?」 京太郎「いいよ、そのくらい」 照「それじゃあ」ポン 京太郎「…」 照「…」 照「なんだか、恥ずかしいね」 京太郎「さっさと始めようぜ」 京太郎「昼はなにをしようかな」 京太郎「そういえば二条の試合が昼からか、どうしよう」 京太郎「二条の試合を見に行こう」 京太郎「勉強は……なんとかなる…はず」 京太郎「三箇牧のグラウンドでやってるらしいな」 【三箇牧高校】 京太郎「練習試合って聞いてたけど、案外人集まってるんだな」 怜「そりゃあそうや、何てったってこれは三千戦なんやからな」 京太郎「怜さんいたんですか!」 怜「なんや、酷いなあ。病弱少女が1人でここにいるっちゅうんに」 京太郎「どうせ竜華さんもいるんでしょう。それで、三千戦って?」 怜「三箇牧と千里山は仲が良くってな、度々こんな風に試合するんよ」 怜「お、そろそろ始まるで」 実況「さあ始まりました!毎年恒例の三千戦!」 実況「まずは三箇牧ナインのご紹介!」 実況「先発ピッチャー荒川憩!」 京太郎「憩さん!?」 怜「それだけやないで」 怜「1番は宮永さん、4番は三尋木ちゃん、6番はエイちゃん」 京太郎「なんでそんなに麻雀部員が!?」 郁乃「なんでも、ソフトボール部員が4人と監督まで事故に遭って出られなくなったんやて~」 京太郎「郁乃さんは観戦ですか」 郁乃「お、今度は千里山の紹介やで~」 実況「麻雀部のエースにして、学校一の体育会系!江口セーラ!」 実況「お次は、麻雀部主将!清水谷竜華!」 実況「そしてこれまた麻雀部からの刺客!二条泉!」 実況「間も無く試合開始です!」 京太郎「誰かと話して来ようかな」 京太郎「解説の怜プロはこの試合をどう見ますか?」 怜「そうですね、『迫り来る怒涛の火力』の三尋木選手と江口選手の打ち合いになりそうですね」 怜「私個人としましては三箇牧のエース荒川選手に注目しています」 京太郎「そうですか、試合が実に楽しみです」 怜「なあ、私も乗っといてあれやけど…」 京太郎「はい?」 怜「なんやこれ」 京太郎「でっすよねー」 【1回裏 三箇牧の攻撃】2アウト 1塁 咏「さぁて、私の出番だねぃ」 竜華「さっさと終わらせるでー!」 京太郎「頑張れー!清水谷さーん!」 竜華「おー須賀君おるんかー」 竜華「やる気出てきたわ!」 竜華「よっし!」ビュン 咏「そんな球!ホームラン一直線だぜぃ!」カキン 咏「あ」 セーラ「キャッチャーフライガキタデー」ポスッ アウトー 【4回表 千里山の攻撃】 千里山 0-0 三箇牧 1アウト 1塁・2塁 泉(これがチャンス!) 泉(須賀君も見に来てくれてる!) 泉(打っていきます!) 憩(最近出番ない気がする…) ストラーイク! 憩「これで、2ストライク」 憩「次で、終わりや!」 泉(2連続空振り…) 泉(やっぱり私じゃヒーローにはなれないんですか…) 京太郎「諦めるな!」 京太郎「諦めるなよ、二条!」 京太郎「頑張れ!俺が教えたことを思い出せ!」 泉(須賀君……)グッ 泉(私は!) 憩「これで、アウトや!」 泉「もう負けません!」ブンッ カキーン 実況「おおっと、打球がスタンドに伸びていくー!」 実況「そして、3ランホームラン!」 泉(やりましたよ、須賀君) 憩「そ、そんな…嘘やろ…」 【7回裏 三箇牧の攻撃】 千里山 3-1 三箇牧 2アウト 3塁 実況「さて、三千戦もいよいよ佳境!」 実況「三箇牧が1点を返した後のこの打席に立つのは!」 実況「エイスリン・ウィッシュアート選手だ!」 エイスリン「ヨロシク、デス」 竜華(アカンなあ、このままだと逆転されるわ) 竜華(でも、このくらいの方が面白いわ!) 京太郎「エイスリンさん頑張れー!」 エイスリン「スガクン、ワタシ、ガンバル!ウン!」 竜華(今度は応援してくれないんやな、こうなったら) 竜華「とっておき!ドラゴンナックルや!」 ジュゥゥゥゥゥン エイスリン「エイ!」 ストラーイク! エイスリン「アレ?」 竜華「さすがにドラゴンナックルは打てへんようやな!」 竜華「まだまだ行くでー!」 ストラーイク ストラーイク バッターアウト 【9回表 千里山の攻撃】 千里山 4-2 三箇牧 0アウト 1・2・3塁 実況「とうとう9回、3人のランナーを残して荒川選手が降板しました」 実況「そして次の打者は」 実況「先ほど3ランホームランを放った二条泉選手だ!」 実況「そして迎え撃つは宮永照選手!投球練習では普通のピッチャーに思えましたがその力量やいかに!」 泉(私はもう、大丈夫です!) 照(肩慣らしはあれで十分、やってやろう)ギュル 泉(ここで私が打てば、チームは逃げ切れる、勝てる!) 泉(気張っていきますよ!) 照(そういえばあの子、京と仲良かったな……よし) 照「まずは、1ストライク!」ギュルルル バシーン! ストラーイク! 泉(なんですか、今の球!ジャイロボールどころじゃないじゃないですか!) 照「まだまだ、だ!」ギュルルルル バシューーーーン ズバァーーーン ストラーイク 実況「宮永のジャイロボールが刺さる!ただいまの球速は!200km/hでした!」 実況「何という豪速球!これで千里山の猛攻も止まるか!?」 照「次で、キメる!」ビギィィィィィン 泉「ひっ!」ゾクゾク 泉(アカン…このままじゃ、また前に逆戻りやないですか) 泉(もう嫌だって思ったのに…) 京太郎「二条!お前ならできる!200km/hがなんだ!」 京太郎「お前はたった1日で150km/hまで打てるようになったんだ!このくらい打てなくてどうする!」 京太郎「俺の友達なら!頑張れ!」 照(そう言われると、やる気が無くなるじゃないか) 泉(そう、ですよね、友達、ですからね!) 泉「宮永さん!私はあなたに勝ちます!」 照「どっちにしろ、これでキマるさ」 照「いけっ!」ギュルルルルルル カキーン 照「なっ!?」 実況「おーっと、二条選手打ったー!が、ファールです」 泉(確かに、もう見えてきましたよ) 照(この子、私の球を打てたのか……) 照(ふむ、面白い) 照「いいだろう!この宮永照全身全霊をもって!お前を抑える!」 照「喰らえ!」ギュルルルルルルル 泉「うおおおお!」 カキーン 実況「二条の打球はまたもやスタンドへ飛んでいくゥ!」 実況「そして!満塁ホームランだああああ!」 オオオオオオオオオ!!!!! 泉「やっぱり……できましたよ、須賀君」グスッ 【9回裏 三箇牧の攻撃】 千里山 8-5 三箇牧 2アウト 満塁 実況「裏に入り、三箇牧の逆転劇が開始しました」 実況「現在、千里山のマウンドに立つのは江口選手」 実況「そして、バッターボックスに立つのは現在無安打の三尋木選手!」 実況「逆転サヨナラ満塁ホームランなるか!」 実況「それとも今年の三千戦、最後の打席となるか!?」 セーラ「よーし!ちゃっちゃと終わらせるでー!」ビュン! 咏「くっ」スカッ ストラーイク! 咏「うええ…調子わっりぃーな…」 京太郎(咏、調子悪そうだな、応援するか!) 京太郎「咏ー!燃えろー!焼き尽くせー!」 セーラ「あんの金髪、どっちの味方やねん」 咏(今頃応援し始めるって、結構意地悪だねぃ) 咏(でも、応援されたら、頑張りたくなるよねぃ、知らんけど) セーラ「ほな、いくでー!」ビュン! 咏「てりゃっ!」 カキーン 実況「三尋木の打球はきれいなアーチを描いていく!そして!スタンドイィィィィン!」 実況「決まったあああああ!逆転サヨナラ満塁ホームランだああああ!」 ゲームセット! 千里山 8-9 三箇牧 京太郎「ゲームセットか、白熱したいい試合だったな」